展覧会

会期終了 企画展

柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年

会期

会場

東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー、2F ギャラリー4

はじめに

ローカルであり、モダンである。

今、なぜ「民藝」に注目が集まっているのでしょうか。「暮らし」を豊かにデザインすることに人々の関心が向かっているからなのか。それとも、日本にまだ残されている地方色や伝統的な手仕事に対する興味からなのか。いずれにせよ、およそ100年も前に柳宗悦、濱田庄司、河井寬次郎が作り出した新しい美の概念が、今なお人々を触発し続けているのは驚くべきことです。

柳宗悦の没後60年に開催される本展覧会は、各地の民藝のコレクションから選りすぐった陶磁器、染織、木工、蓑、ざるなどの暮らしの道具類や大津絵といった民画のコレクションとともに出版物、写真、映像などの同時代資料を展示し、総点数450点を超える作品と資料を通して、民藝とその内外に広がる社会、歴史や経済を浮かび上がらせます。

今回とりわけ注目するのは、「美術館」「出版」「流通」という三本柱を掲げた民藝のモダンな「編集」手法と、それぞれの地方の人・モノ・情報をつないで協働した民藝のローカルなネットワークです。民藝の実践は、美しい「モノ」の蒐集にとどまらず、新作民藝の生産から流通までの仕組み作り、あるいは農村地方の生活改善といった社会の問題提起、衣食住の提案、景観保存にまで広がりました。「近代」の終焉が語られて久しい今、持続可能な社会や暮らしとはどのようなものか―「既にある地域資源」を発見し、人・モノ・情報の関係を編みなおしてきた民藝運動の可能性を「近代美術館」という場から見つめなおします。

作品保護のため、会期中一部展示替えがあります。
(前期:10月26日(火)~12月19日(日)、後期:12月21日(火)~2022年2月13日(日)) 

見どころ

1.民藝の歴史的な変化と社会の関係をたどります。

民藝運動はどのような背景のなかで生まれ、変化してきたのでしょうか。関東大震災、鉄道網の発達と観光ブーム、戦争と国家、戦後の高度経済成長―民藝運動の歩みは「近代化」と表裏一体であり、社会の大きな節目と併走するように展開してきました。なぜ今、民藝が注目されるのかをひも解きます。

2.手を動かす柳宗悦ーそのデザイン・編集手法を分析します。

宗教哲学者であり、文筆活動を主体として民藝運動を推しすすめた柳ですが、実はなかなかの画力の持ち主。集めた器物をスケッチし、書体(フォント)を作り、写真のトリミングや配置を決め、あるいは建物や製品の設計図を描き、大津絵などの絵画の表具をしつらえるなど、あらゆる「編集」作業に腕をふるいました。柳がさまざまなメディアを通して、自らの美的感覚をどのように示し、伝えたのか―その「手さばき」を解析します。

3.衣食住から景観保存まで

ツイードの三つ揃いスーツ、蝶ネクタイに丸眼鏡、ワークウェアとしての作務衣―民藝の人々はみなスタイリッシュでお洒落でした。しゃぶしゃぶにカレー、地方のお土産菓子など、食文化にも民藝は関わっています。民家の特徴を取り入れた建築にウィンザーチェア、日本・朝鮮・西洋折衷のインテリアデザインは良く知られるところですが、鳥取砂丘の景観保存にも民藝が関わっていたこと、ご存じでしたか?

カタログ

柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年公式図録

2,600円(税込み)
B5変形サイズ/311頁/日本語・英語(一部)

  • 450点以上の作品画像を掲載!作品解説も充実
  • 早わかりガイド「展覧会の見取り図」「人物相関図」掲載
  • 章の間にコラムを掲載

目次
イントロダクション「民藝の100年」展を編集するー展覧会の見取り図 花井久穂、鈴木勝雄
第1章 「民藝」前夜ーあつめる、つなぐ
第2章 移動する身体ー「民藝」の発見
第3章 「民」なる趣味ー都市/郷土
第4章 民藝は「編集」する
第5章 ローカル/ナショナル/インターナショナル
第6章 戦後をデザインするー衣食住から景観保存まで
民藝の「近代」ーミュージアム・出版・生産から流通まで 花井久穂
MOMATアートライブラリによる「民藝文献案内」
俯瞰的視点をもつための「民藝の100年展年表」

開催概要

会場

東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー、2F ギャラリー4

会期

2021年10月26日(火)~ 2022年2月13日(日)

休館日

月曜日[ただし2022年1月10日は開館]、年末年始[12月28日(火)~ 2022年1月1日(土)]、1月11日(火)

開場時間

10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで

チケット

チケットの詳細・購入方法は特設ページをご確認ください。(特設ページの公開は終了しました)

観覧料

一般  1,800円(1,600円)
大学生 1,200円(1,000円)
高校生  700円(500円)

  • ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
  • 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
  • キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。
  • 本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)もご覧いただけます。
主催

東京国立近代美術館、NHK、NHKプロモーション、毎日新聞社

協賛

NISSHA、三井住友海上

特別協力

日本民藝館

Page Top