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ジェルメーヌ・リシエ《蟻》1953年
ジェルメーヌ・リシエ(1902–59)《蟻》ブロンズにパティナ99.0×88.0×66.0 cm令和4年度購入撮影:大谷一郎 矩形の台座の上に、女性の身体と蟻の身体が組み合わされた生き物が、両手を上方に伸ばして腰掛けているようにみえます。身体の構造としては、蟻のように胸部から6本の足が出ているのではなく、人間のように2本の腕と2本の足をもっています。しかし、その腕と足は細長く、先端には分岐した爪があり、蟻に近いようです。作家のジェルメーヌ・リシエ本人は、このように人間と動植物や昆虫を組み合わせた彫刻を「ハイブリッド(異種混合)」と呼びました。 厳密に言うと、この生き物は台座に座っているのではなく、台座から足の付け根へと伸びる細い棒が、その身体を支えています。背面に回ると、胸部と腹部がはっきりと分かれており、腹部には縞模様があって、ますます蟻の様相を呈しています。さらに頭部から突き出す小さなツノのようなものは、蟻の触角に見立てたものでしょうか。実はこのツノには、リシエの故郷近くの南仏カマルグで、騎乗の牧夫たちが伝統的に使用してきた三つ又の槍がそのまま用いられています。 ブロンズ像の姿形に加えて、この彫刻を特異なものにしているのは、両手の先と足先、右足の膝、台座の角をつなぐワイヤーの存在です。複数の三角形を形づくるように配置されたワイヤーは、蟻人間の身体のゴツゴツとした表面と対照を成しています。このワイヤーは高く掲げられた両腕を支えているようでもありますが、構造上必要なものというよりは、造形的な理由から用いられているようです。ワイヤーは像の周囲の空間を可視化し、その存在によって、この生き物の動きは、強調されているようにも、抑制されているようにもみえます。 1920年代後半のパリで、アントワーヌ・ブールデル(1861–1929)のもとブロンズ彫刻の基礎を学んだリシエは、第二次世界大戦の勃発によりチューリヒに留まった6年間あまりのあいだに、人間と動植物のハイブリッドな彫刻を手がけるようになります。その一方で、ロダンからブールデルへと至るフランスの彫刻の伝統とは相反するような、穴やひび割れ、凹凸のある造形による、よろめき、ふらつく人間の彫像を生み出しました。 彫刻家の土谷武(1926–2004)は、そんなリシエの作品が孕む不安定さについて次のように語っています。「リシエは運動や均衡の考え方でも明らかに現代的です。[…]不安定で一見倒れそうにみえても、次の動きを不安定のなかにはらむことによって、かろうじて均衡を保っているような形態は古典的な方法からは考えられません」1。こうした不安定さは、リシエと同時代の彫刻家アルベルト・ジャコメッティ(1901–66)の作品にはみられないものです。ジャコメッティの彫像は、細長くやはり表面に凹凸があるものの、直立ないしは確かな足取りで歩みを進めています。動きや姿勢の不安定さという視点で彫刻史を眺めてみると、リシエの先駆性は際立ってくるかもしれません。リシエの不安定なバランス感覚は、ワイヤーの中に宙吊りになったような《蟻》の、奇妙なポーズにも息づいています。 註 1 土谷武「豊かさを感じるとき—美しいものとの出会い」『土谷武作品集』美術出版社、1997年、171頁。 『現代の眼』638号
長谷川利行《大庭鉄太郎像》1937年
長谷川利行(1891–1940) 《大庭鉄太郎像》 1937年油彩・キャンバスボード26.9×21.6cm2021年度 小平省三氏寄贈 まず白色で明るい部分をおおまかにつかむ。次に暗部に紺色と緑色をのせる。続いて黒色の線で輪郭や目鼻を描いて図を確定させる。最後に再び白色、そして朱色と芥子色でハイライトを入れる……おおむねこのような順序で描かれたのでしょう。緑色は襟元に入るのみで、画面全体はほぼ白、紺、黒、朱、芥子の5色だけで描かれています。モデルは、当時朝日新聞社会部記者でのちに文筆で名を馳せる大庭鉄太郎(1910–79)。長谷川から直接この作品を手渡された大庭が制作時の回想を残しています。 やがて三人で、近くの喫茶店へいったが、話すのは天城[俊彦]と私だけで、利行は鉛筆で紙切れにしきりと絵を描いていた。画廊にもどってくると、天城はどこかへ出かけた。利行は天城がいなくなるのを待っていたかのように、急に元気づいて、「一枚、描きましょう」と、私を隣りの部屋へ連れていった。そして三号の似顔を描いてくれたが、十五分ぐらいしかかからなかったろう。ところどころは、筆代りにチューブを押し出しながら描いた。むろん、原色のままである。1 A4サイズ程度の小さな作品であるとはいえ、15分というスピードは驚異的です。このときは、長谷川の作品販売を管理していた画商の天城がいない隙を見計らって急ぐ必要があったようですが、長谷川の速筆は有名でした。塗るというよりは書く(掻く)ように線で描いていく長谷川のスタイルは、高速の制作と一揃いの関係にありました。絵具が乾かないうちに筆を入れていくので、色を重ねた部分はおのずと下層の絵具をからめとります。長谷川の作品全体に共通する特徴的な白色の多用は、絵具が混ざることで画面が暗く重たくなってしまうことを避けたからではないでしょうか。白を拾った別の色は淡く変化し、暴力的なほどの筆致の勢いの一方で、印象はあくまでフレッシュです。画面であると同時にパレットでもある作品であるがゆえに、画家の手さばきと速度、そして手順までがありありとわかります。美術批評家の沢山遼は次のように評しています。「長谷川の絵画を特徴付けるのは、線の散布が生起させるその非気密性である[中略]長谷川の描く都市は、関東大震災後のカタストロフを経て再び蜃気楼のように立ち上がった揺れ動く東京に、ひとつの真実性を与えるものであったにちがいない」2。すなわち、線的な筆触の網で出来上がった隙間だらけの画面は、同じように隙間だらけだった震災後のバラックや、東京という都市と一体のものであった、と。画面の構造と主題の合致。都市を放浪し、奔放な生活で知られた無頼の画家・長谷川利行は描き方もまた奔放であった——このような評言はほとんど定番化していますが、「描き方」でなく作品そのものが奔放であり無頼であるとはどういうことかを、考えさせてくれる作品です。 註 1 大庭鉄太郎「利行の新宿時代」『長谷川利行未発表作品集』(東広企画、1978年)、81頁。[ ]内は引用者註。2 沢山遼「長谷川利行展「七色の東京」 筆触網と非気密性」『美術手帖 ウェブ版』2018年6月5日号https://bijutsutecho.com/magazine/review/16256 『現代の眼』639号
小村雪岱《邦枝完二著「江戸役者」挿絵》1932年
小村雪岱(1887–1940)《邦枝完二著「江戸役者」挿絵》1932年墨・紙(70図) 彩色・紙(見返し2図) 画帖各15.0×23.4cm 見返し各19.6×54.7cm令和5年度購入 1932(昭和7)年9月20日から12月28日まで、『東京日日新聞』と『大阪毎日新聞』の夕刊に全70回にわたって連載された邦枝完二「江戸役者」には、小村雪岱による挿絵がつけられました。その挿絵の原画が2022(令和4)年に発見され、このたび当館のコレクションに加わりました。原画は連載のために描かれた70図すべてが揃い、画帖(折帖ともいいます)の見開きに2点ずつ、表に計36点、裏に計34点が貼り込まれた形で世に現れました。画帖の題箋には雪岱自身による筆で「江戸役者」とあり、画帖裏の末尾にはこれも雪岱自筆で「大阪毎日新聞/東京日日新聞/掲載邦枝完二/作江戸役者/挿画/小村雪岱(印)」と記されています。となれば、表の前見返しと裏の後ろ見返しに色付きで描かれた桜の絵も雪岱によるものと考えてよいでしょう。見返しに桜を描いたのは、「江戸役者」の終盤の舞台となった春の隅田川の情景にちなんでのことと思われます。ところで、小説家・邦枝完二と、挿絵画家・小村雪岱のコンビといえば「おせん」がよく知られています。「江戸役者」からおよそ一年後、『東京朝日新聞』と『大阪朝日新聞』の夕刊に連載された「おせん」は、肥痩のないシャープな描線、白黒のコントラストが明快な画面処理、俯瞰の構図等による、いわゆる「雪岱調」で人気を博しました。ところが、それより一年も前に描かれたこの「江戸役者」を見ると、とりわけ原画ではシャープな線の清々しさが一層際立っていて、多くの人々の心をとらえた「雪岱調」はすでにこの時点で仕上がっていたことが納得されます。「江戸役者」の挿絵に雪岱を指名したという邦枝も、挿絵の出来を高く評価していました。 「江戸役者」は拙作中でもいまだに好きな物の一つであるが、この時の雪岱さんの挿繪が實に好かつた。世間では朝日新聞に載せた「おせん」の挿繪を第一位に置いてゐるが、どちらかといへば、作者自身の好みからいつて、「江戸役者」の方が勝れてゐたと思ふ」(註1)。 とはいえ、「おせん」に比べ知名度は今ひとつな「江戸役者」。雪岱の研究者である真田幸治氏が指摘するように、全挿絵を再録した『絵入草紙おせん』(新小説社、1934年)等の刊行物に恵まれた「おせん」に対し、読み捨ての新聞にしか挿絵が載らなかった「江戸役者」は埋もれてしまった(註2)ということなのでしょう。こうして原画が出てきた今、がぜん「江戸役者」に注目が集まることになると期待しています。 註 1 邦枝完二「雪岱さん」『双竹亭随筆』(興亜書院、1943年)p.1512 真田幸治「解説 小村幸岱と邦枝完二の『江戸役者』」『江戸役者 東京日日新聞夕刊連載版』(幻戯書房、2023年)p.231 『現代の眼』639号
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令和6年能登半島地震への募金のお礼とご報告
令和6年能登半島地震による被災者の皆さまには心よりお見舞い申し上げます。 東京国立近代美術館では、大規模災害で被災した博物館や文化財等の救援・修復に活用させていただきたく、館内に募金箱を設置いたしておりました。 令和6年1月23日から12月22日までにお預かりしました95,946円の募金は、公益財団法人日本博物館協会に寄付させていただきましたので、ご報告いたします。 多くの皆さまのご協力に心より感謝申し上げます。
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教材
アートカード貸出 鑑賞教材「国立美術館アートカード・セット」貸出についてはこちら MOMATコレクション こどもセルフガイド 鑑賞教材「MOMATコレクション こどもセルフガイド」についてはこちら MOM@T Home こどもセルフガイド デジタル鑑賞教材「MOM@T Home こどもセルフガイド」についてはこちら 鑑賞素材BOX 主に小学校から高等学校までの授業で活用されることを想定した、デジタル鑑賞教材です。国立美術館所蔵の名作を、高精細画像で電子黒板へ投影したり、タブレット端末へ配信したり、ワークシートを作成することができます。 授業準備にあたっては、「図工・美術のキーワード」や「他教科へのひろがりキーワード」を使って作品を選ぶことができます。
針の女
湿地
フェミニズムと映像表現 (2024.9.3–12.22)
展覧会について 1960年代から1970年代にかけて、テレビの普及やヴィデオ・カメラの登場によってメディア環境が急速に変化すると、作家たちは新しいテクノロジーを自らの表現に取り入れはじめました。同じ頃、世界各地に社会運動が広がり、アメリカでは公民権運動、ベトナム反戦運動などの抗議活動が展開されます。そのなかでフェミニズムも大衆的な運動となり、男性優位の社会構造に疑問を投げかけ、職場や家庭での平等を求める女性が増えました。この状況は、女性アーティストたちが抱いていた問題意識を社会に発信することを促しました。主題や形式の決まっている絵画などに比べると、ヴィデオは比較的自由で未開拓な分野だったため、社会的慣習やマスメディアの一方的な表象に対する抵抗を示すことにも有効でした。この展示では、こうした時代背景を起点とする1970年代から現代までの映像表現を、作品鑑賞の補助線となるいくつかのキーワードを通じて紹介します。 ダラ・バーンバウム《テクノロジー/トランスフォーメーション:ワンダーウーマン》1978-79年、Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York キーワード1:マスメディアとイメージ 1960年代から1970年代には先進国を中心にテレビが急速に普及しました。マスメディアのイメージは、ジェンダー(社会的・文化的に構築された性差)のあり方に大きな影響を及ぼします。マスメディアはしばしば、性役割についてのステレオタイプなイメージを発信してきました。例えば、女性は献身的で従順な「主婦」や「母」として描かれ、また「男らしさ」や「女らしさ」などの描写を通じて異性愛のみが優位に置かれました。マスメディアの隆盛と並行して登場したヴィデオ・アートは、テレビ番組の映像や形式そのものを直接的に流用して再構成できるヴィデオの特性を活かすことで、マスメディアの恣意的なイメージの裏に隠されている問題に切り込みました。マーサ・ロスラーは、テレビの料理番組をパロディ化して、家庭内労働や家父長制への違和感を示しています。またダラ・バーンバウムは、女性ヒーローの変身シーンを物語から切り離すことで、男性の目を引くアイキャッチとしての女性の役割を浮き彫りにしています。 マーサ・ロスラー《キッチンの記号論》1975年、Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York ダラ・バーンバウム《テクノロジー/トランスフォーメーション:ワンダーウーマン》1978-79年、Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York キーワード2:個人的なこと ヴィデオ普及以前の主要な映像記録媒体であった8ミリや16ミリのフィルムは、撮影後に現像とプリントが必要なため上映までに時間を要しました。1960年代にヴィデオ・カメラが登場すると、撮影後すぐに上映可能な即時性が注目され、撮った映像をその場で見せるライブ・パフォーマンスや即興的な撮影がさかんに試みられます。生成と完成のタイムラグが極めて少ないヴィデオは、撮りながら考える、あるいは撮ってから考えることを可能にし、身の回りの題材や個人的要素を反映した作品も制作されました。マーサ・ロスラーが《キッチンの記号論》を発表した当時、アメリカでは女性の料理研究家のテレビ番組が国民的人気を博しており、ロスラーの意見(料理を女性の役割とみなすことへの違和感)は少数派だったかもしれません。しかし本作品は国や時代を超え、現在も共感を集めています。出光真子の《主婦たちの一日》では4人の主婦が起床から就寝までの行動を語っていますが、名前も顔も明かされない彼女たちの言葉は、私的な逸話であることを超え、主婦という存在がおかれた状況を浮き彫りにします。個人の声をダイレクトに伝えるヴィデオは社会に問いを投げかけるメディアでもあるのです。 出光真子《主婦たちの一日》1979年 キーワード3:身体とアイデンティティ 1960年代から1970年代はパフォーマンス・アートの登場など、芸術において身体への関心が高まった時代でした。ヴィデオを使ったアーティストたちも、同様に身体表現を探求しました。リンダ・ベングリスやジョーン・ジョナスは、ヴィデオで撮影した自分自身をモニターに映し出し、実際の身体をその映像と重ね合わせることで、本来の自分とメディアを介したイメージとのズレを強調しました。これにより彼女たちの作品は、メディアにおける「見られる女性身体」のイメージからの逸脱や乖離(かいり)をも示唆するものとなっています。70年代以降には、無数のイメージに囲まれた生活のなかで身体のリアリティを回復しようとする作品も登場します。塩田千春は、パフォーマンス・アーティストのマリーナ・アブラモヴィッチに学んだのち、自らのアイデンティティを主題とした映像作品《Bathroom》を制作しました。ここでは塩田が有機的な物質でもある泥をかぶるパフォーマンスを通じて、人工的な都市のなかで身体の感覚を改めて取り戻すことが意図されています。 ジョーン・ジョナス《ヴァーティカル・ロール》1972年、Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York リンダ・ベングリス《ナウ》1973年、Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York 塩田千春《Bathroom》1999年、© VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 G3590 キーワード4:対話 ヴィデオというメディアは、絵画や彫刻、写真にはない、発話という新しい要素を芸術表現にもたらしました。出光真子の《主婦たちの一日》では、4人の主婦たちが家の間取り図やご近所マップを前に、自分たちの1日の行動について語り合います。異なる人間が4人も集まっているにも関わらず、彼女たちの行動範囲やパターンは驚くほど一致しています。遠藤麻衣×百瀬文の《Love Condition》では、2人の作家が粘土をこねながら、「理想の性器」についての対話を繰り広げます。両者のアイデアの差異や一致が、次々と新たな展開を生んでいきます。いずれの作品においても、対話はあらかじめシナリオが決められているわけではない、脱線や混線、笑いの伴う即興的な「おしゃべり」として展開することが特徴です。他方、キムスージャの《針の女》では声を伴う会話はありませんが、都市の雑踏のなか、針のように直立不動で立つ女性と、彼女に気づき眼差しを向ける人々の間には、異質な存在どうしの無言の対話が生まれているのではないでしょうか。 キムスージャ《針の女》2000-01年、Courtesy of Kimsooja Studio 遠藤麻衣×百瀬文《Love Condition》2020年 開催概要 東京国立近代美術館2Fギャラリー4 2024年9月3日(火)~12月22日(日) 月曜日(ただし9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日 10:00–17:00(金曜・土曜は10:00–20:00) 12月16日(月)は臨時開館(10:00–17:00) 入館は閉館の30分前まで 一般 500円(400円) 大学生 250円(200円) ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。 5時から割引(金曜・土曜) :一般 300円 大学生 150円 高校生以下および18歳未満、65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。入館の際に、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。 キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。 「友の会MOMATサポーターズ」、「賛助会MOMATメンバーズ」会員の方は、会員証のご提示でご観覧いただけます。 「MOMAT支援サークル」のパートナー企業の皆様は、社員証のご提示でご観覧いただけます。(同伴者1名迄。シルバー会員は本人のみ) 本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)もご覧いただけます。 11月3日(文化の日) 東京国立近代美術館
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データベース
蔵書検索(OPAC) 「蔵書検索(OPAC)」では、東京国立近代美術館アートライブラリが所蔵するさまざまな資料を検索できるほか、開室日や、図書や雑誌の新着案内、調査に役立つデータベースのご紹介もしています。 東京国立近代美術館リポジトリ 東京国立近代美術館リポジトリは、東京国立近代美術館が刊行した研究紀要や館報等を蓄積・保存し、インターネットを通じて公開するシステムです。 所蔵作品総合目録検索システム 独立行政法人国立美術館の5つの美術館が所蔵する作品の総合目録検索システムです。 国立美術館サーチ(試験公開版) 国立美術館のコレクションや情報資料を横断的に検索できるサイトです。 美術図書館横断検索 美術図書館連絡会(ALC: The Art Library Consortium)は、美術および関連分野の調査研究を支援するため、日本国内に所在する研究資源へのアクセス向上を図る図書館コンソーシアムです。ALC参加館の所蔵情報を横断検索することができます。 全国美術館収蔵品サーチ「SHŪZŌ」 日本国内の登録博物館、博物館相当施設等が収蔵する美術品の検索システムです。 文化遺産オンライン 文化遺産オンラインは、文化庁が運営する我が国の文化遺産についてのポータルサイトです。 全国の博物館・美術館等から提供された作品や国宝・重要文化財など、さまざまな情報をご覧いただけます。 ジャパンサーチ ジャパンサーチは、書籍・公文書・文化財・美術・人文学・自然史/理工学・学術資産・放送番組・映画など、我が国が保有する様々な分野のコンテンツのメタデータを検索・閲覧・活用できるプラットフォームです。 Getty Research Institute Search Tools and Databases:Getty Research Institute所蔵の資料をはじめ、その他のデジタルリソースにアクセスすることができるデータベースを提供しています。 【館内限定】ProQuest ARTbibliographies Modern (ABM)モダンアートおよびコンテンポラリーアートを専門とする書誌情報としては唯一のものです。 絵画、彫刻、写真からビデオアート、ボディアート、グラフィティまで、あらゆる芸術形式を網羅しています。 1960 年代後期以降のものから、完全抄録と索引を提供しています。Design and Applied Arts Index (DAAI)デザイン・工芸分野にかかわる多様な記事を収録し、1973 年から現在までのジャーナル記事、展覧会批評、ニュース項目を検索できます。 工芸、グラフィックデザイン、ファッション、インテリア、建築、ウェブデザイン、アニメーション、造園など、幅広い分野をカバーしています。International Bibliography of Art (IBA)この分野で最も信頼されている「Bibliography of the History of Art (BHA) 」の継承後誌を公開しているウェブ版データベースで、BHA の編集方針を踏襲しています。 このデータベースには、Getty Research Institute により 2008年から2009 年に作成されたレコード、ならびに同じシソーラスと典拠ファイルを使用して ProQuest により新たに作成されたレコードが含まれます。 【館内限定】JSTOR 「JSTOR」は米国非営利公益法人による美術雑誌170タイトル以上を含む学術アーカイブです。(2019年9月現在) 【館内限定】Oxford Art Online (OAO) OAO は、旧グローブ社美術事典The Dictionary of Art のオンライン版です。The Dictionary of Art のフルテキストを含んだGrove Art Online のほか、The Oxford Companion to Western Art, Encyclopedia of Aesthetics, The Concise Oxford Dictionary of Art Terms, Benezit Dictionary of Artistsも横断検索できます。 【館内限定】図書館向けデジタル化資料送信サービス 図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)は、国立国会図書館がデジタル化した資料のうち、絶版等の理由で入手が困難な資料を全国の公共図書館、大学図書館等の館内で利用できるサービスです。2019年1月よりサービス提供開始(ご利用には本人確認書類が必要です)。
資料紹介#7 | Photographie
本稿で紹介するPhotographie(Arts et Métiers graphiques , 1930–1947)は、両大戦間のパリで刊行された写真専門の雑誌です。判型はA4版よりひと回り大きく(31×24cm)、リング綴じの特殊な仕様となっています。本資料は2024年7月に寄贈により当館の所蔵となりました。 Photographieは1930年の創刊ですが、初号はグラフィックアート誌のArts et Métiers graphiquesの16号として発行されました。以降、同誌の派生誌としてPhotographieは独立し、1947年まで年1号ずつ発行され、その数は全11冊におよびます(戦時下の1940–1946年は未刊。詳細はリストをご確認ください)。 発行元のArts et Métiers graphiquesは、パリの大手活字鋳造会社ドゥベルニー・エ・ペニョ(Deberny et Peignot)で、芸術監督を務めていたシャルル・ぺニョ(Charles Peignot, 1897–1983)が立ち上げたスタジオです。ぺニョは、「両世界大戦間期のフランスにおける写真の発展を担った中心人物の一人」1として知られる人物です。 Photographieは、「フランス国内外で発展したラディカルな写真の動向をまとめて紹介したフランス最初の出版物」2とされ、誌面にはさまざまな写真家の名が並びます。マン・レイ(Man Ray, 1890–1976)や、アンドレ・ケルテス(André Kertész, 1894–1985)、モーリス・タバール(Maurice Tabard, 1897–1984)、ラースロー・モホイ=ナジ(László Moholy-Nagy, 1895–1946)といった、シュルレアリスムやバウハウス等で活躍した写真家の他、エドワード・スタイケン(Edward Steichen, 1879–1973)やセシル・ビートン(Cecil Beaton, 1904–1980)、ジャン・モラル(Jean Moral, 1906–1999)などのファッション誌で活躍した写真家による作品も多数掲載されています。誌面には写真やアート、色彩や光学、映画に関するテキスト、巻末にはその年の写真に関する出来事等がまとめられています。当時の多様な写真表現を研究する上で、重要な雑誌と言えるでしょう。 資料の利用には事前申請手続きが必要です。詳しくは当館のウェブサイトをご確認ください。 註 礒谷有亮「1920年代のフランスにおけるグラフィックアートの発展と写真の位置:広告写真スタジオ、ストゥディオ・ドゥベルニー・エ・ペニョ(1929)」『待兼山論叢 芸術篇』53号(2019年12月)、1頁 同書、2頁 Photographie創刊号の表紙 創刊号の表紙をめくるとArts et Métiers graphiques 16号の記載がある 巻号刊行年掲載テキスト資料ID16(1930)1930 Waldemar George, “Photographie vision du monde” 19000652719311931Philippe Soupault, “Etat de la photographie: Après avoir été méprisée, négli-” [author unknown], “Remarques de l'année photographique” 19000652819321932André Beucher, [no title] F. De Lanot, “Remarques de l'année photographique” 1900065291933–19341933 Louis Cheronnet, “Pour un musée de la photographie” F. De Lanot, “Remarques de l'année photographique” F. De Lanot, “Notes sur photo” 19000653019351935 Georges Hilaire, “Peinture et photographie: un procès” J. V., “Considérations sur l'évolution de la photographie” R. Auvillain, “Les nouveautés techniques de l'année photographique” 19000653119361936 Pierre Abraham, “Photographie et témoignage” Jean Vetheuil, “La photograhie s'impose” R. Auvillain, “Les nouveautés techniques de l'année photographique” 19000653219371937 Jean Selz, “Exercice de contemplation” René Servant, “Couleur” Henri Canonnier, “Avenir de l'optique” René Auvillain, “Résumé technique de l'année photographique” 19000653319381938 Jacques B. Brunius, “Photographie et photographie de cinema” Robert Auvillain, “Les nouveautés techniques de l'année photographique” R. Servant, “Technique 1938” 19000653419391938Jean Selz, “Par dela la réalité” R. Servant, “La couleur dans la photographie et le cinema” R. Auvillain, “Les nouveautés techniques de l'année photographique” 19000653519401939André Lejard, “La photographie au service de l'art” R. Auvillain, “Les nouveautés techniques de l'année photographique”19000653619471947Pierre Scize, “Photographie” 190006537 『現代の眼』639号
