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本稿でご紹介する『美術史評 第1次』(全4号)と『美術史評 第2次』(全5号)、『記録帯』(全5号)は、1969年の学園闘争の最中、多摩美術大学の学生によって結成された「美術家共闘会議」(通称、美共闘)を前身とする、「美共闘Revolution委員会」(1971年結成)が1971年から1978年にかけて編集・発行していた雑誌です。美共闘および美共闘Revolution委員会のメンバーには、議長を務めた堀浩哉や、刀根康尚、彦坂尚嘉、山中信夫、石内都、宮本隆司らが名を連ねました。これらの印刷媒体は単なる機関誌にとどまらず、展覧会を前提とする既存の美術に対抗する、新たな表現の場になっていたことで知られています(詳細はリストをご確認ください)。
『美術史評』は二期に分かれて刊行されました。第1次の初期には同人による論考の掲載を主としていましたが、後期に入ると投稿論文の掲載が増え、同人以外にも誌面を開放していく姿勢が伺えるようになります。第2次では先の同人を解体後、新体制で臨み、高松次郎などの外部執筆者を交えるようになります。また、渡辺哲也「波打つ波」(『美術史評 第2次』4号(1975年12月))のように誌面に刺繍を施すなど、プラクティカルな表現も見られます。同時期に刊行された『記録帯』は、柏原えつとむをメンバーに加え、パフォーマンスや現地制作など、ものとして残り難い作品を写真や批評文を用いて記録することにより新たな表現を追求しました。
これらの印刷物は、1970年代初頭の美術動向を跡付ける重要な資料と言えるでしょう。2022年に堀浩哉氏より、当館で欠号となっていた巻号をご寄贈いただきました。その中には、印刷の際に用いた刷版をカバーした貴重な1冊(『美術史評 第2次』4号(1975年12月))も含まれています。
資料の利用には、事前に申請手続きが必要です。詳しくは当館のウェブサイトをご確認ください。
資料名 | 巻号 | 発行日 | 資料ID | 特集名等 |
美術史評 第1次 | 1号 | 1971年2月 | 190006942 | |
美術史評 第1次 | 2号 | 1971年6月 | 190006943 | |
美術史評 第1次 | 3号 | 1971年10月 | 190006944 | |
美術史評 第1次 | 4号 | 1972年3月 | 190006945 | 「美術史評」最終号にあたって |
美術史評 第2次 | 創刊号 | 1972年8月 | 190006951 | |
美術史評 第2次 | 2号(通巻6号) | 1973年4月 | 190006952 | <美共闘>資料1970年・夏 |
美術史評 第2次 | 3号(通巻7号) | 1974年4月 | 190006953 | |
美術史評 第2次 | 4号(通巻8号) | 1975年12月 | 190006954 | |
美術史評 第2次 | 5号(通巻9号) | 1978年3月 | 190006955 | 総特集: 憂欝なる80年代文化を踏破せよ! |
記録帯 : art & document | 創刊号 | 1972年6月 | 190006956 | |
記録帯 : art & document | 2号 | 1972年11月 | 190006957 | 特集: 菅木志雄 |
記録帯 : art & document | 3号 | 1973年5月 | 190006958 | カタログ上巻 ‘73/5・<実務>と<実地>・12人展 |
記録帯 : art & document | 4号 | 1973年5月 | 190006959 | カタログ下巻 ‘73/5・<実務>と<実地>・12人展 |
記録帯 : art & document | 5号 | 1977年6月 | 190006961 | 特集: 堀浩哉 柏原えつとむ著 付録あり |
『現代の眼』638号
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