見る・聞く・読む
「夏休み!こども美術館」は、東京国立近代美術館の夏の小学生向けプログラム。
今年のこども美術館は「ミッション・イン・ミュージアム」と題し、子どもたちが美術館の様々な場所を巡り、与えられたミッションに挑戦しました。
すべてのミッションを終えるころには、この美術館について知りつくしているはず。
まずはグループごとにテーブルに座り、全員で今日のプログラムの説明を聞きます。
テーブルの上を見ると、そこには早速一つ目のミッションの入った封筒が!
ミッションの内容をもとに、スタッフの持っている地図で行き先を確認して、ミッション・スタートです。
5つのグループが、それぞれ別の場所へと向かいました!
こちらはミッションに導かれ、パウル・クレー《山への衝動》を鑑賞する様子。
まず絵を見て何が描かれているかをお話しました。
たとえばカタカナの「サ」などの文字を見つけたり・・・いろいろなものが見えてきます。
そしてハンドスコープでのぞきながら絵の気になる部分、好きな部分を探します。
その後作品のモノクロコピーに、それぞれ見つけた好きな部分を色鉛筆で塗りました。
部分を塗ることで、月や旗などのモチーフを絵の中から見つけた子もいました。
1階で行われている展覧会「No Museum, No Life? ―これからの美術館事典」の作品を見ながら考えるミッションもありました。
お目当ての作品オーギュスト・ロダン《考える人》を探し、展示室内を歩きます。
ミッションの作品にたどり着くまでにも、いろいろな作品が。
人型の立体作品を見て、「この人は何をしているんだろう」と想像します。
そしてついに《考える人》の前へ。
ミッションは「この人にインタビューをしてみよう」というものです。
色々な方向から見たり、《考える人》と同じポーズをとってみたりと、まずはじっくり鑑賞します。
自分の好きなアングルから作品を眺めつつ、いざ、インタビュー。
「何を考えているのですか」「どうして裸なんですか」などたずねてみます。
《考える人》はお返事をくれないので、みんなで答えも考えてみました。
「娘の名前を考えている」なんて意見も・・・それは考えこむわけですね~。
次のミッションは、企画展出口のすぐそばにあるインフォメーションカウンターのお姉さんからもらいました!
「東京国立近代美術館の館長室を見学しよう!」のミッションでは、館長室へ向かうため、普段は入ることのできない鉄扉を職員さんに開けてもらいました。
大きな窓のある見晴らしのいい館長室で、館長さんにお話を伺いました。
「美術館に来てくれる人たちに楽しんでもらうためにどうすればいいか」、「美術館の職員さんたちがどうすれば気持ちよく働けるか」を話し合うための場所として、館長室が使われていることを聞きました。
子どもたちからは「あのたくさんある本はなんですか」、「館長さんはふだん何時間くらいお仕事されているのですか」などの質問が飛び交いました。館長さんは、一つ一つていねいに答えてくださいます。
館長さんからおみやげに名刺を頂いたあと、作品運搬用の大きなエレベーターに乗り、ガイドスタッフルーム(解説ボランティアの控室)へ。そこでもミッション入りの封筒を見つけました!
ミッション「くらい部屋で、線のなかからシカを見つけよう!」では、加山又造の《悲しき鹿》を鑑賞しました。鑑賞した場所は日本画コーナー。照明が少し落とされた「くらい部屋」です。
何が見えるだろう?何があるんだろう?とよく見てみます。「海?水みたいなものがある!」「太陽がある!」「月じゃない?」と子どもたち自身で話し合う場面もありました。
ミッションのワークシートでは、数頭もつれあうように描かれたシカから、好きなシカを一頭だけ色鉛筆で塗ります。みんなでシカを見つけられたところで、この作品の鑑賞を終えました。
奈良美智の《Harmless Kitty》も鑑賞しました。ミッションの内容は「好きに変えよう。」
まず、この作品の感想やどんなものが描かれているかを一緒に話し合います。
ミッションでは、描かれた人物の「色」や「眼の位置」を変えて、はじめとの印象の違いを楽しみました。
ミッションを通して美術館のさまざまな場所を歩く子どもたち。はじめて出会った子同士でも、グループでミッションに取り組むうち、すっかり仲良くなりました。
こちらは「アートライブラリを調査せよ」というミッションのための移動中、外の彫刻作品を鑑賞している様子。ミュージアムショップの傍の、1階から2階へ上がる階段です。
はじめはアートライブラリという言葉に馴染みが薄く戸惑う姿も見られましたが、
地図で場所を突き止め、ライブラリへ入ります。
ミッションはカウンターで日付のハンコをもらうこと、配られた調査票の挿絵からライブラリの中にあるものに丸をつけること。学校や地域の図書館と違う雰囲気に少し緊張しながらも、みんなでカウンターの人に挨拶し、ライブラリの中を見渡しました。
調査票のイラストに描かれたものがあるかチェックします。
たくさんの本や、資料を探すパソコンなどがありました。
各グループ4つのミッションをクリアした子どもたちはワークショップルームに向かいます。
最後のミッションは、出発地点であったワークショップルームに戻り、今日のすべてのミッションをまとめること。各ミッション終了後にもらったカードなどのおみやげを、アルバムに貼ってコラージュしました。
感想を書いた紙を貼ったり、カラフルな紙でデコレーションしたり。みんな真剣な表情で制作しました。
今日の思い出が詰まった一枚の完成です。
美術館の顔とも言える展示作品から、ふだん見ることのできない美術館の裏側まで様々なものを見て、感じて、考えた今回のミッション・イン・ミュージアム。
夏休みの楽しい思い出として、みなさんの心に残る体験になれば幸いです。
(インターンM、インターンH、研究補佐員H,2015/編集:教育普及室,2023)
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