チケットの検索結果
チケットの検索結果
- コレクション0
チケット
企画展 2024年10月1日~12月22日 所蔵作品展 いずれも消費税込。 国際博物館の日(5月18日)と文化の日(11月3日)は無料(休館日にあたる場合を除く) 「MOMATコレクション」「コレクションによる小企画」を無料でご鑑賞できる方 ・高校生以下および18歳未満、65歳以上の方・キャンパスメンバーズ加盟校の学生・教職員・障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)※入館の際に、学生証、教職員証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。 ・「MOMATパスポート」をお持ちの方・「MOMATサポーターズ(友の会)」会員の方・「MOMATメンバーズ(賛助会)」会員の方(同伴1名)・「MOMAT支援サークル」パートナー企業の皆様(同伴1名。シルバーパートナーは本人のみ)※入館の際に、会員証、社員証をご提示ください。 キャッシュレス決済 チケット売り場での観覧券ご購入時には、現金のほか、各種キャッシュレス決済サービスがご利用いただけます。「ぐるっとパス」のご購入は現金のみとなります。 お得な観覧制度 団体観覧 20名以上のご来館は団体料金でご覧いただけます MOMATパスポート MOMATの所蔵作品展を何度も観覧したい方へ キャンパスメンバーズ 大学・短期大学・高等専門学校等の皆さまへ 友の会 MOMATをもっとお得に楽しみたい方へ
ガウディ展の前売券をお持ちの方、無料対象の方、当日窓口でチケットをお買い求めの方へ
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」は、日時予約のない方に整理券を配布しての入場制限を実施中です。 特に土日は整理券の予定枚数が早めになくなる可能性があり、日時予約のない方は入場いただけない場合がございます。9月10日(日)まで夜間開館(20:00閉館)を実施中ですので、平日にご来館ください。 (9月7日追記)9月6日(水)は18時30分過ぎに整理券配布が終了しました。平日ご来館の方も整理券配布状況をご確認の上、お早めにご来館ください。 整理券の配布状況は本展公式X(旧Twitter)またはハローダイヤル(050-5541-8600)でご確認ください。 日時予約をしていない方 空きがあればART PASSからオンラインによる日時予約(「購入済みチケット」という0円の予約枠)をお願いいたします。現在、平日の日中と土日は日時予約が売り切れています。 オンラインでの日時予約枠はすべて埋まりましたので、直接ご来館のうえ整理券をお受け取りください。 整理券配布が終了した場合、その日の最終時間帯(19:00)でのご入場となります。ご了承ください。整理券の配布状況は本展公式X(旧Twitter)またはハローダイヤル(050-5541-8600)でご確認ください。 空きがあればART PASSからオンラインによる日時予約(「一般」「大学生」「高校生」の有料予約枠)をお願いいたします。現在、平日の日中と土日は日時予約が売り切れています。 オンラインでの日時予約枠はすべて埋まりましたので、美術館の窓口にて当日券をお買い求めください。併せてすぐ下の「当日美術館窓口でチケットを買い求めの方」の項目を必ずご一読ください。 美術館窓口で当日券を購入した方は整理券にて順次ご入場いただいています。 整理券配布が終了した場合、当日券の販売も終了し、その日はご入場いただけません。美術館の収容人数上、ご理解のほどよろしくお願いいたします。整理券の配布状況は本展公式X(旧Twitter)またはハローダイヤル(050-5541-8600)でご確認ください。 空きがあればART PASSからオンラインによる日時予約(「無料観覧券」という0円の予約枠)をお願いいたします。現在、平日の日中と土日は日時予約が売り切れています。 オンラインでの日時予約枠はすべて埋まりましたので、直接ご来館のうえ整理券をお受け取りください。 整理券配布が終了した場合、その日はご入場いただけません。美術館の収容人数上、ご理解のほどよろしくお願いいたします。整理券の配布状況は本展公式X(旧Twitter)またはハローダイヤル(050-5541-8600)でご確認ください。 日時予約、整理券なしでご案内しています。 整理券配布が終了するほど混雑した場合、その日はご入場いただけません。美術館の収容人数上、ご理解のほどよろしくお願いいたします。整理券の配布状況は本展公式X(旧Twitter)またはハローダイヤル(050-5541-8600)でご確認ください。 保護者の方が日時予約済みの場合、小中学生の方はその保護者の方と一緒にご入場いただけます。 日時予約、整理券なしでご案内しています。 9月8日(金)から10日(日)までは、終日、賛助会・友の会の新規受付を停止します。継続・更新の方は受け付けていますので、会員証を持参のうえお声がけください。 日時予約をしている方 予約日時まではご入場いただけません。お時間までは所蔵作品展(2-4F)や館外でお待ちいただきますようご協力をお願いいたします。 団体の方(20名以上) 混雑のため、ガウディ展に関する団体の方向けの事前受付を停止しています。窓口でのチケットご購入順にご案内しますので、混雑時には、入場までお待ちいただいたり、その日のご入場ができない場合があります。ご了承ください。
Family Day こどもまっと 2024
子どもと一緒に、はじめての、ひさしぶりの、美術館へ! 「Family Day こどもまっと」は子どもと一緒に気兼ねなく美術館を楽しめる特別な二日間。周りが気になって美術館から足が遠のいていた方も、お子さんと一緒に、はじめての、ひさしぶりの美術館へ来てみませんか? 本イベントは事前予約制(日時指定)です。詳しくはチケット情報をご確認ください。 ここが安心! 声をあげて泣いても笑ってもOK 授乳室・おむつ替えスペース・休憩スペースあり ベビーカーでの館内移動OK 館内での写真撮影OK キッチンカーでドリンクとフードを販売 日時予約制で入場がスムーズ 子ども向けプログラムがいろいろ! 参加の事前予約は不要、追加料金なしで、当日気軽にご参加いただけます。 国内外の名作がずらり! 岡本太郎、草間彌生、セザンヌ、ルソーなど、国内外の巨匠の名作約200点をご覧いただけます。 プログラム・展覧会 こども向けの対話鑑賞プログラム MOMATコレクション発見隊 当館ガイドスタッフ(ボランティア)と一緒に、作品をよくみて、感じたことやかんがえたことを、お話しします。展示室内での声掛けで始めるので、その場で気軽にご参加ください。その日に出会った作品やガイドスタッフ、一緒に参加する仲間とのやりとりをお楽しみください。 5歳以上(保護者同伴のうえ、ご参加ください) 10:00~12:00/13:00~15:0016:00(各回15分程度) ※開催時間を修正しました(2024.9.5) 4~2F所蔵品ギャラリー ファミリー向けの美術館体験プログラム MOMATまるごと探検隊 色やかたちなどをテーマに、当館スタッフがナビゲーターとなって東京国立近代美術館を探検します。展示室だけでなく、美術館をまるごと楽しむプログラムです。 子どもとその保護者の方 10:00~12:00/13:00~15:0016:00(各回30分程度) ※開催時間を修正しました(2024.9.6) 当日に2階の受付でお申込みください 子ども向け鑑賞ツール みつけてビンゴ! ビンゴのイラストに描かれたものをみつけましょう。作品の中に描かれた形や色、展示室でみかけるイスや人など、さまざまなものに目を向け、美術館を楽しんでください。 子どもとその保護者の方 1階エントランスホールで無料配布 展覧会 小特集「芥川(間所)紗織 生誕100年」より芥川(間所)紗織《女(B)》1955年 所蔵作品展「MOMATコレクション」 13,000点を超える所蔵作品から選りすぐりの約200点を、3フロア12の部屋に分けて展示します。19世紀末から現代までの日本美術の歴史を、海外作品も交えながら、毎回多様な切口で紹介しています。 館内設備 授乳室4か所 おむつ替えスペース(多目的トイレ)3か所 ベビーカー置き場1か所 エレベーター2台 休憩スペース(一部のエリアのみ飲食OK) ※「Family Day こどもまっと」当日のみの臨時設備を含みます。※館内ではベビーカーのご利用も可能です。フロア間の移動はエレベーターをご利用ください。 飲食サービス 「ラー・エ・ミクニ」キッチンカー 美術館の前庭でドリンクやフードのテイクアウト販売をおこないます。前庭や休憩スペースでお召し上がりください。 営業時間 11:00~15:00 美術館からのお願い 作品の安全のため、美術館マナーへのご協力をお願いいたします。 さわらない 作品のケースも汚さないようご配慮ください ゆっくり歩く 作品や人にぶつからないよう、ゆっくり歩きましょう。未就学児の方は手をつないでご移動ください 柵や線の中には入らない 決められた距離で作品をご覧ください メモは鉛筆で 作品を汚したり傷つけないように。鉛筆は貸し出しもしています 写真撮影について 展示室内では写真撮影OKです。ただし、次のルールをお守りください。 動画は撮影できません 撮影禁止マークの作品は撮影できません フラッシュ、三脚、自撮り棒は使用できません チケット情報 予約・販売期間 8月26日(月)10:00~各日の当日9:00まで 「Family Day こどもまっと」のご入場は事前予約(日時指定)が必要です。専用ページからオンラインでご購入・ご予約ください。 所蔵作品展「MOMATコレクション」のみ。企画展は展示替え期間中のため閉室しています。 障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。入場の際に障害者手帳等をご提示ください。 学生と65歳以上の方は、それぞれ入場の際に学生証、年齢がわかる証明書をご提示ください。 9月21日(土)17時以降は「17時から割引」の料金になります。 チケットのご購入・ご予約について ・無料対象の方、割引、招待券をお持ちの方も予約が必要です。割引対象の方は当日窓口にてチケットをご購入ください。・オンラインチケットは早めに販売終了になる可能性がございます。空きがある場合のみ、窓口で当日チケットを販売いたします。・チケットはご来館日の朝9:00までキャンセルが可能です。・団体でのご予約はお受けできません。 当日のご入場について ・指定した時間枠内であればいつでもご入場いただけます。・各時間枠の開始時刻直後は混雑が予想され、入場をお待ちいただく場合があります。開始時刻から少し遅れてのご来館をおすすめいたします。・滞在時間の制限はありません。当日に限り再入場が可能です。 「Family Day こどもまっと」は、子ども達が芸術に触れる機会の拡大を目指す国立美術館全体の取り組みである「Connecting Children with Museums」のひとつで、Adobe Foundationのご支援のもと実施されています。 「Connecting Children with Museums」のその他の取り組みについては、こちらからご覧いただけます。 Connecting Children with Museums initiative is supported by the Adobe Foundation.
ハニワと土偶の近代
古(いにしえ)の地層から出土するハニワや土偶のイメージは日本中に浸透し、いまや押しも押されもせぬキャラクターと化しているといっていいでしょう。出土遺物は、美術に限らず、工芸、建築、写真、映画、演劇、文学、伝統芸能、思想、さらにはテレビ番組にいたるまで、幅広い領域で文化現象を巻き起こしてきました。戦後、岡本太郎やイサム・ノグチによって、それまで考古学の資料として扱われていた出土遺物の美的な価値が「発見」されたというエピソードはもはや伝説化しています。なぜ、出土遺物は一時期に集中して注目を浴びたのか、その評価はいかに広まったのか、作家たちが「遺物」の掘りおこしに熱中したのはなぜか――本展は美術を中心に、文化史の舞台に躍り出た「出土モチーフ」の系譜を、明治時代から現代にかけて追いかけつつ、ハニワや土器、土偶に向けられた視線の変遷を探ります。 展覧会のポイント 1 ハニワ・土偶ブームの裏側、掘りおこします きっと誰もが子どもの頃に出会い、身近な存在として親しんできたハニワや土偶。それらが歴史教科書の冒頭に登場するようになったのは、実は遠い昔のことではなく、「芸術」として語られるようになったのも近代以降のこと。 美術品を鑑賞しながらハニワ・土偶ブームの裏側が見えてくる、一粒で二度おいしい展覧会です。 2 考古図譜からマンガまで 本展の大きな特徴はとりあげる時代とジャンルの幅広さ。出土品を克明に描いた明治時代のスケッチから、果てはマンガまで。 ハニワと土偶があらゆる文化に連なっていることを知ると、美術館を出た時、景色が少しだけ変わってみえるかもしれません。にぎやかな展示にご期待ください。 3 ハニワと土偶のメガネで未来が見える 遺物をめぐるブームにはいつも容易ならぬ背景があり、今後もきっと繰り返されるでしょう。 本展は過去の回想に留まらず、これから起こり得ることの示唆にもなるはずです。古(いにしえ)から未来が掘り出される! 展覧会構成・主な展示作品 序章 好古と考古 ―愛好か、学問か? 「古(いにしえ)を好む」―古物を蒐集し、記録し、その魅力を伝える「古物愛好」は近代以前も存在し、江戸時代後期には「好古家」と呼ばれる人たちが活躍しています。一方、明治の初めに西洋のお雇い外国人たちによって「考古学」がもたらされました。序章では「好古」と「考古」と「美術」が重なりあう場で描かれた出土遺物を紹介します。描き手の「遺物へのまなざし」を追体験しつつ、「遺物の外側に何が描き込まれているか」にもご注目ください。「異」なるものが交じり合う、近代の入り口付近の地層が浮かび上がってくるでしょう。まずは古と近代が出会う違和感をお愉しみください。 蓑虫山人《陸奥全国古陶之図》(部分)1882-1887年頃 弘前大学北日本考古学研究センター 河鍋暁斎《野見宿禰図》1884年 松浦武四郎記念館 五姓田義松《埴輪スケッチ(『丹青雑集』より)》1878年 個人蔵(團伊能旧蔵コレクション)写真提供:神奈川県立歴史博物館 1章 「日本」を堀りおこす ―神話と戦争と 近代国家形成において、ハニワは「万世一系」の歴史の象徴となり、特別な意味を持つようになりました。各地で出土した遺物が皇室財産として上野の帝室博物館に選抜収集されるようになると、ハニワは上代の服飾や生活を伝える視覚資料として、歴史画家の日本神話イメージ創出を助ける考証の具となります。考古資料としてではなく、ハニワそのものの「美」が称揚されるようになるのは、1940年を目前にした皇紀2600年の奉祝ムードが高まる頃——日中戦争が開戦し、仏教伝来以前の「日本人の心」に源流を求める動きが高まった時期でした。単純素朴なハニワの顔が「日本人の理想」として、戦意高揚や軍国教育にも使役されていきました。 都路華香《埴輪》1916年 京都国立近代美術館 蕗谷虹児《天平神助》1943年 新発田市 2章 「伝統」を掘りおこす ―「縄文」か「弥生」か 1950年代は日本中の「土」が掘りおこされた時代です。敗戦で焼け野原になり、その復興と開発のためにあらゆる場所が発掘現場となりました。考古学は、実証的で科学的な学問として一躍脚光を浴びるようになります。出土遺物は人々が戦争体験を乗り越えていく過程において、歴史の読み替えに強く作用した装置といえるでしょう。対外的な視線のなかで「日本的なるもの」や「伝統」への探求が盛んに行われたのは、自国のアイデンティティ再生という内発的な動機のみでは語ることのできない、複合的な理由を含むものでした。コンクリートやアスファルトに置き換えられていく風景の中で、「土」の芸術はどのような意味をもったのでしょうか。 イサム・ノグチ《かぶと》1952年 一般財団法人 草月会(千葉市美術館寄託) ©2024 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/ JASPAR, Tokyo E5599 岡本太郎《犬の植木鉢》1954年 滋賀県立陶芸の森陶芸館 桂ゆき《人と魚》1954年 愛知県美術館 3章 ほりだしにもどる ―となりの遺物 考古学の外側でさまざまに愛でられたハニワや土偶のイメージは、しだいに広く大衆へと浸透していきます。特に1970年代から80年代にかけてはいわゆるSF・オカルトブームと合流し、特撮やマンガなどのジャンルで先史時代の遺物に着想を得たキャラクターが量産されました。それはまた、縄文時代や古墳時代の文化は「日本人」のオリジンに位置づけられるという自覚を、私たちがほとんど無意識のうちに刻み込まれているということでもあります。本展は、そのような自覚をあらためて“掘り出す”ような現代の作品によって締めくくられます。「ハニワと土偶」という問題群は、地中のみならず、私たちのすぐ身の回りに埋蔵され、確実に今日へと連なっているのです。 タイガー立石《富士のDNA》1992年 courtesy of ANOMALY NHK教育番組「おーい!はに丸」1983-1989年放送 (左)ひんべえ (右)はに丸 1983年 劇団カッパ座 開催概要 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー 2024年10月1日(火)~12月22日(日) 月曜日(ただし10月14日、11月4日は開館)、10月15日、11月5日 10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00) 入館は閉館の30分前まで 一般 1,800円(1,600円)大学生 1,200円(1,000円)高校生 700円(500円) ( )内は20名以上の団体料金、ならびに前売券料金(販売期間:8月1日~9月30日)。いずれも消費税込。 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。 キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。 本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)もご覧いただけます。 -東京国立近代美術館の窓口において、9月3日以降の開館日に限り前売券の販売をおこないます。(お得なチケット各種は販売しません。) -当日券の窓口購入は混雑が予想されるため、事前のチケット購入がおすすめです。 -前売券やオンラインチケット・各種プレイガイドでのご購入方法は本展公式サイトをご確認ください。 東京国立近代美術館、NHK、NHKプロモーション、毎日新聞社 JR東日本、光村印刷
TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション
見て、比べて、話したくなる。 パリ、東京、大阪-それぞれ独自の文化を育んできた3都市の美術館のコレクションが集結。セーヌ川のほとりに建つパリ市立近代美術館、皇居にほど近い東京国立近代美術館、大阪市中心部に位置する大阪中之島美術館はいずれも、大都市の美術館として、豊かなモダンアートのコレクションを築いてきました。本展覧会は、そんな3館のコレクションから共通点のある作品でトリオを組み、構成するという、これまでにないユニークな展示を試みます。時代や流派、洋の東西を越えて、主題やモチーフ、色や形、素材、作品が生まれた背景など、自由な発想で組まれたトリオの共通点はさまざま。総勢110名の作家による、絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像など150点あまりの作品で34のトリオを組み、それをテーマやコンセプトに応じて7つの章に分けて紹介することで、20世紀初頭から現代までのモダンアートの新たな見方を提案し、その魅力を浮かびあがらせます。 萬鉄五郎《裸体美人》は7月23日(火)~8月8日(木)の期間、作品保護のため展示を一時休止し、8月9日(金)より展示を再開いたします。なお、休止期間中は萬鉄五郎《裸婦(ほお杖の人)》を展示いたします。 主な展示作品 各トリオのテーマと#(ハッシュタグ)は、3つの作品を見て、比べて、誰かと話したくなるヒントになっています。 モデルたちのパワー #お決まりのポーズ #私たちくつろいでます アンリ・マティス《椅子にもたれるオダリスク》1928年 パリ市立近代美術館photo: Paris Musées/Musée d’Art Moderne de Paris 萬鉄五郎《裸体美人》1912年 重要文化財 東京国立近代美術館※展示期間:5月21日(火)~7月22日(月)・8月9日(金)~8月25日(日) アメデオ・モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》1917年 大阪中之島美術館 大胆にくつろいだポーズで、思い思いに寝そべるモデルたち。西洋絵画の歴史の中で脈々と続いてきた横たわる女性像は、理想美を体現し、男性に見られる対象として、しばしば無防備な姿で描かれてきました。しかし、挑発するようにこちらを見つめるモディリアーニの裸婦、寝ころんでこちらを見おろす萬の裸体美人、そして見られることをまるで意識していないようなマティスのオダリスクには、見る者の視線を跳ね返し、彼女たちそれぞれの美を誇るようなパワーがみなぎっています。 空想の庭 #メルヘンガーデンズ #植物好き ラウル・デュフィ《家と庭》1915年 パリ市立近代美術館photo: Paris Musées/Musée d’Art Moderne de Paris 辻永《椿と仔山羊》1916年 東京国立近代美術館 アンドレ・ボーシャン《果物棚》1950年 大阪中之島美術館 いずれも植物が画面全体を覆っていますが、実は3人の画家たちはみな植物に深いゆかりがあります。植物園の近くに住み、動植物をモチーフにしたテキスタイルデザインを数多く手がけたデュフィ、草花を愛した父の影響でかつて植物学者を志したことのあった辻永、そして独学で画家になる前に園芸業を営んでいたボーシャン。彼らはそれぞれが好んだ草花や果物、動物をリズミカルに画面に配置しながら、自由にイマジネーションを羽ばたかせ、絵の中にしか存在しない空想の庭とでも呼ぶべき世界を作り出しています。草花で埋め尽くされた装飾的な画面は、どこか幻想的な雰囲気に包まれ、花や果物の香りが匂い立つようです。 現実と非現実のあわい #名作へのオマージュ #ヒトなのかヒトでないのか ヴィクトル・ブローネル《ペレル通り2番地2の出会い》 1946年 パリ市立近代美術館photo: Paris Musées / Musée d’Art Moderne de Paris 有元利夫《室内楽》 1980年 東京国立近代美術館 ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》 1957年 大阪中之島美術館 このトリオは、いずれも過去の絵画を参照し、画家が自らの分身のような存在を描き込むことで、現実と非現実のあわいを出現させているという点で共通しています。ブローネルは、かつてアンリ・ルソーが住んだペレル通り2番地2に引っ越したことから、ルソーの《蛇使いの女》(1907年、オルセー美術館)に、自らが生み出した、巨大な頭部と2つの身体、6本の腕を持つ「コングロメロス」を登場させています。マグリットはしばしば描いた山高帽の男の背に、ボッティチェリの《春》(1482年頃、ウフィツィ美術館)の花の女神フローラを重ねました。ピエロ・デッラ・フランチェスカら初期ルネサンスのフレスコ画に魅せられた有元の絵画は、他の多くの作品にもみられる古典的な女性が中央に鎮座し、非現実的でありながら懐かしさを漂わせています。 出品作家 カレル・アペル天野龍一有元利夫ジャン・アルプ(ハンス・アルプ)アルマン(アルマン・フェルナンデス)池田遙邨イケムラレイコ石内都出光真子サビーヌ・ヴァイスシュザンヌ・ヴァラドングザヴィエ・ヴェイヤン岡本更園岡本太郎小倉遊亀恩地孝四郎パブロ・ガルガーリョアレクサンダー・カルダーアンリ・カルティエ=ブレッソン河合新蔵川上涼花川崎亀太郎菅野聖子菊畑茂久馬岸田劉生北代省三北野恒富北脇昇草間彌生イヴ・クライン倉俣史朗パウル・クレー小泉癸巳男小出楢重古賀春江佐伯祐三佐藤雅晴 佐保山堯海汐見美枝子マルク・シャガールシャイム・スーティン菅井汲杉浦非水ヘンリー・ダーガー高梨豊辰野登恵子田中敦子サルバドール・ダリ辻永津田洋甫ジュリアン・ディスクリジョルジョ・デ・キリコレイモン・デュシャン=ヴィヨンラウル・デュフィフランソワ・デュフレーヌフェリックス・デル・マルル東郷青児東松照明百々俊二冨井大裕富山治夫ソニア・ドローネーロベール・ドローネーロベール・ドワノー中西夏之奈良美智奈良原一高ジャン=ミシェル・バスキア長谷川利行畠山直哉早川良雄原勝四郎パブロ・ピカソジャン・フォートリエ 藤島武二藤田嗣治ブラッサイコンスタンティン・ブランクーシマリア・ブランシャールヴィクトル・ブローネルアンドレ・ボーシャンウンベルト・ボッチョーニピエール・ボナールセルジュ・ポリアコフ前田藤四郎ルネ・マグリット松本竣介アンリ・マティス丸木俊(赤松俊子)アルベール・マルケ三岸好太郎アンリ・ミショー村山知義ジャン=リュック・ムレーヌジャン・メッツァンジェファウスト・メロッティアメデオ・モディリアーニ百瀬文森村泰昌安井曽太郎柳原義達モーリス・ユトリロ吉原治良萬鉄五郎ジェルメーヌ・リシエエル・リシツキーマルク・リブーフェルナン・レジェマリー・ローランサンマーク・ロスコ 美術館について パリ市立近代美術館 シャンゼリゼ通りとエッフェル塔の間に位置するパリ市立近代美術館の宮殿は、1930年代の壮麗な建築の一例。15,000点以上の作品を所蔵するパリの重要な文化施設であり、フランス最大級の近現代美術館のひとつ。 photo: Fabrice Gaboriau 東京国立近代美術館 東京の中心・皇居のお濠を前に建つ日本で最初の国立美術館。最大の特徴は、横山大観、上村松園、岸田劉生らの重要文化財を含む13,000点を超える国内最大級のコレクション。19世紀末から現代までの幅広いジャンルにわたる日本美術の名作を、海外の作品もまじえて多数所蔵。 大阪中之島美術館 2022年、大阪市中心部に開館。19世紀後半から今日に至る日本と海外の代表的な美術とデザイン作品を核としながら、地元大阪で繰り広げられた豊かな芸術活動にも目を向け、絵画、版画、写真、彫刻、立体、映像など多岐の領域にわたる6,000点超を所蔵。 カタログ 「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」展覧会図録 刊行日:2024年5月21日価格:3,000円(税込)仕様:B5変形、ソフトカバー頁数:216ページ発行:日本経済新聞社 目次 TRIO展について 「思いがけない対話」シャルロット・バラ=マビーユ(パリ市立近代美術館学芸員) 「アカデミスムと「伝統的な日本」との狭間で20世紀前半にパリに渡った日本人芸術家たちの葛藤と挑戦」横山由季子(東京国立近代美術館研究員) 「パリ、東京、大阪、それぞれの都市風景」高柳有紀子(大阪中之島美術館主任学芸員) カタログ Ⅰ 3つの都市:パリ、東京、大阪Ⅱ 近代化する都市Ⅲ 夢と無意識Ⅳ 生まれ変わる人物表現Ⅴ 人間の新しい形Ⅵ 響きあう色とフォルムⅦ 越境するアート 資料編 「パリ・東京・大阪 3館の紹介」にしうら染 年表出品作品リスト 展示風景 展示風景 撮影:木奥惠三 開催概要 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー 2024年5月21日(火)~8月25日(日) 月曜日(ただし7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火) 10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00) 入館は閉館の30分前まで 一般 2,200円(2,000円)大学生 1,200円(1,000円)高校生 700円(500円) ( )内は20名以上の団体料金、ならびに前売券料金(販売期間:3月25日~5月20日)。いずれも消費税込。 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。 キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。 本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》|インターナショナル編」(2F ギャラリー4)もご覧いただけます。 東京国立近代美術館の窓口では前売券の販売はございません。5月21日以降の開館日に限り当日券を販売いたします。 当日券の窓口購入は混雑が予想されるため、事前のチケット購入がおすすめです。 前売券やオンラインチケット・各種プレイガイドでのご購入方法は本展公式サイトをご確認ください。 東京国立近代美術館、大阪中之島美術館、日本経済新聞社、テレビ東京、BSテレビ東京 パリ市立近代美術館、パリミュゼ SOMPOホールディングス、ダイキン工業、三井住友銀行、三井不動産、ライブアートブックス 日本航空 大阪中之島美術館 2024年9月14日(土)~12月8日(日)
資料紹介#6 | 初日カバー
初日カバー 美術館では展覧会のポスター、チラシ、チケット、会場で配布される出品リストやマップ等、多種多様な印刷物が日々生み出されていますが、開館や周年といった記念日には特別な印刷物が制作されます。本稿では、その中から初日カバーをご紹介します。初日カバーとは、封筒に新しく発行された記念切手を貼り、発行当日の消印を押して製作されたもので、切手が発行された初日に作られることがその名の由来です。初日カバーの封筒には切手にちなんだ図案(カシェ)が施され、例えば、版画家の川瀬巴水や名取春仙もカシェの作品を残しています。 東京国立近代美術館は、1969年に京橋から現在の竹橋に移転し、6月11日に開館式が開かれました。同日に開館記念の切手が発行され、美術館の外観がデザインされた消印も用意されましたが、それらの原画を手掛けたのは、当時郵政省の職員を務めていた大塚均1でした。初日カバーのカシェにも、大塚がデザインしたものが含まれています(No. 1、2、6)(詳細は図とリストをご確認ください)。アートライブラリでは、この初日カバーを16種類所蔵しています(当時、初日カバーが何種類作成されたかは不明)。カシェには美術館の外観を題材にしたものが多く見られますが、角度や構図、色使いは一点一点異なります。外観以外にも、展示風景や絵筆とパレット、花、城、牛等が描かれたものや、No.13 のように、なぜか東京国立博物館が所蔵する黒田清輝の素描《女の顔》(1889年)によく似た女性の肖像画が描かれたものなど、バラエティに富んでいます。 1969年の開館記念の初日カバーの他にも、2012年の開館60周年記念の初日カバーなどもあります。アートライブラリでは、このような印刷物も美術館の歴史を伝える資料として保存しています。 利用にあたっては、事前申請手続きが必要です2。詳しくはウェブサイトをご確認ください。 註 大塚均(1911–98年)山口県生まれ。1935年に東京高等工芸学校工芸図案科を卒業後、逓信省に入省し、切手デザインに従事。1945年に逓信省を退職し、島根県立益田農林高校等で美術教師を務める。1958年、再び郵政省に入省し、74年まで勤務。 1969年の開館記念の初日カバー14種類は当館4階の情報コーナーにて2024年4月16日から8月25日まで展示しています。展示後は、事前申請手続きの上、ライブラリで閲覧することが可能です。 東京国立近代美術館開館記念郵便切手 No. 記念切手、記念消印消印日付図案(カシェ)のデザイン [ ]は執筆者による捕捉 図案(カシェ)の原図作者 版元資料ID1東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日内部展示[彫刻、絵画]大塚均(株)松屋1900073212東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日展示風景[鑑賞者]大塚均(株)松屋1900073233東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観]1900073244東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観]銀座わたなべ1900073255東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観とイサム・ノグチ《門》]省三 1900073266東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観]大塚均 全日本郵便切手普及協会1900073277東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観]郵政弘済会1900073288東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観]郵政弘済会1900073299東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観とアヤメ]NCC19000733010東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観とバラ]日本郵趣協会19000733111東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[美術館外観と江戸城]森正元宮崎19000733212東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[パレットと絵筆]久野実BSB19000733313東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日 [女性の肖像画と鳥]NFC19000733414東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[裸婦]T. Setoguchiカバースタジオ19000733515東京国立近代美術館開館記念 1969年6月14日[美術館外観]切手文化部19000733616東京国立近代美術館開館記念 1969年6月11日[牛]成瀬敏男FKK木版19000733717ふみの日小型印記念〈明治・大正・昭和の銘建築〉東京国立近代美術館工芸館2004年10月23日 [東京国立近代美術館工芸館の外観]細川武志19000734318東京国立近代美術館開館60周年京都国立近代美術館開館50周年2012年6月1日 [上村松園《母子》]19000734419東京国立近代美術館開館60周年京都国立近代美術館開館50周年2012年6月1日 [土田麦僊《湯女》]日本郵趣協会190006037 『現代の眼』639号
リシエが師ブールデルから学んだもの
図1 会場風景(左から2番目が柳原義達《犬の唄》|撮影:大谷一郎 ジェルメーヌ・リシエの《蟻》が新たに収蔵された。そのお披露目として企画された本展示には館蔵品の中から、「多方向にその網を張りめぐらす」1リシエに時代やテーマにおいて関連する作品29点が陳列された。正直なところ、この展示に雑多で脈絡を欠いている印象を受けた。またリシエが師と仰ぐアントワーヌ・ブールデルのテラコッタレリーフ4点は没後の複製で、国立西洋美術館の所蔵作品を展示できれば…と思わずにいられなかった。 それでも、彼女と同時期にブールデルに学んだ金子九平次と清水多嘉示、そしてリシエをよく理解してその影響を受けた柳原義達の作品が展示されたことの意味は大きい。金子の1925年滞仏作《C嬢の像》がブロンズ、清水の1926年滞仏作《アルプス遠望》は油彩だが、これらはリシエがブールデルのもとで学んでいた頃のものと言える。 図2 会場風景(右から2番目が金子九平次《C嬢の像》)|撮影:大谷一郎 南フランスのサロン・ド・プロバンスに近いグラン出身のリシエは、1926年にモンペリエのエコール・デ・ボザールを卒業するとパリに来て、ブールデルが亡くなる29年まで彼の個人アトリエの生徒となって助手を務めた。そこでは彼女の夫となるオットー・ボーニンガー、アルベルト・ジャコメッティ、エマヌエル・オリコスト、マルコ・セルボノヴィッチ等が仕事をしていた2。また彼女はブールデルが教えるアカデミー・ドゥ・ラ・グランド・ショミエールでも学んでおり、ここで撮られた幾つかの写真にリシエが居る。1920年代のグランド・ショミエールには金子や清水のほかに佐藤朝山、保田龍門、武井直也がいて、またジャコメッティもリシエの級友の一人だが、彼らの作品が展示に含まれていなかったのは残念である。[編集部註] グランド・ショミエールは入学試験がなく誰でも入れる「自由学校」で、出席点呼もなく、生徒たちはチケットを購入してデッサンと彫刻の授業を受けた。生徒は東欧、バルカン諸国、南北アメリカ、極東からの外国人が多数を占め、その半数以上が女性であった。ブールデルは毎週1日、木曜日か金曜日にここで教え、「「自分自身の歌を歌う」ことを[生徒たちに]学ばせた独自の教育」—生徒たちが「魂を生み出すよう産婆役を勤ママめます」—を実践した3。ブールデルは生徒に自身の様式を模倣することを求めず、それぞれの資質を尊重し、生徒の作品にほとんど手を入れることはなかったと伝えられる。ブールデルによる実習の様子、その教育をここで学んだ多くの彫刻家たちが書き残している。生徒たちの中から選ばれた者たちは、午前にグランド・ショミエールで勉強した後、午後にブールデルのアトリエで師の仕事を手伝うことができた。ブールデルのもとからは第二次大戦後に活躍する多くの重要な彫刻家そして画家が輩出した。 1927年にグランド・ショミエールで撮影されたブールデルを囲む生徒たちの写真[図3]が清水多嘉示アーカイブに残されている。手前右端が清水、リシエはその左後方の二人の女性の間から視線をカメラに向けずに顔をのぞかせる額にバンドを巻いた女性ではないかと思われる4。 図3 ブールデルを囲む生徒たち|提供:清水多嘉示アーカイブ(所蔵:八ヶ岳美術館 原村歴史民俗資料館) ブールデルのアトリエでリシエはアダム・ミツキェヴィチの記念碑、師の最後の作品となるモンソー・レ・ミーヌの戦争記念碑に協力した。「ブールデルの仕事をどう思うか」という問いに、リシエは「ブールデルは偉大な人物で立派な教師であるが、制作については何の影響も受けていない。彼から学んだことは真実をみるということだけだ」と語っている5。彫刻における「真実」について、清水はブールデルの言葉として「自然の構成コンストラクシヨン(建築的要素)に注意を拂はなければならない。/構成は實在で肉付は常に變るものだ」「表面のコツピイをしてはいけない」と記している6。リシエは「私は何を製作する場合でも幾何学的構成を何度も試みます」「真の抽象は事物の内部にある」と述べている7。 展示には清水の《裸婦》(1967年)が出品されていたが、リシエの《蟻》(1953年)[図4]と私が対照させたいのは《みどりのリズム》(1951年)[図5]である。二人が師から得た共通するもの—《弓をひくヘラクレス》(1909年)[図6]にあるような—を誰もが感じるだろう。 図4 ジェルメーヌ・リシエ《蟻》1953年東京国立近代美術館蔵|撮影:大谷一郎 図5 清水多嘉示《みどりのリズム》1951年、武蔵野美術大学美術館蔵|撮影:李政勲 図6 エミール=アントワーヌ・ブールデル《弓をひくヘラクレス》1909年国立西洋美術館蔵|撮影:(c) 上野則宏 1955年に清水はリシエを次のように評している。「彼女はフランス彫刻界の特異な存在である。何れかといふと具象形體に属する作品だが、非常に嚴しいアンテリュールつまり内部構造の追求を、彼女の作品は提示してゐる」「プロセスに於けるアンテリュール追求の度合だけがその作品の價値となつてゐる様に見える」8。 その実例として、私はリシエの《オラージュ》(1947–48年)を示そう[図7]。この作品が本展に出品された柳原義達の《犬の唄》に与えた影響は述べるまでもあるまい。 註 「『新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》』 展覧会について」、東京国立近代美術館ウェブサイト https://www.momat.go.jp/exhibitions/r5-3-g4[2024年2月14日閲覧] 『Germaine Richier』(仏語版Centre Pompidou, 英語版Thames & Hudson, 2023, p.263)の年譜には、リシエがブールデルのアトリエに入ることを斡旋したのはウジェーヌ・ルディエ(アレクシス・ルディエ鋳造所の当主)であり、ブールデルは自分のアトリエに生徒をもはや受け入れていなかったと記されている。 グランド・ショミエールでのブールデルによる授業についてはアメリ・シミエ Amélie Simier(当時:パリ、ブールデル美術館館長、現在:パリ、ロダン美術館館長)「「教育の全ての型を破壊しなければなりません」 ブールデルの学校で。—ブールデルは生徒たちにどのような教育を行ったのか?」を参照。『国際カンファレンス記録集 東アジアにおけるブールデル・インパクト』(武蔵野美術大学彫刻学科研究室、2021年)に収録。 『Germaine Richier』p.263にもブールデル美術館が所蔵する同じ写真が掲載されており、リシエが含まれているとの解説がある。同書では撮影時期が1928年とされているが、清水多嘉示アーカイブに残る写真の裏には清水の直筆で「1927年」と記されている。 引用は主旨。矢内原伊作「ジェルメーヌ・リシエの世界」『みづゑ』632、1958年3月号、p.20 清水多嘉示「ブルデルの思ひ出 Emile Antoine Bourdell 1861–1929」『新美術』14、1942年9月号、p.7 矢内原伊作、前掲書p.19 清水多嘉示「素朴な彫刻家たち」『芸術新潮』第6巻、1955年5月号、p.169 編集部註 前会期から作品を大幅に入れ替えた「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》 インターナショナル編」(4月16日–8月25日)では佐藤玄々(朝山)、保田竜門、武井直也らの作品も展示されている。 『現代の眼』639号
中平卓馬 火―氾濫
日本の写真を変えた、伝説的写真家 約20年ぶりの大回顧展 日本の戦後写真における転換期となった1960 年代末から70 年代半ばにかけて、実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家である中平卓馬(1938-2015)。その存在は森山大道や篠山紀信ら同時代の写真家を大いに刺激し、またホンマタカシら後続の世代にも多大な影響を与えてきました。1960 年代末『PROVOKE』誌などに発表した「アレ・ブレ・ボケ」の強烈なイメージや、1973 年の評論集『なぜ、植物図鑑か』での自己批判と方向転換の宣言、そして1977 年の昏倒・記憶喪失とそこからの再起など、中平のキャリアは劇的なエピソードによって彩られています。しかしそれらは中平の存在感を際立たせる一方で、中平像を固定し、その仕事の詳細を見えにくくするものでもありました。 本展では、あらためて中平の仕事をていねいにたどり、その展開を再検証するとともに、特に、1975 年頃から試みられ、1977 年に病で中断を余儀なくされることとなった模索の時期の仕事に焦点を当て、再起後の仕事の位置づけについてもあらためて検討します。 2015 年に中平が死去して以降も、その仕事への関心は国内外で高まり続けてきました。本展は、初期から晩年まで約400 点の作品・資料から、今日もなお看過できない問いを投げかける、中平の写真をめぐる思考と実践の軌跡をたどる待望の展覧会です。 見どころ これまで未公開の作品を多数展示 近年その存在が確認された《街路あるいはテロルの痕跡》の1977 年のヴィンテージ・プリントを初展示。昏倒によって中平のキャリアが中断する前の、最後のまとまった作品発表となった雑誌掲載作13 点です。2021 年に東京国立近代美術館が本作を収蔵して以来、今回が初めての展示となります。また1976 年にマルセイユで発表されて以来、展示されることのなかった《デカラージュ》など、未公開の作品を多数展示します。 カラー写真の重要作を一挙に展示 1974 年に東京国立近代美術館で開催した「15 人の写真家」展の出品作《氾濫》をちょうど半世紀ぶりに同じ会場で再展示します。カラー写真48 点組で構成される幅約6 メートルの大作で、中平のキャリア転換期における重要作です。 また、中平存命中最後の重要な個展「キリカエ」(2011 年)に展示されたカラーの大判プリント64 点を展示します。 雑誌から読み解く中平の試み 『アサヒグラフ』や『朝日ジャーナル』など、キャリア前半の1960 年代から1970 年代前半にかけて発表された作品の掲載誌を多数展示。当時、雑誌は社会にイメージを流通させる手段として重要な役割を担っていました。写真がどのように流通するかについて常に意識的だった中平が、同時代の社会に対して、写真を用いて何を試みようとしていたのか、その実態を紹介します。 展覧会構成・主な展示作品 本展は初期から晩年にいたる中平卓馬の仕事を、5つの章でたどります。とくに2~4章では、1977 年に不慮の昏倒と記憶喪失により中断した中平の仕事が、どこへ向かおうとしていたのか、そこにいたる70 年代の展開を詳しくひもときます。 第1章 来たるべき言葉のために 第2章 風景・都市・サーキュレーション 第3章 植物図鑑・氾濫 第4章 島々・街路 第5章 写真原点 中平卓馬プロフィール 1938年東京生まれ。1963年東京外国語大学スペイン科卒業、月刊誌『現代の眼』編集部に勤務。誌面の企画を通じて写真に関心を持ち、1965年に同誌を離れ写真家、批評家として活動を始める。 1966年には森山大道と共同事務所を開設、1968年に多木浩二、高梨豊、岡田隆彦を同人として季刊誌『PROVOKE』を創刊(森山は2号より参加、3号で終刊)。「アレ・ブレ・ボケ」と評された、既成の写真美学を否定する過激な写真表現が注目され、精力的に展開された執筆活動とともに、実作と理論の両面において当時の写真界に特異な存在感を示した。1973年に上梓した評論集『なぜ、植物図鑑か』では、一転してそれまでの姿勢を自ら批判、「植物図鑑」というキーワードをかかげて、「事物が事物であることを明確化することだけで成立する」方法を目指すことを宣言。翌年、東京国立近代美術館で開催された「15人の写真家」展には48点のカラー写真からなる大作《氾濫》を発表するなど、新たな方向性を模索する。そのさなか、1977 年に急性アルコール中毒で倒れ、記憶の一部を失い活動を中断。療養の後、写真家として再起し、『新たなる凝視』(1983)、『Adieu à X』(1989)などの写真集を刊行。2010年代始めまで活動を続けた。2015年逝去。 1973年、自己批判を機に、それまでのプリントやネガの大半を焼却したとされていたが、2000 年代初頭、残されていたネガが発見され、それをきっかけとして2003年には横浜美術館で大規模な個展「中平卓馬:原点復帰-横浜」が開催された。 展示風景 第1章 来たるべき言葉のために 第1章 来たるべき言葉のために 第2章 風景・都市・サーキュレーション 第2章 風景・都市・サーキュレーション 第2章 風景・都市・サーキュレーション 第3章 植物図鑑・氾濫 第3章 植物図鑑・氾濫 第3章 植物図鑑・氾濫 第4章 島々・街路 第4章 島々・街路 第4章 島々・街路 第4章 島々・街路 第5章 写真原点 「中平卓馬 火―氾濫」展示風景 撮影:木奥惠三 カタログ 「中平卓馬 火―氾濫」展覧会公式カタログ 刊行日:2024年3月30日(土)価格:3,500円(税込)仕様:A4変形、ソフトカバー頁数:496ページ発行:ライブアートブックス(大伸社グループ) 目次 増田玲(東京国立近代美術館主任研究員)序論「根底的に、過激に、——中平卓馬の活動の軌跡をたどるために」 第1章 来るべき言葉のためにコラム1 東松照明と多木浩二コラム2 反復するイメージ 第2章 風景・都市・サーキュレーションコラム3 「風景論」と『映画批評』コラム4 中平卓馬と美術 第3章 植物図鑑・氾濫コラム5 中平卓馬と『朝日ジャーナル』コラム6 1973年、知覚異常の経験 第4章 島々・街路コラム7 中平卓馬による写真家論 第5章 写真原点コラム8 人物写真の変化について 第6章 展示会場風景 第7章 テキストマシュー・S・ウィトコフスキー(シカゴ美術館写真・メディア部門リチャード&エレン・サンダー・チェア兼キュレーターおよび同館戦略的アート・イニシアティブ担当ヴァイス・プレジデント )「中平のサーキュレーション」 八角聡仁(批評家)「写真あるいは時の陥没——中平卓馬《デカラージュ(Décalage)》をめぐって」 倉石信乃(明治大学教授、写真史)「中平卓馬『記録日記 一九七八年』について」 第8章 資料篇年譜著作文献一覧関連文献一覧展示作品一覧 開催概要 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー 2024年2月6日(火)~ 4月7日(日) 月曜日(ただし2月12日、3月25日は開館)、2月13日 10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00) 入館は閉館30分前まで 一般 1,500円(1,300円) 大学生 1,000円(800円) ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。 高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。 キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。 本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》」(2F ギャラリー4)もご覧いただけます。 観覧券は美術館窓口(当日券のみ)と公式チケットサイト(e-tix)で販売いたします。 東京国立近代美術館、朝日新聞社 公益社団法人日本写真家協会
生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ
はじめに 「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家・棟方志功(1903-1975)。一心不乱に版木に向かう棟方の姿は、多くの人々の記憶に刻み込まれています。棟方が居住し、あるいは創作の拠点とした青森、東京、富山の三つの地域は、それぞれに芸術家としての棟方の形成に大きな影響を与えました。棟方の生誕120年を記念し、各地域の美術館(富山県美術館、青森県立美術館、東京国立近代美術館)が協力して開催する本展では、棟方と各地域の関わりを軸に、板画、倭画、油彩画といった様々な領域を横断しながら、本の装幀や挿絵、包装紙などのデザイン、映画・テレビ・ラジオ出演にいたるまで、時代特有の「メディア」を縦横無尽に駆け抜けた棟方の多岐にわたる活動を紹介し、棟方志功とはいかなる芸術家であったのかを再考します。 見どころ 国際展受賞作から書、本の装画、商業デザイン、壁画までー「世界のムナカタ」の全容を紹介 代表的な板画作品はもちろん、最初期の油画や生涯にわたって取り組み続けた倭画に加え、高い人気を博した本の装幀や、長く大衆に愛された包装紙の図案など、優れたデザイナーとしての一面も取り上げ、棟方芸術の全貌に迫ります。 青森ー東京ー富山、棟方の暮らした土地をたどる、初の大回顧展 生誕120年という節目をとらえ、棟方志功が芸術家として大成していく過程のなかで大きな影響を与えた土地である三つの地域―故郷・青森、芸術活動の中心地・東京、疎開先・富山―を、最大規模の回顧展として巡回します。 棟方畢生の超大作、久々の公開 縦3メートルの巨大な屏風《幾利壽當頌耶蘇十二使徒屏風》(五島美術館蔵)を約60年ぶりに展示、また、ほとんど寺外で公開されることのなかった倭画の名作《華厳松》(躅飛山光徳寺蔵)は通常非公開の裏面とあわせて展示します。 会期中一部展示替えがあります。 棟方志功略歴 1903年 9月5日、青森市大町一丁目一番地に生まれる。1924年 油画家を志し、帝展入選を目指して上京。1926年 帝展落選が続くなか、川上澄生の《初夏の風》を見て版画に目覚める。1928年 油画《雑園》で帝展初入選。1932年 日本浪曼派の文士たちとの交流が始まる。国画会奨学賞を受賞。版画に道を定める。1936年 国画会展に出品した《瓔珞譜・大和し美し版画巻》が縁となり柳宗悦ら民藝運動の人々との知遇を得る。1939年 《二菩薩釈迦十大弟子》制作。翌年の国画会展で佐分賞受賞。1945年 富山県西砺波郡石黒村法林寺に疎開。5月の空襲で東京の自邸と戦前の作品や版木のほとんどを焼失。1951年 11月末、東京都杉並区に転居。1955年 第3回サンパウロ・ビエンナーレ版画部門最高賞受賞。1956年 第28回ヴェネチア・ビエンナーレ国際版画大賞受賞。1959年 ロックフェラー財団とジャパン・ソサエティの招きで初渡米、 滞在中の夏、約1か月かけて欧州を巡る。1961年 青森県新庁舎の壁画《花矢の柵》など公共施設への大作提供が増える。1970年 文化勲章受章。文化功労者となる。1975年 9月13日、死去。青森市に棟方志功記念館開館。 カタログ 「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」公式図録 価格:2,800円(消費税込) 仕様:B5サイズ 総頁数:304ページ(ハードカバー) 言語:日本語、英語 目次 メイキング・オブ・ムナカタ——棟方志功のつくり方|花井久穂 棟方志功の遺し方|石井頼子 プロローグ 出発地・青森 第1章 東京の青森人第2章 暮らし・信仰・風土——富山・福光第3章 東京/青森の国際人第4章 生き続けるムナカタ・イメージ 棟方志功の青森——雑話三題|池田亨 『The Japan Times』がうつし出す「世界のムナカタ」——エリーゼ・グリリの批評と戦後の日本美術|花井久穂 棟方志功と富山の美術|遠藤亮平 棟方志功 年譜 棟方志功 著述目録 座談会・対談 目録人名解説 出品目録・フォトクレジット 展示風景 展示風景 撮影:木奥惠三 開催概要 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー 2023年10月6日(金)~ 12月3日(日) 月曜日(ただし10月9日、11月27日は開館)、10月10日(火) 10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00) 11月27日(月)は臨時開館(10:00-17:00) 入館は閉館30分前まで 一般 1,800円(1,600円)大学生 1,200円(1,000円)高校生 700円(500円) ( )内は20名以上の団体料金、ならびに前売券料金(販売期間:8月22日~10月5日)。いずれも消費税込。 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。 キャンパスメンバーズの学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。 本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「女性と抽象」(2F ギャラリー4)もご覧いただけます。 東京国立近代美術館の窓口では、10月6日以降の開館日に限り当日券を販売いたします。 東京国立近代美術館での前売券の販売はございません。 当日券の窓口購入は混雑が予想されるため、事前のチケット購入がおすすめです。 オンラインチケットや各種プレイガイドでのご購入方法は本展公式サイトをご確認ください。 東京国立近代美術館、NHK、NHKプロモーション、東京新聞 棟方志功記念館 DNP大日本印刷 石井頼子 富山展:富山県美術館 2023年3月18日(土)~5月21日(日)青森展:青森県立美術館 2023年7月29日(土)~9月24日(日)
カルロ・ザウリ展:イタリア現代陶芸の巨匠
展覧会について 現代陶芸の偉大な改革者の一人として国際的にも高く評価され、日本にも大きな影響を与えてきたイタリアの巨匠、カルロ・ザウリ(1926-2002)の没後初めての回顧展をファエンツァ市との国際交流展として開催します。 ファエンツァは、フランス語で陶器を意味するファイアンスの語源となった陶都として、また、マジョリカ焼の産地として古くから知られています。ザウリはその地で生まれ、生涯同地を拠点に制作を行いました。1950年代初頭から精力的に発表活動を展開したザウリは、世界で最も規模の大きいファエンツァ市主催の国際陶芸コンペで三度もグランプリを受賞したのをはじめ、国境を越えて活躍し、その存在を揺るぎないものとしていきました。 本展は、あまり知られていなかった1950年代の初期のマジョリカ作品から、“ザウリの白”と呼ばれる60~70年代の代表的な作品、さらには、80年代に制作した釉薬を用いない黒粘土による挑戦的な作品を中心に、タイルやデザインの仕事まで、ザウリの非凡な才能を知る多彩な作品を通して、1951年から約40年間の芸術活動の軌跡を辿ります。 展覧会構成 I: 1951-1956 初期の作品はザウリの出身地、ファエンツァの陶芸と深い関わりを持っています。ファエンツァ伝統のマジョリカ焼の技法を用いた壺、皿、鉢などは、さまざまな色彩を纏っていますが、そのフォルムからは彫刻的な形体の追求を見ることができます。 II: 1957-1961 1950年代後半、ザウリは、当時のイタリアではほとんど手掛けられていなかった新しい技法、ストーンウエア(高温焼成)を始めます。さらには「壺」の口を閉じた作品の制作も始まります。また、口を閉じなくとも、自己表現のひとつの形体として「壺」をとらえ、新たな可能性を模索していきます。 III: 1962-1967 この時期のザウリの作品は、ロクロを巧みに用いて生み出されました。そしてザウリは「壺の彫刻家」と呼ばれようになります。ザウリは釉薬の研究とともに、ストーンウエアでの制作も続け、やがてそれは、マジョリカ焼を凌ぐほどの技法として確立されていきます。さらには、1,200度の高温焼成による独自の釉薬、「ザウリの白」をつくり上げ、彫刻的な形体の発展と新たな釉薬との融合を目指すようになっていきます。 IV: 1968-1980 ザウリの作陶の歴史の中で一番重要な時期として位置づけられます。1968年ごろからザウリの作品には、海の波や砂丘、あるいは女性の身体を連想させるような柔らかな表現が見られるようになります。そして、素材や自然のざわめきを感じさせるこの造形的な特徴は、ザウリの作風を代表するものとなります。また、この時期のザウリは、「ザウリの白」の他にも金やプラチナを施した作品を制作しています。 V: 1981-1991 1980年代の初めにザウリは、造形的な特徴はそのままに、これまでとはまったく異なった黒い粘土を用いた作品を発表します。それは「ザウリの白」とは対照的に、艶のない土そのものの質感を見せています。しかし、その後には再び釉薬を用いた作品の制作に戻り、以前にも増して大きな作品の制作を行いました。本展では高さ5メートルを超える作品も展示します。 VI: グラフィック、タイル ザウリはタイルのデザイナーとしても高く評価されていました。本展では、作品のエッセンスを抽出したようなグラフィック作品や初期から晩年に至るタイル作品を展示紹介します。日本ではこれまで観る機会のなかった作品群です。 作家紹介 ザウリと日本の関係 日本とカルロ・ザウリの関係は古く、1964年に東京と京都の国立近代美術館、久留米の石橋美術館、愛知県美術館を巡回した「現代国際陶芸展」で初めて作品が紹介されました。 その後、1970年に京都国立近代美術館で開催された「現代の陶芸-ヨーロッパと日本」を機にザウリの作品は日本の関係者に広く知られるところとなりました。1973年には新聞社が主催した公募展「第1回中日国際陶芸展」で最優秀賞を受賞しています。翌年以降、大阪や東京、名古屋、京都など日本の主要な都市で個展が開催されて、いくつもの公立美術館がイタリアを代表する作家の作品としてザウリの作品を収蔵し、日本で最も知られるイタリア現代陶芸の作家となっています。 略歴 1926年 8月19日、ファエンツァに生まれる1949年 ファエンツァ国立陶芸美術大学卒業1953年 「ファエンツァ国際陶芸展」グランプリ('58、'62にも同グランプリを受賞)1954年 「ミラノ・トリエンナーレ」に参加1960年 タイル専門工場「ラ・ファエンツァ」の創設者の一人となる1964年 「現代国際陶芸展」(東京、久留米、京都、名古屋)1968年 モノグラフ出版1986年 「第1回国際陶磁器展美濃’86」審査員(多治見)1996年 ファエンツァ市民会による「功労大賞」を受ける2002年 1月14日、ファエンツァで死去 カルロ・ザウリ美術館創設 イベント情報 講演会 『カルロ・ザウリの芸術』マッテオ・ザウリ(カルロ・ザウリ美術館長) 2008年6月22日(日) 14:00-15:00 講堂(地下1階) *当日先着順150名 『カルロ・ザウリとその時代』平井智一(陶芸家、ファエンツァ市在住) 2008年7月6日(日) 14:00-15:00 講堂(地下1階) *当日先着順150名 ギャラリー・トーク 平井智一(陶芸家、ファエンツァ市在住) 2008年6月21日(土)*当初のお知らせから開催日が変更となりました。ご注意ください。 15:00-16:00 会場(入館に展覧会チケットが必要、申込は不要) 唐澤昌宏(当館主任研究員) 2008年6月21日(土)*当初のお知らせから開催日が変更となりました。ご注意ください。 15:00-16:00 会場(入館に展覧会チケットが必要、申込は不要) カタログ情報 開催概要 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー(1階)一部の作品は、3階にも展示します 2008年6月17日(火)~8月3日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)入館は閉館30分前まで 6月23日(月)、30日(月)、7月7日(月)、14日(月)、22日(火)、28日(月) 一般1000円(800円/700円)大学生500円(400円/300円)高校生および18歳未満、障害者の方とその付添者1名は無料 それぞれ入館の際、学生証、年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。 いずれも消費税込。( )内は前売料金/20名以上の団体料金。 入館当日に限り、「建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳」展・所蔵作品展と、工芸館で開催中の展覧会(7月7日~16日は展示替のため休館)もご覧いただけます。 観覧券は全国チケットぴあ他、ファミリーマート、サンクスでも取り扱います(一部店舗を除く)。前売券は4月11日から6月16日まで! 東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、ファエンツァ市、エミリア・ロマーニャ州、カルロ・ザウリ美術館、日本経済新聞社 イタリア文化省、イタリア外務省、イタリア議会下院、ラヴェンナ県、ラヴェンナ商工会議所、イタリア大使館、イタリア文化会館 フェラリーニ社、モカドーロ、GD アリタリア航空、オープン・ケア すでに、京都国立近代美術館(2007年10月2日~11月11日)岐阜県現代陶芸美術館(2008年4月19日~6月1日)で開催され、当館が3会場目。この後は山口県立萩美術館・浦上記念館(8月26日~10月26日)へ巡回します。