展覧会

会期終了 企画展

東京国立近代美術館60周年記念特別展「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」

会期

会場

東京国立近代美術館本館

概要

美術にふるえたことがありますか?
美術を体感すること。深く感動すること。知的に考えること。
それらすべての出発点である衝撃を「ぶるっ!」という言葉で表しました。あらためて大切にしたいと思う美術鑑賞の原点です。

1952年12月1日、京橋の地に開館した東京国立近代美術館は、今年創立60周年を迎えます。人間でいえば「還暦」にあたるこの重要な年を記念して、本館の1階~4階の全フロアを使い、日本近代美術の100年を回顧する大展覧会を開催します。

展覧会は2部構成となっています。60年間の収集活動の成果を問う第1部が縦糸とすれば、60年前の日本における近代美術館誕生の時代を考察する第2部は横糸であり、両者が緊密に連動して、みなさまにさまざまな感動を投げかけることでしょう。

途中、展示替があります。
 前期:10月16日(火)~11月25日(日)
 後期:11月27日(火)~2013年1月14日(月・祝)

ここが見どころ

所蔵品ギャラリーが10年ぶりにリニューアル

4階から2階の所蔵品ギャラリーが、建築家西澤徹夫氏との協働でリニューアルされます。ゆったりと寛げる休憩スペースを拡充するほか、所蔵作品のハイライトをご覧いただけるゾーンや日本画を堪能できるゾーンなどを設ける予定です。また動線の整理やサイン計画の見直しなど、徹底的にユーザー目線で鑑賞に適した空間づくりを目指します。生まれ変わった展示室で、作品の新たな魅力を発見してみてください。

コレクション人気投票の結果が展示に

10,000点以上のコレクションから、特に人気のある作品による「みんなの東近美 作品人気投票」を4月13日~7月31日に60周年記念サイトで実施しました。投票の結果、洋画・日本画は上位2位、彫刻・写真は上位1位にランクインした作品を、お寄せいただいたコメントとともに「美術にぶるっ!」展で展示します。

展覧会構成

第1部 MOMATコレクション スペシャル

国指定の重要文化財は、現在、美術工芸品では1万件以上ありますが、その多くは古い時代のもので、明治以降の絵画・彫刻に限ると、51件しかありません。そのうちの13点(寄託作品も含む)が、東京国立近代美術館に所蔵されています。

最近では、2011年に上村松園《母子》(1934年)と、安田靫彦《黄瀬川陣》(1940‐41年)が新たに指定されたばかりです。これらの貴重な作品は通常、保存の観点から1年のうちに会期を分けて少しずつ展示されますが、今回は60周年を記念して、まとめて一度に公開します。

第2部 実験場1950s

東京国立近代美術館が開館した1952年は、サンフランシスコ講和条約の発効によって、日本が主権を回復した年にあたります。まさに戦後の復興期であったこの時代には、戦争体験や現実のさまざまな矛盾から眼を背けることなく、来るべき社会の理想を追い求める意欲が息づいていました。

50年代の美術もまた、社会的な出来事に深い関心を寄せながら、現実への積極的な働きかけを図ります。その過程で、文学、写真、映画、建築、デザイン、漫画といった他分野との垣根を越えた交流が盛んに繰り広げられたことは特筆すべきです。このジャンル横断的な想像力が、既存の形式に縛られない新しい表現を生み出す力になったのです。複雑さを増す現実に対応した新しいリアリズムの確立や、制作者と鑑賞者との共同性の場の創出など、いくつかの課題が複数の表現領域で共有されました。

第2部では、こうした50年代美術の精神と活力を、同時期誕生した近代美術館への含意も込めて「実験場」というキーワードで捉えることにしました。絵画、彫刻、版画、素描、写真、映像を含む約300点の作品と資料によって、その実験精神が提起した多様な可能性を歴史的に検証し、そこから現在の美術と社会の関係を、さらには美術館の未来を考えるヒントを引き出すことを試みます。

カタログ情報

「美術にぶるっ!ベストセレクション 日本近代美術の100年」展 図録

約540点にもおよぶ出品作品の中から、主要作品約180点を選りすぐり、フルカラーで紹介

重要文化財全13点は、迫力ある部分図つきで細かな筆遣いまでご覧いただけます。詳しい解説によって、日本近代美術の流れを一望できる充実の内容となっております。2300円(税込)/251ページ


論文集『実験場1950s』

展覧会の第2部に関連して、さまざまな分野の研究者のご協力をいただき論文集をつくりました。

社会と対峙し、新しい表現を試みていった復興期のエネルギーを多角的に解き明かす、今までにない試みです。2200円(税込)/220ページ

鈴木勝雄「総論:集団の夢―50年代を貫く歴史的パトス」
鈴木勝雄・桝田倫広・遠藤みゆき「創造のコミューン―異分野をつなぐグループと媒体の変遷」
鳥羽耕史「『記録』が準備した公共圏」
林道郎「『グラフィック』な50年代―試論」
西村智弘「実験映画の形成と前衛芸術―アヴァンギャルドからエクスペリメントへ」
友常勉「民衆版画運動の50年代」
甲斐義明「土門拳とリアリズム写真―『絶対スナップ』のジレンマ」
土屋誠一「1950年代の写真表現における『地方』―木村伊兵衛と濱谷浩を中心に」
川村健一郎「僻地への視線/僻地化する視線―『忘れられた土地』についてのノート」
大谷省吾「静物としての身体、もしくはアンチ・ヒューマニズムについて」
竹内万里子「見える傷、見えない傷―土門拳『ヒロシマ』と他者の痛苦をめぐって」
成相肇「俗悪の栄え一漫画と美術の微妙な関係」
桝田倫広「政治の絵画から絵画の政治へ―中村宏の場合」


第2部会場内では1950年代を知るための解説シートを無料配布

第2部「実験場1950s」を読み解くための、解説シート4種(B4/両面)を配布しています。

論文集のデザインも手がけた小沼宏之さんのデザインにもご注目。

イベント情報

記念国際シンポジウム

戦後日本美術の新たな語り口を探る─ニューヨークと東京、二つの近代美術館の展覧会を通して見えてくるもの

日程: 2012年12月23日(日)
時間: 13:00-17:30
場所: 東京国立近代美術館講堂 (地下1階)
主催:東京国立近代美術館、国際交流基金
特別助成:公益財団法人 石橋財団

参加無料、申込不要(先着140名)
同時通訳つき

開催趣旨

東京国立近代美術館は開館60周年記念特別展の第二部において、草創期にあたる1950年代の日本の美術を再考する「実験場1950s」を開催しています。本展は、美術、文学、写真、映画、デザイン、漫画といったジャンルの垣根を越えた交流に注目して、政治的な問題にも目を背けることなく、戦後の社会の変革に積極的に関与しようとした50年代の美術の熱気を捉え直すものです。

また国際交流基金は設立40周年記念事業として、ニューヨーク近代美術館との共催で、1955年から1970年という期間の日本の前衛芸術を、大都市「東京」に注目して考察する展覧会「TOKYO 1955-1970:新しい前衛」を開催しています。経済、政治の中心として戦後目覚ましい復興を遂げた東京が、いかにジャンルを超えた革新的な芸術を生み出す刺激的な場であったかを多角的に考証するものです。

東京とニューヨークの二つの近代美術館が、戦後の日本美術に関する大規模な展覧会を同時に開催するというこの絶好の機会をとらえ、国際シンポジウムを開催いたします。両展覧会の企画意図やその背景について双方のキュレーターが意見を交わし、さらに過去の展覧会との歴史観の違いや、二つの展覧会の共通点と差異などを、日米の研究者を交えて幅広く議論します。日米の近現代美術研究における交流をより一層深め、戦後日本美術の新たな語りの可能性につなげることを目指します。

プログラム

12:30‐ 開場
13:00‐ 開会のごあいさつ
13:20‐14:00
  基調講演1:MOMA展のコンセプト
  Doryun Chong(ニューヨーク近代美術館)

  基調講演2:東京国立近代美術館展のコンセプト
  鈴木勝雄(東京国立近代美術館)

14:20‐15:20 パネリスト全員登壇
  パネリスト:Doryun Chong、Gabriel Ritter(ダラス美術館)、
   林道郎(上智大学)、
   前山裕司(埼玉県立近代美術館)
  司会:鈴木勝雄
   *Ritter氏、前山氏、林氏の三名から各20分程度のトピック提示

15:20‐ 討議 
17:30 閉会
18:00 閉館

パネリスト

ドリュン・チョン(Doryun Chong、ニューヨーク近代美術館アソシエイト・キュレーター)
ガブリエル・リッター(Gabriel Ritter、ダラス美術館アシスタント・キュレーター)
林道郎(上智大学国際教養学部教授)
前山裕司(埼玉県立近代美術館主席学芸主幹)
鈴木勝雄(東京国立近代美術館主任研究員)

MOMATガイドスタッフによる所蔵品ガイド

休館日を除く毎日

日程: 2012年10月16日(火)~2013年1月11日(金)
(*12月1日(土)を除く。)
時間: 14:00-15:00
場所: 所蔵品ギャラリー(5分前に集合場所をアナウンスします)

*参加無料(要観覧券)、申込不要
*12月1日(土)は、開館60周年記念プログラム だれでもMOMAT(PDF) を開催します。ぜひご参加ください。
*1月12日(土)、13日(日)、14日(月・祝)は混雑が予想されるため、所蔵品ガイドは中止します。

キュレーター・トーク

東京国立近代美術館の研究員が、それぞれの研究分野に基づいて展示作品の中から数点を取り上げ、テーマをしぼって詳しく解説します。

大谷省吾(企画課主任研究員)「戦時期の美術」

日程: 2012年10月19日(金)
時間: 18:00-19:00

中林和雄(企画課長)「海外作品とMOMAT」

日程: 2012年10月26日(金)
時間: 18:00-19:00

松本 透(副館長)「1970年代の美術」

日程: 2012年11月2日(金)
時間: 18:00-19:00

増田 玲(美術課主任研究員)「MOMATの写真コレクション」

日程: 2012年11月9日(金)
時間: 18:00-19:00

鶴見香織(美術課主任研究員)「MOMATの日本画より」

日程: 2012年11月16日(金)
時間: 18:00-19:00

桝田倫広(美術課研究員)「静物としての身体、ほか」

日程: 2012年12月7日(金)
時間: 18:00-19:00

保坂健二朗(美術課主任研究員)「新しくなった『MOMATコレクション』について、建築の観点から」

日程: 2012年12月14日(金)
時間: 18:00-19:00

蔵屋美香(美術課長)「100年のからだ」

日程: 2013年1月4日(金)
時間: 18:00-19:00

*いずれも展示室にて。
 参加無料、申込不要、ただし観覧券が必要です。

「実験場1950s」クロージングイベント

上映会「記録と実験」

日程: 2013年1月13日(日)~1月14日(月)
場所: 東京国立近代美術館(B1F講堂)
定員140名(先着順)、入場料無料、入替なし。途中入退場可。

東京国立近代美術館60周年記念特別展「美術にぶるっ! ベストセレクション日本近代美術の100年」も、残すところあとわずかの会期となりました。おかげさまで、コレクションの名品を一堂に紹介する第一部はもとより、第二部「実験場1950s」も、当時の美術の可能性を多面的に紹介するものとして、多くの方々に好評をいただいております。とりわけ、この時代の美術と映画とを横断的に見ることのできる展示は多くの反響をいただく半面、劇場でのフィルム上映を望む声も寄せられています。そこで、展覧会の最後の2日間にクロージングイベントとして、会場の制約から展覧会ではご紹介しきれなかった映画作品を、できるかぎりフィルムで上映することにいたしました。
当上映会では本展覧会の展示構成に関連して、50年代に興隆していた記録映画及び企業PR映画、異分野の作家たちの協働によって制作された映画作品、更には実験映画に焦点を当て、2日間4つのプログラムによってご紹介します。直前のお知らせになりますが、ぜひお運びください。

2013年1月13日(日)

【プログラムA】 岩波映画と産業 10:15-12:00
伊勢長之助「新しい鉄」(1956年、16mm、31分、カラー)、提供:記録映画保存センター
黒木和雄「ルポルタージュ・炎」(1960年、35mm、37分、カラー)
土本典昭「〈日本発見シリーズ〉東京都1」(1961年、35mm(DVDに変換)、29分、モノクロ)、提供:記録映画保存センター

【プログラムB】 特集:羽仁進 13:00-15:30
「教室の子供たち」(1954年、35mm、29分、白黒)
「法隆寺」(1958年、16mm、23分、カラー)
「不良少年」(1961年、35mm、89分、白黒)

※上映後、羽仁進氏のトーク

2013年1月14日(月・祝)

【プログラムC】 実験映画の胎動 10:00-11:30
ノーマン・マクラレン「色彩幻想─過去のつまらぬ気がかり」(1949年、8分)、提供:株式会社ダゲレオ出版
ノーマン・マクラレン「色と線の即興詩」(1955年、16mm(DVDに変換)、6分)、提供:株式会社ダゲレオ出版
グラフィック集団(石元泰博、大辻清司、辻彩子)「キネカリグラフィ」(1955/1986年、16mm(DVDに変換)、4分26秒、カラー)、提供:Taka Ishii Gallery
松本俊夫「銀輪」(1956年、35mm、12分、カラー)
ドナルド・リチー「し」(1958年、8mm(DVDに変換)、14分、白黒)、提供:株式会社ダゲレオ出版
ドナルド・リチー「秋絵」(1958年、8mm(DVDに変換)、18分、白黒)、提供:株式会社ダゲレオ出版

【プログラムD】 勅使河原宏と安部公房 13:00-15:30
勅使河原宏「砂の女」(1964年、35mm、147分、白黒) 

*所蔵表記のない作品は、全て東京国立近代美術館フィルムセンター蔵。

開催概要

会場

東京国立近代美術館

会期

2012年10月16日(火)~2013年1月14日(月)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)

  • 入館はそれぞれ閉館の30分前まで
休館日

毎週月曜日(ただし12月24日と1月14日は開館)と、年末年始(12月28日~1月1日)

観覧料

一般=1,300円(1,100円/900円)
大学生=900円(800円/600円)
高校生=400円(300円/200円)

  • ( )内は前売/20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
  • 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方と付添者1名は無料
  • 前売券(10月15日[月]まで)および当日券は展覧会特設サイトのほか、ローソンチケット〔Lコード:34731〕、チケットぴあ〔Pコード:765-203〕、セブンイレブン〔セブンコード:017-469〕(いずれも前売券・当日券共通)ほか各種プレイガイドにてお求めいただけます。

東京国立近代美術館 開館60周年記念企画

誕生日は無料 !!!
開館60周年を記念して、ご自身の誕生日当日にご来館いただいた方は、全館(本館・工芸館とも)無料で入館いただけます。券売窓口で、誕生日のわかる証明書(免許証等)をご提示ください。

「美術にぶるっ」展(2012年10月16日~2013年1月14日)は4階から1階まで美術館の展示室すべてを使った企画展(共催展)になります。
そのためその会期中は、「所蔵作品展」を開催しておらず、65歳以上の方、高校生、キャンパスメンバーズの方も有料となります。またMOMATパスポート、ぐるっとパスもお使いいただけません。ご了承ください。

12月1日(土)の開館記念日は無料!どなたさまも無料でご入館いただけます。

主催

東京国立近代美術館、NHK、NHK プロモーション

後援

文化庁

特別助成

公益財団法人 石橋財団

協賛

損保ジャパン、日本写真印刷

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