展覧会
高松次郎ミステリーズ
会期
会場
東京国立近代美術館本館企画展ギャラリー
概要
高松次郎(1936-1998)とは何者か!? こんがらがったヒモ、光と影のたわむれ、おかしな遠近法の椅子やテーブル、たわんだ布、写真を撮った写真、そして単純さと複雑さをあわせもつ絵画…。1960年代から90年代まで、現代美術の世界をクールに駆け抜けた男のミステリーを、この冬MOMATが解明します。
高松の作品は、時期によって見かけも素材もばらばらです。そして、そのことが「高松次郎」というアーティストを少しわかりにくくしてきました。しかし、ばらばらな作品をくわしく見ていくと、いくつかの形や考え方が繰り返し現われることに気づきます。背後に一貫したつながりがひそんでいるのです。
この展覧会は、約50点のオブジェや彫刻、絵画、および約150点の関連するドローイングによって、近年、世界的な評価をますます高める高松の制作をご紹介するものです。アーティストの広大な思考世界を追体験しながら、作品に込められた謎を解くわくわく感を、どうぞ会場で味わってみてください。
会場構成:トラフ建築設計事務所
グラフィック・デザイン:菊地敦己

ここが見どころ
世界的に注目されるアーティスト、高松次郎(1936-1998)の回顧展です。
初期・中期・後期の3章を、3人のキュレーター(桝田倫広・蔵屋美香・保坂健二朗)がそれぞれ担当します。
初公開のドローイングや高松自身による文章を駆使して、一見謎めいたその作品をわかりやすく ていねいに読み解きます。
会場構成はトラフ建築設計事務所(鈴野浩一・禿(かむろ)真哉)。
高松を代表する〈影〉シリーズのふしぎなしくみを体験できる「影ラボ」(ここだけは写真撮影もできる!)や、高松の脳内世界を一望する「ステージ」など、見どころ満載です。
グラフィック・デザインは菊地敦己(きくち・あつき)。
高松の作品世界をみごとに表したオリジナル・タイトルロゴにもご注目!
展覧会構成
1. 「点」、たとえば、一つの迷宮事件 1960-1963
伝説のアーティスト・グループ、ハイレッド・センター(高松次郎+赤瀬川原平+中西夏之)の活動と並行して制作された初期のシリーズ、60年代初頭の〈点〉と〈紐〉をご紹介します。
2. 標的は決してその姿をあらわさない 1964-1970s
高松を代表するシリーズ〈影〉から、木や鉄による立体のシリーズ〈単体〉〈複合体〉まで、60年代半ばから70年代後半の作品をご紹介。ヴェネチア・ビエンナーレ日本館への出品(1968年)など、高松の制作が大きく加速する時期です。
3.それは「絵画」ではなかった 1970s-1998
70年代後半、高松は「絵画」に回帰します。しかしそれはふつうに言う「絵画」とはかなり異なる考え方に基づくものでした。最晩年の知られざるシリーズ〈異食材〉も一挙公開!
会場のようす
会場デザイン:トラフ建築設計事務所
グラフィック・デザイン:菊地敦己





【影ラボ】
高松次郎の制作原理を体験できる「影ラボ」コーナー。写真撮影もできます。

作家紹介
- 1936(昭和11)年 2月20日、東京に生まれる。
- 1958(昭和33)年 東京藝術大学卒業。「第10回読売アンデパンダン」展(東京都美術館)に出品(以後、59, 61, 62, 63年に参加)。
- 1963(昭和38)年 赤瀬川原平、中西夏之とハイレッド・センターを結成。
- 1964(昭和39)年 〈影〉の作品の制作を開始。
- 1967(昭和42)年 新宿のサパークラブ・カッサドール(インテリアデザイン:倉俣史朗)に〈影〉の壁画を制作。
- 1968(昭和43)年 第34回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館出品。
- 1970(昭和45)年 日本万国博覧会日曜広場に《遠近法の日曜広場》を設置。第10回日本国際美術展「人間と物質」(コミッショナー:中原佑介/東京都美術館他)に出品。「1970年8月:現代美術の一断面」展(東京国立近代美術館)に出品。
- 1972(昭和47)年 第8回東京国際版画ビエンナーレ(東京国立近代美術館他)に《THE STORY》を出品し国際大賞を受賞。
- 1977(昭和52)年 第6回ドクメンタ(カッセル、ドイツ)に出品。国立国際美術館(大阪)に〈影〉の壁画を制作。
- 1980(昭和55)年 「現代の作家2 高松次郎・元永定正」展(国立国際美術館)開催。
- 1989(平成1)年 名古屋駅地下に壁画《イメージスペース・名古屋駅の人々》を制作。
- 1996(平成8)年 個展「高松次郎の現在」(新潟市美術館、三鷹市美術ギャラリー)開催。
- 1998(平成10)年 6月25日に死去(享年62)。
カタログ情報
「高松次郎ミステリーズ」展覧会カタログ 3種のジャケットで好評発売中!
展覧会グラフィックデザインの菊地敦己氏が手掛けるカタログは、表紙が3種類(A5判、320ページ、2000円)。高松次郎のドローイング作品から3点を選んで展開しています。
高松次郎の謎めいた作品世界を読み解くアイテムとして大人気。ミュージアムショップにて好評発売中です。
お電話でのご注文も承ります。(カタログ郵送案内はこちら)

イベント情報
講演会
「高松次郎を知る人々」
高島直之(美術評論家、武蔵野美術大学教授)、堀浩哉(美術家、多摩美術大学教授)
日程: 2014年12月6日(土)
時間: 14:00-15:30
場所: 地下1階 講堂
*聴講無料、申込不要、先着140名
*開場は開演30分前
担当キュレーターによるリレートーク
桝田倫広・蔵屋美香・保坂健二朗
日程: 2014年12月7日(日)
時間: 14:00-15:30
場所: 1階 企画展ギャラリー
日程: 2015年1月23日(金)
時間: 18:00-19:30
場所: 1階 企画展ギャラリー
日程: 2015年2月14日(土)
時間: 14:00-15:30
場所: 1階 企画展ギャラリー
*申込不要、要観覧券
スピンオフ企画 座談会
「展覧会をつくる」
鈴野浩一・禿真哉(トラフ建築設計事務所)、菊地敦己
聞き手:保坂健二朗
日程: 2014年12月20日(土)
時間: 14:00-15:30
場所: 地下1階 講堂
*聴講無料、申込不要、先着140名
*開場は開演30分前
高松次郎バースデー記念ミステリーイベント
公演『台本』
日程: 2015年2月20日(金)
時間: 18:00-19:30
場所: 1Fエントランスホールにて上演
事前申し込み:不要
観覧料:無料
*「高松次郎ミステリーズ」展観覧には別途料金が必要です。
原作:高松次郎『台本』(1970-74年、本展出品作はエディション版、1980年)
演出:神里雄大(作家、舞台演出家/岡崎藝術座主宰)
出演:上蓑佳代、遠藤麻衣(二十二会)、酒井和哉、吉岡亜美
寺山修司率いる天井桟敷が初の海外公演を行なった際、当初、演目予定の候補のひとつに挙げられていた高松次郎の作品『台本』。この『台本』に断章のように書かれた動きの指示を、気鋭の演出家神里雄大が読み解き、高松次郎の誕生日である2月20日に上演致します。
『台本』追加公演のお知らせ
金曜日はどうしても都合が…という方に朗報です。 追加公演が決定しました!
日程: 2015年2月21日(土)
時間: 15:00-16:30
場所: 1Fエントランスホールにて上演
事前申し込み:不要
観覧料:無料
*「高松次郎ミステリーズ」展観覧には別途料金が必要です。
神里雄大
作家、舞台演出家/岡崎藝術座主宰。
岡崎藝術座は、東京都・神奈川県を拠点に活動する日本の演劇団体。作家でもある神里雄大が、自身の演出作品を上演する目的で2003年に結成。団体名の由来は、結成時に神里が友人の岡崎誠二に借金をしていたため。そのまま岡崎誠二が座長となった。
ペルー生まれ川崎育ちの神里の演出による作品は、色彩・言語感覚ともに、南米の<上から押さえつけられるような>太陽のイメージとともに、ニュータウンの無機質さ、神経質さも同時に兼ね揃えている。昨今は、政治や社会情勢への態度を積極的に作品に反映させながら、わかりあえない他者との共時性をテーマとした作品を発表している。2010年から2012年にかけ、3年連続でフェスティバル/トーキョーに参加。2011年より、セゾン文化財団ジュニア・フェロー。2012年には、Taipei Arts Festival2012 に正式招待され、初の海外公演を成功させた。2013年に発表した『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』は、岸田國士戯曲賞の最終候補に選ばれた。現在、新作『+51 アビアシオン, サンボルハ』による国内5都市のツアー公演を目前に控えている。
⇒ 岡崎藝術座公式サイト
バースデーイベント、さらにうれしいお知らせ!
映像作家、出光真子が制作した下記の作品を、2日間のみ上映します。
38歳の高松次郎が、インタビューに応え、当時出光の夫だったアメリカの画家、サム・フランシスについて語るという内容です。2012年に取り壊されたアトリエの内部もよく映っています。
出光真子《Sam, Are You Listening?》(部分) 1974年
上映日時:2月20日(金)10:00-20:00 / 2月21日(土)10:00-17:00
上映時間:32分(ループ上映)
上映場所:本館2階休憩コーナー
*「高松次郎ミステリーズ」「奈良原一高 王国」「MOMATコレクション」のいずれかのチケットが必要です。
開催概要
- 会場
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東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
- 会期
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2014年12月2日(火)~2015年3月1日(日)
- 開館時間
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10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
- 入館は閉館30分前まで
- 休館日
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月曜日(ただし1月12日は開館)、12月28日(日)―1月1日(木)、1月13日(火)
- 観覧料
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一般900(600)円
大学生500(250)円- 高校生以下および18歳未満、障害者手帳などをご提示の方とその付添者(1名)は無料。
- ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
- 本展の観覧料金で入館当日に限り、同時開催の 「奈良原一高 王国」と 「MOMATコレクション」もご覧いただけます。
- 主催
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東京国立近代美術館
- 助成
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公益財団法人花王芸術・科学財団
- 協力
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株式会社 遠藤照明
- 出品協力
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The Estate of Jiro Takamatsu
- 関連展覧会
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「高松次郎 制作の軌跡(仮称)」展 国立国際美術館 2015年4月7日(火)―7月5日(日)