展覧会
リアルのためのフィクション
会期
会場
東京国立近代美術館 ギャラリー4 (2階)
展覧会について
本展は、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館のコレクションを中心に、現在活躍中の4人の女性作家が1990年代に制作した作品、約15点によって構成される小企画展です。
1990年代は、アートがかつてないほどに多様化した時代と言われます。むしろ混沌といってもよいかもしれません。その背景には、情報技術の急速な発達ばかりでなく、東西冷戦構造の解体などが複雑にからみあっています。「リアル」なものが捉えにくくなった時代に、アーティストたちはどのような表現を生み出そうとしてきたのでしょう。
本展で紹介する4人のアーティスト――イケムラレイコ、ソフィ・カル、やなぎみわ、塩田千春――は、扱う素材も、「リアル」なものに迫ろうとするアプローチの仕方も、さまざまですが、彼女たちはみな、ある種のフィクション(虚構)をしつらえて、それを通して逆説的に、私たちに「リアル」なものの扉を開く鍵を示しているようにみえます。リアルのためのフィクション。彼女たちが静かにあるいは饒舌に語りかける物語は、あなたの「リアル」を感じる力を揺り動かすことでしょう。
イケムラレイコの生み出す少女たち。あるときは絵画で、あるときは彫刻で提示されるその少女たちは、作者自身の分身でしょうか。彼女たちは、闇の中に横たわり、あるいは佇みながら、ひたすら内なる声に耳を傾けているようにも見えます。
ソフィ・カルは、あるルールを決めてそれに基づいて行動し、その記録を作品とします。フィクションがドキュメント化されることで、虚実の境目がしだいに曖昧となり、作品を見る私たちを幻惑します。
やなぎみわは、きわめて人工的な空間の中に、物思いにふけるようなエレベーターガールたちを配します。消費空間の中で商品と私たちをつなぐ役割の彼女たちもまた人工的に作られた商品のような相貌を帯びるのです。
塩田千春は、大量の泥を浴びるパフォーマンスを映像作品にしました。身を清めるはずの入浴によって泥まみれとなるその映像は、見る者に驚きを与えますが、それはまた同時に、近代文明に囲まれた生活の中で、大地に還ろうとする儀式のようにも見えます。
ここが見どころ
・東京国立近代美術館のコレクションに、普段東京では眼にする機会の少ない京都国立近代美術館、国立国際美術館の作品を加えた、国立美術館3館が所蔵する、豊かな現代美術のコレクションの一端をご覧いただけます。
・今回ご紹介する作品は、絵画、彫刻、写真、文字テキスト、映像と、実にさまざまな手法によって作られています。本展は、コンパクトながら、多様化する現代美術の状況を見て取るための、好い機会となるでしょう。
・展覧会の内容をやさしく解説したパンフレット(豪華12ページ!)を、会場で無料配布します。ぜひ、鑑賞のお供にご利用ください。
カタログ情報
開催概要
- 会場
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東京国立近代美術館 ギャラリー4 (2階)
- 会期
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2007年3月10日(土)~5月27日(日)
- 開館時間
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10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで - 休室日
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月曜日 ただし3月26日(月)、4月2日(月)、4月30日(月)は開館します
- 観覧料
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一般420(210)円、大学生130(70)円、高校生70(40)円
中学生以下・65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付添者1名は無料。- それぞれ入館の際、学生証、健康保険証、運転免許証、障害者手帳などをご提示ください。
- ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
- 本展の観覧料で「所蔵作品展 近代日本の美術」もご覧いただくことができます。
- 「生誕100年 靉光展」観覧券で、当日に限り、本展および「所蔵作品展 近代日本の美術」をご覧いただけます。
- 無料観覧日
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4月1日(日)、4月29日(日・昭和の日)、5月6日(日)、5月18日(金・国際博物館の日)
- 「リアルのためのフィクション」展、所蔵作品展のみ。「生誕100年 靉光展」は観覧料が必要です。
- 主催
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東京国立近代美術館