コレクション

プロヴァンス風景

ボナール、 ピエール

1932

基本情報

作品名
プロヴァンス風景
作家名
ボナール、 ピエール 作家詳細
制作年
1932
収蔵方法
購入
素材・技法
油彩
支持体
キャンバス
形状
作品サイズ
76.0×113.0

作品解説

描かれているのは、南フランスのプロヴァンス地方の風景です。ボナールは1909(明治42)年に初めて訪れた南仏にすぐさま魅了されると、26年、カンヌに近いル・カネに家を購入します。以後、南仏は彼の制作の中心地となっていきます。光にあふれたこの地の環境が、ボナールの表現、とりわけ色彩に与えた影響ははかりしれません。
本作の大きな魅力は、その豊かな色彩表現にあります。ボナールが好んで用いた紫や黄に加え、緑、ピンク、青、そして白など、実に多様な色が画面に散りばめられています。色彩は、ヴァリエーションに富んだ細かな筆触によって画布に塗られることで、震えるように輝いています。また空を彩る謎めいた黄と深い青などに顕著ですが、色彩はしばしば現実の対象の固有色を離れ、装飾的かつ幻視的な傾向を強めています。対象を前に描くのでなく、「想起」によって制作を進めたというボナールだけに、現実と想像とがからまり合い、つぎはぎされているのかもしれません。
《プロヴァンス風景》が最初に眼に入ってくる時、形態/背景、近く/遠くといった区別は見定めがたく、光をはらんだ一枚の織物あるいはパッチワークのようなものとして現れます。ボナールは自らの制作について「部屋に入ったとき突然目に飛び込んでくるものを描く」という言葉を残しています。つまりボナールの絵画とは、かたちの明確な認知の手前に留まりながら、「イメージの発生状態」を捉えようとする根源的な探究なのです。

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