の検索結果
の検索結果
大阪万博1970 デザインプロジェクト
概要 大阪万博(日本万国博覧会)は高度経済成長まっただなかの1970(昭和45)年に開催された国民的な祭典として記憶されています。その一方で大阪万博は未来都市を想定したデザインワークの実験場でもありました。 大阪万博の開催が正式に決まったのは、東京オリンピックの翌年1965(昭和40)年9月のことでした。それ以降日本の各界の英知を結集し、テーマの決定、基本構想の策定、シンボルマークの制定など、4年半後の開催に向けて矢継ぎ早に準備がすすめられました。 会場を千里丘陵とすることが決まり造成工事がはじまったのは、1967(昭和42)年3月のことでした。会期中、休日には50~60万人の観客が押し寄せてくることを想定し、近未来都市のモデルとして会場が設計されました。連日さまざまなイベントが繰り広げられるお祭り広場、テーマ館(太陽の塔)、劇場、美術館などを集めたシンボルゾーンを木の幹に、動く歩道を枝に、内外のパビリオンを花に見立てるというのがチーフプロデューサー丹下健三の基本構想でした。 かつて万博は「もの」を見せるイベントでした。ところが第二次世界大戦後には、「見せる万博」から「考える万博」へとその性格を大きく変えました。大阪万博が採択したテーマ「人類の進歩と調和」は、人類の進歩を讃えるだけなく、科学技術の進歩がもたらすさまざまな負の側面にも目を向けようという主張でした。この理念を表現すべく「お祭り広場」が構想され、その中心に岡本太郎による《太陽の塔》が作られ、テーマ展示が展開されたのです。 大阪万博はデザインの可能性を探る実験場でもありました。準備段階からデザイナーが動員され、シンボルマークやポスターやイラストをはじめとするプロモーション素材の制作、さらに会場内のサイン計画やパビリオンの展示設計などにも参加し、デザイナーという職能の可能性をさまざまなかたちで示しました。 大阪万博は6か月間の会期中に6,421万人が来場、大きな成功をおさめました。この展覧会では、大阪万博を成功に導いたデザインワークを振り返るとともに、デザイナーにとって万博とは何だったのか考えます。 展覧会構成 第1章 万国博覧会を成功させようプロモーションとデザインポリシー 「人類の進歩と調和」を基本理念とした大阪万博の開催が決定したのは,東京オリンピックの翌年のことでした。万博の出展招請のため、また観客動員のために作られたポスターやシンボルマーク、開催を記念して発売された切手やたばこなど、プロモーションのためのデザインを紹介します。 第2章 未来都市の実験場 万博会場では,岡本太郎の《太陽の塔》を囲むお祭り広場を中心に、美術館や劇場をシンボルゾーンとして、パビリオンだけでなく、動く歩道などの移動手段や噴水、野外彫刻、スタッフのユニフォームに至るまで、先進的な試みによって仮想の未来都市のイメージが表現されました。会場写真資料やデザイン原画などをとおして、当時のデザインワークを振り返ります。 第3章 デザイナーにとって万博とはなんだったのか 科学技術の進歩を讃えるだけでなく、その負の側面にも向き合うことを訴えた「テーマ館」をはじめ、桜の花びらをかたどった建物の配置が、万博のシンボルマークを表わす「日本館」や、横尾忠則が造形ディレクターを担当した「せんい館」など、各パビリオンの設計や展示デザインにおけるデザイナーの取り組みと葛藤を探ります。 カタログ情報 イベント情報 記念講演会 「大阪万博:20世紀が夢見た21世紀」平野暁臣(空間メディアプロデューサー) 日程: 2015年4月18日(土)時間: 14:00-場所: 地下1階講堂※13:30開場、聴講無料・申込不要(先着140名) ギャラリー・トーク 木田拓也 (当館主任研究員・本展企画者)日程: 2015年4月4日(土) 暮沢剛巳 (東京工科大学デザイン学部准教授)日程: 2015年4月12日(日) いずれも 15:00からギャラリー4会場にて※申込不要、参加無料(要当日観覧券) 演奏会 「フランソワ・バシェの音響彫刻の響き」演奏:永田砂知子、マルティ・ルイツ 日程: 2015年5月9日(土)2015年5月10日(日)場所: 地下1階講堂 ※各日聴講無料・申込不要(先着120名) 大阪万博「鉄鋼館」パビリオンに展示されたフランソワ・バシェの音響彫刻。復元された作品による演奏、ワークショップ、映像上映、シンポジウムを開催いたします。 ※開始時間等の詳細は決定次第本ページにてご案内いたします。 本イベントは日本万国博覧会記念基金の助成を受けています。 開催概要 ギャラリー4 (2F) 2015年3月20日(金)~5月17日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館は閉館30分前まで 月曜日(3月23日、30日、4月6日、5月4日は開館) 一般 430円 (220円)大学生 130円 (70円) 高校生以下および18歳未満、65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、友の会・賛助会会員、キャンパスメンバーズ、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。 それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、会員証、障害者手帳等をご提示ください。( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。お得な観覧券「MOMATパスポート」でご覧いただけます。キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示により無料でご覧いただけます。本展の観覧料で、入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(所蔵品ギャラリー、4-2F)と工芸館所蔵作品展もご観覧いただけます。「生誕110年 片岡球子展」のチケットでも、入館当日に限り本展と美術館及び工芸館の所蔵作品展をご覧いただけます。 4月5日(日)、5月3日(日) 東京国立近代美術館 大阪府
美術と印刷物─1960−70年代を中心に コレクションを中心とした小企画
概要 美術館が収集・保管するものは、コレクションとして扱われる作品だけではありません。図書館機能によって集められた、膨大な数の書籍・雑誌・カタログ・パンフレット・DMなどの印刷物も眠っているのです。展示を前提とする作品と比べて人目に触れる機会の少ないこれらの資料体に焦点を当ててみようというのが本展の目的です。 注目したのは1960年代から70年代。なぜならこの時期に、美術作品と印刷物との境界が揺らぎ、両者が重なり合うような実験的な試みが集中して生まれたからです。 既存の絵画や彫刻を中心とした美術を否定し、アイディアやプロセス等に重きを置く芸術を推し進めた作家たちは、美術を成り立たせてきた展覧会や美術館、画廊という諸制度に代わる表現媒体として、印刷物に新たな可能性を見出したのです。 この展覧会は、東京国立近代美術館と国立新美術館のアートライブラリ収蔵の資料から約300点を選び出し、それを会期中数度の組み替えを行って様々な角度から検証することで、60-70年代に印刷物というメディアに託された表現者の「自由」を考察するものです。 photo | Nakagawa Shu, design | Mori Daishiro カタログ情報 イベント情報 「美術と印刷物」 関連トークイベント 「美術と印刷物」と印刷物 日程: 2014年8月24日(日)時間: 16:00-17:00場所: ギャラリー4(2階) *参加費無料、申込不要、要観覧券 会期の折り返し地点となる第2期(part.2)の最終日、4名のゲストを迎えてトークイベントを開催します。デザイナー、編集者、アーキヴィスト、キュレーター がそれぞれの視点から、印刷物の設計・制作プロセス、ポストモダニズム期における印刷技術=複製技術への関心、印刷物の展示的価値などを切り口に、美術/印刷物をめぐるさまざまな問題について語り合います。 出演上崎千(慶應義塾大学アート・センター所員/アーカイヴ理論)木村稔将(グラフィックデザイナー)古賀稔章(編集者)森大志郎(グラフィックデザイナー)+鈴木勝雄(当館主任研究員)三輪健仁(当館主任研究員) 1.Burning Small Fires を分析する 日程: 2014年10月10日(金)時間: 18:30-20:00場所: ギャラリー4(2階) *参加費無料、申込不要、要観覧券 通常、印刷物を見るとき、私たちは何を見ているのだろうか? ブルース・ナウマンが1968年に制作した印刷物に何を見るのか? その制作プロセスの解読からはじめ、それがもつ特質を探り出し、他の印刷物との違いについて議論します。 出演木村稔将(グラフィックデザイナー)森大志郎(グラフィックデザイナー) 2.巡る世界の静止の点に 日程: 2014年10月11日(土)時間: 15:30-17:00場所: ギャラリー4(2階) *参加費無料、申込不要、要観覧券 1冊の印刷物と書店で出会う。それは読書体験の出発点であり、そこからひとりひとりの読者と印刷物との対話の時間が始まる。読者は印刷物を介して、作家の言葉や作中人物の声に耳を傾け、彼らと時間や場所を飛びこえた会合を果たす。その出会いは個々の記憶の中にだけ、秘かに小さな足跡を残す。20歳のときにアメリカに渡り、NYのプリンテッドマターに勤務しながら自身の作家活動を開始し、帰国後は青山のユトレヒトやTHE TOKYO ART BOOK FAIRのスタッフとしても活動しながら創作を続けるミヤギフトシ。アメリカと日本、それぞれの場所で経験してきた印刷物との出会い、彼自身のつくる印刷物のなかに綴じ込まれた過去の記憶や時間の連鎖。美術と印刷物の過去と現在について、個人的な視点を入口に語り合います。 出演ミヤギフトシ(美術家)古賀稔章(編集者) 3.「サイズ」を測る/観察する 日程: 2014年10月25日(土)時間: 15:30-17:00場所: ギャラリー4(2階) *参加費無料、申込不要、要観覧券 紙の工業規格、印刷時の紙取り、流通に適した寸法など、印刷物に与えられた「サイズ」に焦点を当てます。本展から複数の事例を挙げ、印刷物とサイズの関係性について議論します。 出演木村稔将(グラフィックデザイナー)森大志郎(グラフィックデザイナー) 4.「『美術と印刷物』と印刷物」と印刷物 日程: 2014年10月31日(金)時間: 18:30-20:00場所: ギャラリー4(2階) *参加費無料、申込不要、要観覧券 印刷物は芸術のミュージアム的な在り方(コレクションや展覧会の構成要素としての芸術の在り方)の外部を、さらに芸術の「作品」としての在り方の外部を拡張してきました。しかしそのような〈外部〉がいま、ミュージアムの一室に展示されています。かつてロバート・スミッソンが印刷物に見ていた「脱分化 dedifferentiation」というコンセプトを道具立てに、当該展示を批判的に検証します。 出演平倉圭(横浜国立大学准教授/芸術理論)上崎千(慶應義塾大学アー ト・センター所員/アーカイヴ理論) クロージング・イベント|印刷物、残りのものたち 日程: 2014年11月1日(土)時間: 15:00-16:30場所: ギャラリー4(2階) *参加費無料、申込不要、要観覧券 4名のゲストを迎えクロージング・イベントを開催します。第4期の展示では、行為やイベントといった一過性の表現と、その記録としての印刷物がテーマになっています。当館で2012年に開催されたイベント「14の夕べ」の記録印刷物である『ドキュメント|14の夕べ…』などを参照点に、デザイナー、編集者、アーキヴィスト、キュレーターが出来事と印刷物をめぐる問題や、本展それ自体の印刷物の構想について語り合います。 出演上崎千(慶應義塾大学アート・センター所員/アーカイヴ理論)木村稔将(グラフィックデザイナー)古賀稔章(編集者)森大志郎(グラフィックデザイナー)+鈴木勝雄(当館主任研究員)三輪健仁(当館主任研究員) 開催概要 東京国立近代美術館 ギャラリー4 2014年6月7日(土)~11月3日(月) 1 期 : 6月7日(土)~7月13日(日)2 期 : 7月15日(火)~8月24日(日)3 期 : 8月30日(土)~9月28日(日)4 期 : 9月30日(火)~11月3日(月・祝) *会期途中、展示の入れ替え作業を行います。 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館は閉館30分前まで 月曜日(ただし7月21日、9月15日、10月13日、11月3日は開館)、7月22日(火)、展示替期間(8月25日(月)~8月29日(金))、9月16日(火)、10月14日(火) 一般 430円 (220円)大学生 130円 (70円) 高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。 それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。 本展の観覧料で、当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(所蔵品ギャラリー、4-2F)もご観覧いただけます。 7月6日(日)、8月3日(日)、9月7日(日)、10月5日(日)、11月2日(日)、11月3日(月・祝) 東京国立近代美術館
コレクションを中心とした小企画:都市の無意識
概要 都市と美術は切っても切り離せない関係にあります。都市は表現者を触発する場であり続けるとともに、それ自体美術の重要な主題の一角を占めてきました。と同時に、都市のイメージの形成に視覚芸術が果たした役割も無視できません。両者の不可分な関係を調べてみると、興味深いことに気づきます。表現者たちは、統一的な全体像を描き難い複雑な都市に接近するひとつの方法として、それを面的な広がりとして捉えるのではなく、垂直的な構造をもつ「地層」として認識してきたように思えるのです。秩序や均質化を志向する都市の表向きの表情を一皮剥げば、その下に無数の人々の夢や欲望や感情が、澱として沈んでいるはずだという直感が働いているのでしょう。 この展覧会では、このような都市の深層に到る入口として、最上層の「スカイライン」、下層の「アンダーグラウンド」、そして表層の中の多層性という意味での「パランプセスト」という三つのテーマに注目することにしました。制作された場所も時代も異なる絵画、版画、写真、映像、資料45点を渉猟しながら、わたしたちの想像力を刺激してやまない都市の隠れた構造に迫ります。 展覧会構成 アンダーグラウンドUnderground 都市の地下空間には何が潜んでいるのでしょう。そして、それは地上の世界とどのような関係を結んでいるのでしょうか。都市の無意識的な領域ともいえる地下世界に割り当てられた文化的、社会的な意味を歴史的に辿りつつ、地底に向けられた、あるいは地底から発する想像力の広がりを捉えます。 浜田知明の《カタコンベ》は、ローマやパリといった都市にある地下墓所を描いたものですが、画面左手の細く長い階段によって、そこが異界の入口であることがわかります。このような都市と死者の世界が背中合わせになっている神話的なコスモロジーに対して、奈良原一高が撮影した長崎の軍艦島では、地上の高層マンションと地下の炭鉱が直結し、都市と鉱業という近代社会における階層構造が示唆されます。都心を流れる渋谷川に降り立った畠山直哉の《川の連作》もまた、インフラの技術史を踏まえた都市の深層への探索です。さらに、地下世界と結びつけられてきたレジスタンスの精神を、新宿西口地下広場のフォーク・ゲリラの資料などによって振り返ります。 スカイラインSkyline スカイラインとは、都市を遠望したときに現れる建築と空との境界線のこと。個々の建物の外観ではなく複数の建築群の連なりがつくる輪郭です。現代の都市には、城壁に囲まれた中世都市のような明確な輪郭はありません。都市的なるものの氾濫によって、都市の境界は見えにくくなっています。もしかするとスカイラインは可視化できる唯一の境界線なのかもしれません。この都市の上辺をなす鋸の歯のような形象が、そこに住まう人々の欲望や感情をいかに映し出してきたか。20世紀以降の都市の歴史とともに考察してみましょう。 都市のスカイラインといえば、まずニューヨークの景観が浮かびます。天空にそびえる超高層ビルが描く輪郭は、アメリカの経済的な繁栄を象徴する「高さ」の記号として機能してきました。これに対して、2001年9月11日の同時多発テロ以降にオスカール大岩や勝又公仁彦が制作したマンハッタンの風景は、「高さ」の神話が潰えた後の情景とも見ることができ、スカイラインに対する認識の変化を物語ります。 パランプセストPalimpsest 過剰なまでに記号が輻輳する都市においては、ある匿名の表現の上から、また新たな匿名の表現が重ね書きされ、予期せぬ意味の連鎖や葛藤状態が生まれます。このような表層的な記号の戯れを「パランプセスト」をキーワードに考察します。パランプセストとは、元の文を消してその上に新たな文を書き重ねた羊皮紙の古代文書から転じて、多層性を意味する言葉です。 ポスターを乱雑に貼り重ねたパリの壁は佐伯祐三を魅了し、パリの路上の壁に刻まれた/描かれた落書きは写真家ブラッサイを惹きつけました。ブラッサイは、社会の周縁に追いやられた者の反抗とカタルシスの場と落書きを捉え、都市に潜在する無数の声をそこに聞き取ります。基層に通じる開口部は記憶装置としての壁に限らず、人々の情動が交差する盛り場にも点在していることでしょう。高梨豊は新宿のゴールデン街に大型カメラを据え、物と記号がひしめく室内を、重層的なテクスチャーとして切り取ります。そこには都市の秩序に抗うような野生の記号が織りなす有機体が息づいています。 会場配布物 イベント キュレーター・トーク ① 鈴木勝雄 (本展企画者・主任研究員)日程: 2013年6月22日(土)時間: 11:00-12:00 ② 鈴木勝雄 (本展企画者・主任研究員)日程: 2013年7月26日(金)時間: 18:00-19:00 ※いずれも参加無料(要観覧券)/申込不要 開催概要 東京国立近代美術館 ギャラリー4 2013年6月4日(火)~8月4日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館は閉館30分前まで 月曜日(ただし7月15日は開館)、7月16日(火) 一般 420円(210円)大学生 130円(70円) 高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。 それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。 本展の観覧料で、当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(所蔵品ギャラリー、4-2F)もご観覧いただけます。 7月7日(日)、8月4日(日) 東京国立近代美術館
ジョセフ・クーデルカ展
概要 ジョセフ・クーデルカ(1938 年チェコスロヴァキア生まれ)は、今日世界で最も注目される写真家の一人です。本展はその初期から最新作までを紹介する展覧会です。 航空技師として働きながら1960 年代初頭に写真を発表し始めたクーデルカは、知人の紹介で撮影を始めたプラハの劇場での写真を通じてチェコスロヴァキアの写真界にその存在を知られるようになります。1967 年には技師の仕事を辞め、フリーランスの写真家として活動を開始。その翌年ワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻を撮影。その写真は匿名のまま西側に配信され、それをきっかけに1970 年、クーデルカは故国を離れました。 当初イギリス、後にフランスを拠点に、チェコスロヴァキア時代からとりくんでいた「ジプシーズ Gypsies1962-1970」や、亡命後にヨーロッパ各地で撮影された「エグザイルズ Exiles 1970-1994」などのシリーズを発表。それらは詩的でありながら独特の強さをもつイメージによって、市井の人々のささやかな人生の陰影をとらえつつ、20 世紀という時代をめぐる文明論的な奥行きをも備えた作品として高く評価され、クーデルカは一躍欧米の写真界でその名を知られるようになりました。 2002 年、クーデルカの初めての本格的な回顧展として、故国チェコ共和国、プラハのナショナル・ギャラリーで開催された本展は、その後トルコやメキシコに巡回しました。アジアでは初の開催となる東京展では、従来展示されなかったヴィンテージ・プリントが加わるほか、1980 年代後半よりとりくんでいるパノラマ・フォーマットの作品による「カオス Chaos 1986-2012」のシリーズを、最新作も含めた新たな構成とし、初期から今日に至るクーデルカの作品世界を紹介します。 ここが見どころ ジョセフ・クーデルカの回顧展はアジアでは初の開催 企画展ギャラリー(1階)の大空間に、代表的なシリーズ「ジプシーズ」や「エグザイルズ」も含む約280点が展示される、見ごたえ十分な展覧会です。 展覧会にあわせて、図録を出版 豊富な写真に加えて、日本語で文献が読むことのできる貴重な本です。 版型:241mm(横)*256mm(縦)ページ数204ページ(うち、写真ページ136ページ、文章68ページ)(予定) 同時期開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」において、森山大道「にっぽん劇場」(全100点)を展示 クーデルカと同年生まれの森山大道。初期の代表作「にっぽん劇場」(1968)を展示します。昨年イギリス、テート・モダンで開催された「William Klein + Daido Moriyama」展にも当館より75点が貸し出し、注目されました。今回は、18年ぶりに全100点を一括展示します。他にもクーデルカ展の会期中の所蔵作品展には、当館コレクションより多数の写真作品を出品予定です。 展覧会構成 1 初期作品 Beginnings 1958-1961 1961年、クーデルカはプラハの劇場のロビーで最初の個展を開きます。発表されたのは学生時代に手に入れた中古カメラで撮りためた作品群。風景や人物など身近な世界を題材としつつ、フォルムの探求やパノラマ構図の実験など、そこにはその後に展開される作品世界の萌芽を見ることができます。 2 実験 Experiments 1962-1964 演劇雑誌の表紙のために制作された作品群。要素を切り詰め、フォルムを強調し、極端なハイコントラストによって様式化、抽象化された画面は、クーデルカの作品としては一見異色です。しかし、対象の本質をとらえイメージ化するこの「実験」の成果は、後の仕事に確実に受け継がれていきます。 3 劇場 Theater 1962-1970 演劇雑誌での仕事をきっかけに、プラハに新設された劇場の撮影を任されたクーデルカは、単なる記録にとどまらない、独創的な舞台写真へのアプローチを試みます。ときに大胆に様式化、抽象化されたイメージは、同時にその舞台のエッセンスを的確に伝えるものでもありました。 4 ジプシーズ Gypsies 1962-1970 クーデルカはチェコスロヴァキア各地に暮らすジプシーを訪ね、撮影にとりくみます。舞台写真の仕事と並行して撮影されたジプシーのシリーズは、現実の世界を「劇場」としてとらえる独特のヴィジョンをつくりあげるとともに、1975年に刊行された写真集により、クーデルカの評価を確立しました。 5 侵攻 Invasion 1968 「プラハの春」と呼ばれた民主化勢力の台頭に対する反動として、1968年8月、ワルシャワ条約機構軍がチェコスロヴァキアに軍事介入します。首都プラハへの侵攻と市民の抵抗、その一部始終を撮影したクーデルカの写真は、翌年、匿名のまま西側諸国に配信されました。 6 エグザイルズ Exiles 1970-1994 ワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻を撮影したことをきっかけに、1970年に故国を離れたクーデルカは、ヨーロッパ各地を旅しながら撮影を重ねます。1988年にそれらは写真集『エグザイルズ』にまとめられました。亡命者という自身の境遇を反映するように、疎外感やノスタルジーが、シリーズ全体を貫くトーンとなっています。 7 カオス Chaos 1986-2012 1986年、フランスの政府機関の依頼で英仏海峡をめぐる風景を撮影した際、クーデルカは初めてパノラマフォーマットのカメラを使います。以降、産業化によって荒廃した土地、地中海沿岸の古代ローマ遺跡群など、人間の営みと景観をめぐるさまざまなパノラマ作品が発表され、その作品世界は文明論的な奥行きを深めていきます。 作家紹介 ジョセフ・クーデルカ Josef Koudelka 1938 年チェコスロヴァキア、モラビア生まれ。1961 年プラハ工科大学卒業。技師の仕事のかたわら舞台写真などを撮影。またチェコスロヴァキア各地でジプシーたちを撮影。1968 年ワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻を撮影。その写真は、本人および家族への報復の懸念から、P. P.( 「プラハの写真家」のイニシャル)名義で発表され、1969 年、匿名のまま国際報道クラブによりロバート・キャパ賞が授与された。1970 年に英国に移住。1971 年国際的な写真エージェンシーである「マグナム」に加入(1974 年正会員)。1980 年渡仏。1987 年帰化。『ジプシーズ』(1975 年)、『カオス』(1999 年)などの写真集や展覧会多数。1978 年には優れた写真家に贈られるナダール賞を受章、またアンリ・カルティエ= ブレッソン賞(1991 年)、ハッセルブラッド国際写真賞(1992 年)など多くの写真賞を受賞しているほか、フランス芸術文化勲章(1992 年シェヴァリエ、2002 年オフィシエ)、チェコ共和国功労章(2002 年)を授与された。 カタログ情報 イベント情報 ジョセフ・クーデルカ展 ポスタープレゼント実施! 12月7日より、12月中の毎週土曜日、日曜日および祝日、先着20名様(各日)に、ジョセフ・クーデルカ展のポスターをプレゼントしております。ご希望の方はインフォメーションカウンターの係員に、本展のチケット半券をご提示の上、ポスター希望の旨お伝えください。*1名様1枚まで*配布枚数は各日20枚となっております。各日、配布枚数に達し次第終了となります 飯沢耕太郎氏による追加講演会が決定しました! 講演者|飯沢耕太郎(写真批評)講演タイトル|ジョセフ・クーデルカの写真世界 日程: 2013年12月7日(土)時間: 14:00-15:30場所: 東京国立近代美術館 講堂(地下1階)共催|マグナム・フォト東京支社、チェコセンター *開場は開演30分前*申込不要、参加無料(先着140名) 現在、東京国立近代美術館で開催中の「ジョセフ・クーデルカ展」は、1938年にチェコに生まれ、世界有数のドキュメンタリー写真家となった彼の、日本で最初の本格的な回顧展です。そこには、大胆で、実験的な初期作品、彼の名前が一躍知られるようになったソ連軍のプラハ侵攻を撮影した「侵攻」(1968年)、放浪の民の生と死を見つめ続けた「ジプシーズ」(1962-1970年)、故国を脱出して亡命者となったクーデルカの孤独感が色濃い「エグザイルズ」(1970-1994年)、パノラマカメラでヨーロッパ各地の風景を撮影し、神話的といえるような映像に昇華させた「カオス」(1986-2012年)など、代表作約300点が並んでいます。クーデルカが写真家として、大きく変動する時代と社会にいかに対峙していったかを、作品をスライド上映しつつお話ししたいと考えています。本講演に先立ち、短い時間でしたがクーデルカ本人にインタビューする機会がありました。そこで聞いた面白いエピソードも紹介します。(飯沢耕太郎) 講演会 増田玲(当館主任研究員/本展企画者) 日程: 2013年11月16日(土)時間: 14:00-15:30場所: 東京国立近代美術館 講堂(地下1階) *開場は開演30分前*申込不要、参加無料(先着140名) ギャラリー・トーク 小林美香(当館客員研究員) 日程: 2013年11月29日(金)時間: 18:00-19:00 増田玲(当館主任研究員/本展企画者) 日程: 2013年12月20日(金)時間: 18:00-19:00 いずれも、企画展ギャラリー(1階)にて※申込不要、参加無料(要観覧券) 開催概要 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー 2013年11月6日(水)~2014年1月13日(月) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館はそれぞれ閉館の30分前まで 毎週月曜(12月23日、1月13日は開館)、12月24日(火)、年末年始(12月28日(土)-1月1日(水・祝)) 850(600)円大学生450(250)円 ( )内は20名以上の団体料金、いずれも消費税込。 高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。上記料金で入館当日に限り、同時開催の「現代のプロダクトデザイン-Made in Japanを生む」展、所蔵作品展「MOMATコレクション」および、工芸館で開催の「クローズアップ工芸」、「日本伝統工芸展60回記念 工芸からKOGEIへ」もご覧いただけます。 東京国立近代美術館、マグナム・フォト東京支社 チェコ共和国大使館、チェコセンター ライカカメラジャパン株式会社 日本航空
あなたの肖像―工藤哲巳回顧展
概要 戦後美術における異形・異能の芸術家 工藤哲巳 東京で初めての回顧展 工藤哲巳(1935-90)は、東京藝術大学在学中から作品の発表を始め、「反芸術」の代表的作家のひとりとして、早くから世間の注目を浴びました。1962年以降はパリに拠点を移し、80年代半ばまで、主に欧州で活動します。日本では「反芸術」の印象の強い工藤ですが、それは最初の数年間に過ぎません。とくにパリに拠点を移したのちは、文明ないし社会批評的観点から作品を制作していきました。本展では日本初公開の作品に加え、彼が作品制作と同様に取り組んできたパフォーマンスに関する記録映像、写真など、総数200点を超える作品や資料を展示し、彼の活動の全貌を紹介致します。日本では20年ぶり、東京では初めての回顧展です。 ここが見どころ 世界で再評価の進む工藤哲巳。日本では20年ぶり、東京では初の回顧展 994年に大阪の国立国際美術館で開催された回顧展以来、国内では20年ぶりの回顧展、東京では初の回顧展です。 日本初公開の作品を含む国内外の代表作200点が集まる大展覧会。 アムステルダム市立美術館、ゲント現代美術館、ポンピドゥ・センター(パリ)、ニューヨーク近代美術館などをはじめ、海外から借用する作品の多くは日本初公開です。工藤の活動を包括的に紹介する初めての機会と言えるでしょう。 「読売アンデパンダン」展の傑作。約半世紀ぶりに日本に帰国。 1962年第14回「読売アンデパンダン」展での出品作《インポ分布図とその飽和部分に於ける保護ドームの発生》(ウォーカー・アート・センター蔵)が、約半世紀ぶりに日本で展示されます。ひとつの展示室を丸ごと占有したこの作品は、今の言葉で形容すればインスタレーションとも言うべきもので、赤瀬川原平曰く、「この年の最大傑作」と高く評価された伝説的作品です。 豊富な記録写真や映像資料 工藤は作品制作のみならず、自身の身体を用いて数々のパフォーマンス(ハプニング/セレモニー/パフォーマンス)を行いました。これらを記録写真、記録映像、関連資料によって紹介します。 展覧会特設サイトをオープン! 東京国立近代美術館、国立国際美術館、青森県立美術館の3館で特設サイトを運営します。会期中、情報を随時更新していきます。こちらもぜひチェックしてみてください! *公開は終了しました 展覧会構成 1) 1956-62 Tokyo 工藤哲巳は、大学卒業前後から主に「読売アンデパンダン」展で活躍しました。当初はアンフォルメル風の絵画を描いていましたが、増殖をテーマに無数の紐の結び目からなる立体の作品、木の根っこに無数の釘を打ちつけた作品などを制作するようになりました。一連の作品には「融合反応」や「増殖性連鎖反応」といった物理学の用語を思わせる題名がつけられています。また、ここでは「読売アンデパンダン」展の会場一室を占有して話題となった《インポ分布図とその飽和部分に於ける保護ドームの発生》も紹介します。 2) 1962-69 Paris パリに到着した直後から工藤は現地の芸術家、批評家たちと交流し、多くの展覧会に参加しました。また、この頃から箱や鳥かご、温室といった対象を閉じ込めるかのようなフレームを用いるようになります。断片的な身体、あるいは肥大化したり溶け出したりする身体が、それぞれサイコロを模した箱に入れられ積み上げられた《あなたの肖像》や、観音開きの戸棚のような矩形のなかに、瓶詰にされた人形が並ぶ《あなたの偶像》など、閉所に押し込められ、一方でそのなかで保護される人間の様相を表現したショッキングな作品を発表し、物議を醸しました。 3) 1969-70 Mt. Nokogiri (Chiba) 1969年、一時帰国。さなぎと男根のダブルイメージを象った巨大なモニュメント《脱皮の記念碑》を、千葉県鋸山の断崖に制作しました。学生運動の渦中に飛び込み、若い世代との交流を図りました。 4) 1970-75 Düsseldorf, Paris, Amsterdam, and Milan 環境汚染、放射能などの公害問題をテーマに、人間と自然と科学技術とが共生するモデルを提示した作品「環境汚染―養殖―新しいエコロジー」を、1971年頃から展開しました。個展を行ったデュッセルドルフでは、劇作家・イオネスコの手掛けた映画の舞台美術の制作を手伝いました。しかし、その後、彼をヨーロッパの悪しき知識人の典型として批判の俎上に乗せ、「イオネスコの肖像」を制作。また、「コンピュータ・ペインティング」と題された平面作品に取り組みました。 5) 1975-80 Okayama, Berlin, and paris 岡山でのグループ展のために一時帰国したのち、ドイツ学術交流基金(DAAD)の奨学金でベルリンに一年間滞在し、制作を行いました。1970年代後半頃から、作品の見た目は攻撃的ものから徐々に内省的なものへと変化していきました。まるで逃れられない運命や遺伝子のネットワークを手繰るかのように、綾取りを行う姿の自画像などが制作されるようになります。1980年にはアルコール中毒治療のため、一時入院しました。 6) 1980-90 Tokyo, Paris and Hirosaki 70年代後半から見られるようになった糸の塊は、次第に繭玉として独立し、《二つの軸とコミュニケーション》といった作品に発展していきます。ここでは、自らの死が近いことを悟ったうえで制作されたと思われる晩年作品《前衛芸術家の魂》や人魂、凧などの作品を紹介します。 作家紹介 工藤哲巳とは 1935年、大阪生まれ。父の出身地である青森で少年時代を過ごし、父の早世後、母の郷里の岡山で高校時代を過ごしました。東京藝術大学に進学。大学在学中から、「読売アンデパンダン」展を中心に作品の発表を開始。篠原有司男や荒川修作たちが結成した「ネオ・ダダ」とともに、「反芸術」の代表格として注目されました。1962年、渡仏。以来、日本を行き来するようになる80年代半ばまで、欧州を中心に活躍。ヨーロッパでは、「あなたの肖像」のシリーズに代表されるように、同地の「良識」を挑発する作品やパフォーマンスを次々と展開。1972年には、アムステルダム市立美術館で個展が開催されました。1970年代後半頃から、徐々に内省的な雰囲気を湛えた作品へと変化していきます。1987年には、母校の東京藝術大学の教授に就任。1990年11月12日、55歳の若さで他界しました。彼の作品は一見するとグロテスクですが、それらは物理学や数学、文明社会への関心を踏まえ、「社会評論のモデル」として、見る者の既成概念を揺るがすことを目的に作られています。1994年には国立国際美術館で回顧展。2007年にはメゾン・ルージュ(パリ)、2008年にはウォーカー・アート・センター(ミネアポリス)で回顧展が開かれるなど、世界的に再評価の機運が高まっています。 カタログ情報 イベント情報 プレ・イヴェント 開催趣旨: 今秋より国立国際美術館、東京国立近代美術館、青森県立美術館の3館巡回で開催される「あなたの肖像―工藤哲巳回顧展」(当館での会期は2014年2月4日~3月30日)のプレ・イヴェントとして、3館の展覧会企画者による発表と、1969年に工藤が千葉県房総の鋸山に制作した巨大モニュメント「脱皮の記念碑」を軸とした記録映画(1970年)の上映を行います。近年、フランスやアメリカの美術館で回顧展が開催され、再評価の機運の高まっている工藤について知るまたとない機会です。 開催日時:2013年6月23日(日) 13:00-16:30 *開場は開演30分前*申込不要、参加無料、先着150名 会場:東京国立近代美術館 講堂(地下1階) プログラム 13:00-13:20 「工藤哲巳のハプニングについて」 島敦彦(国立国際美術館学芸課長)13:30-13:50 「工藤哲巳と高松次郎一初期作品をめぐって」 桝田倫広(東京国立近代美術館研究員)14:00-14:20 「工藤哲巳の宇宙論」 中井康之(国立国際美術館主任研究員)14:30-14:50 「工藤哲巳の贈与性」 飯田高誉(青森県立美術館美術統括監)15:00-15:20 「工藤哲巳と津軽」 池田亨(青森県立美術館学芸主幹)15:40-15:50 映画紹介 島敦彦15:50-16:20 映画上映「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録」 (1970年) 講演会 ① 堀浩哉(美術家、多摩美術大学教授)日程: 2014年2月22日(土)時間: 14:00-15:30 *記録映画「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録」の上映後、当時から工藤と交友関係を築いた堀氏にお話しを伺います。 ② 沢山遼(美術批評) 「工藤哲巳―自動生産の工学」日程: 2014年3月1日(土)時間: 14:00-15:30 ③ 中嶋泉(美術史家、明治学院大学研究員) 「工藤哲巳と草間彌生」日程: 2014年3月15日(土)時間: 14:00-15:30 *いずれの講演会も聴講無料、申込不要、先着150名*地下1階講堂にて。開場は開演30分前 ギャラリー・トーク 桝田倫広(当館研究員、本展担当者)日程: 2014年2月14日(金)2014年3月14日(金)時間: 18:00-19:00場所: 1階企画展ギャラリー *参加無料、申込不要、要観覧券 上映会 記録映画「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録」(1970年)日程: 2014年2月8日(土)時間: 14:00-14:30場所: 地下1階講堂 *無料、申込不要、先着150名*開場は開演30分前 開催概要 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー 2014年2月4日(火)~3月30日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 月曜日(3月24日は開館) 一般850(600)円 大学生450(250)円 高校生以下および18歳未満、障害者手帳などをご提示の方とその付添者(1名)は無料。( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。上記料金で入館当日に限り、同時開催の「MOMATコレクション」、「泥とジェリー」および、工芸館で開催の「日本伝統工芸展60回記念 工芸からKOGEIへ」、所蔵作品展「花」もご覧いただけます。 東京国立近代美術館、国立国際美術館、青森県立美術館 日本航空 公開終了しました 国立国際美術館:2013年11月2日(土)~2014年1月19日(日)青森県立美術館:2014年4月12日(土)~6月8日(日)
竹内栖鳳展 近代日本画の巨人
概要 日本画家の竹内栖鳳(1864-1942)は京都に生まれ四条派の幸野楳嶺(こうのばいれい)に学び、京都画壇の近代化の旗手として土田麦僊(つちだばくせん)をはじめとする多くの後進に影響を与えました。 栖鳳は積極的に他派の筆法を画に取り入れ、また定型モティーフとその描法を形式的に継承することを否定し、画壇の古い習慣を打ち破ろうとしました。その背景には、明治33(1900)年のパリ万博視察のための渡欧がありました。現地で数々の美術に触れ、実物をよく観察することの重要性を実感したのでした。 しかし、やみくもに西洋美術の手法を取り入れたのではないところに栖鳳の視野の広さがありました。江戸中期の京都でおこった円山派の実物観察、それに続く四条派による対象の本質の把握と闊達な筆遣いによる表現は幕末には形式的なものとなり、定型化したモティーフとそれを描くための筆法だけが残ってしまいました。栖鳳は実物観察という西洋美術の手法をもとに、西洋と肩を並べられるような美術を生み出そうという気概でこれら伝統絵画の根本的理念を掘り起こそうとしたのです。 栖鳳の作品の前に立つと、あたかもその対象にじかに触れているかのような感覚におそわれますが、よく見ると、描かれているものが実物とかけはなれていることもしばしばです。それは、丹念な実物観察を行いながらも、その目的は外形写生ではなく、あくまでも対象の本質をつかむことにあったことを表しています。 本展は、栖鳳の代表作、重要作、長らく展覧会に出品されてこなかった作品約110点、素描などの資料約60点で栖鳳の画業を通観し、栖鳳が新たな時代に築いた日本画の礎を示します。 会期中、展示替えがあります ここが見どころ 過去最大規模の回顧展! 今回の展覧会で出品される本画は100点あまり。1957年に開催された回顧展以来の大規模展です。しかも主要作品、重要作品を可能な限り網羅しています。 展覧会初出品作品も! 京都の神泉苑に奉納されて以来、展覧会には初出品となる絵馬《龍神渡御の図》(1887年)をはじめ、《富士図》(制作年不詳、本間美術館)、《花に蔵》(1934年、個人蔵)など、古い図版で知られていたものの実物を観る機会がほとんどなかった優品が登場します。どの作品も、栖鳳の画業の多様さを納得させてくれます。 海外への発信に注目! さらに海外から、栖鳳作の原画(髙島屋史料館)をもとに製作されたビロード友禅《ベニスの月》(1907年、大英博物館)がやってきます。栖鳳は明治期、当時京都が都市をあげて世界へ販路を開拓していた美術染織の製作にかかわりました。自ら友禅の原画を描くだけでなく、日本画・洋画の別に関係なく他の画家が描いた原画に助言を与えるプロデューサーの仕事もしていました。この作品からは、日本国内で絵画の近代化をはかるだけなく、海外で通用する日本美術とはどのようなものかという、栖鳳の研究のあとがうかがえます。なお明治の京都の美術染織は近年専門家の間で注目を集めていますが、原画と染織作品両方が現存しているものは少なく、この作品はきわめて貴重です。 展覧会構成 第1章 画家としての出発 | 1882 ̶ 1891 竹内栖鳳は四条派の幸野楳嶺(1844-1895)に入門し、楳嶺の厳格な指導のもとで四条派の表現技法をはじめ漢文などの素養を身につけました。楳嶺画塾の外でも、師について北越地方を写生してまわったり、京都社寺で古画の模写を行ったりすることで修練を重ねました。この時期の作品は、栖鳳のこうした学習の様子を示すかのように、伝統的な画題が伝統的な筆致で描かれています。中には、後年の栖鳳の作品からは想像もつかないような作風のものもあり、修業期から発展期へと、栖鳳の画業がいかに大きく羽ばたいていったかをうかがうことができます。この章では、現在遺されている栖鳳による古画の模写もあわせて展示します。一目であの作品と分かる名画からそうでないものまで、さまざまなものが写されました。あたかも、目にする古画を片端から模写していったかのようです。写したものは師匠楳嶺の属する四条派の作品だけにとどまりません。幅広い古画学習は、やがて人々の間に議論を巻き起こし、画壇の話題の人物として栖鳳にスポットライトが当たるきっかけとなるのです。 第2章 京都から世界へ | 1892 ̶ 1908 栖鳳は、1892年の京都市美術工芸品展に出品した《猫児負暄(びょうじふけん)》(現存せず)が円山派、四条派、狩野派といった複数の絵画の流派の筆遣いを1枚の作品の中で使用したとして、鵺派(ぬえは)と称されました。異なる流派の技法を混在させたことは、それまでの絵画の約束を破るものとして非難の的となった一方、新しい流派がおこる予兆として期待を集めました。この時期栖鳳は、歴史上の事象、同時代の京都の景観、骸骨などさまざまな主題に取り組みました。その中には明らかに西洋画の表現を意識したものが多数見られます。栖鳳はかなり早くから西洋美術の存在を意識して、海外の美術文献の講読会を自身の画塾で開きました。加えて、万博への出品や販路の確保のため海外へ眼を向けていた京都の美術染織業界にもかかわることで、西欧における日本の美術のあり方について考えを深めていったのです。 さらに1900年にパリ万博視察のために渡欧し、各地で多数の西洋美術に触れた栖鳳は、帰国すると、獅子やヨーロッパ風景を西洋絵画的な写実性を帯びた表現で描き注目を集めました。しかしそんな彼が渡欧体験を通じてもっとも重視するに至ったのは、西洋美術の長所である実物観察にもとづいた写生に、日本の伝統絵画が得意とする写意―外形というよりは対象の本質を描き出すこと―を融合させることでした。 この章で紹介する作品は、西洋美術に関心を持つ京都画壇の若手画家の一人だった栖鳳が、数々の経験を経て、西洋美術に肩を並べるという広い視野をもって伝統絵画の表現を見直した足跡にほかなりません。また本章では、栖鳳の美術染織の仕事にスポットをあてたコーナーも設けます。西洋で通用する日本の美術はどのようなものであるのか、栖鳳の考えが見えてくることでしょう。 第3章 新たなる試みの時代 | 1909 ̶ 1926 美術学校の教諭として、多数の弟子を抱える画塾の主として、また1907年から始まった文部省美術展覧会(通称文展)の審査員として、栖鳳はすでにこの時期、画壇において地位を確立していました。土田麦僊をはじめとする後進も頭角を現し、1918年に彼らによって国画創作協会が結成されると、栖鳳はその顧問となりました。しかし栖鳳の活動は若い世代の育成にとどまりませんでした。人物の動作の優美さだけでなく、一瞬の仕草のなかに彼らの心情を描き出そうとしたり、従来の伝統的な山水表現でも西洋絵画的な遠近法をそなえた風景表現でもない風景画を描こうとしたり、あるいはこれまでよりもいっそう、生き物の生命感に肉迫しようとしたりと、新たな表現を意欲的に研究しました。この章では栖鳳のこうした作品のほか、人物画研究にスポットを当て、スケッチとともに制作のプロセスをたどります。また表現、主題ともに栖鳳に多くの刺激を与えた旅についても、本画に写生帖や資料をあわせて展示することで総括を試みます。 第4章 新天地をもとめて | 1927 ̶ 1942 昭和に入ると栖鳳はしばしば体調を崩し、1931年に転地療養のため湯河原へ赴きました。健康を回復すると、東本願寺の障壁画に取り組むなど、以前よりさらに精力的に制作し、以降この地で没するまで、彼は湯河原と京都とを頻繁に行き来しました。この時期の栖鳳は、より洗練された筆致で対象を素早く的確に表現するようになると同時に、自然を見つめる自身のあたたかいまなざしを作品の前面に出すことが多くなりました。さらに晩年に至ってもなお、金箔により陽光の輝きを表現するような実験的な作品も生み出されたことは注目に値するでしょう。栖鳳の制作は、常に実物観察による写生から出発しました。しかし本画をつぶさに観察すると、写生から画絹に表現するまでの間にさまざまな要素が取捨選択されており、その取捨選択の仕方が年齢とともに変化していくのがわかります。それが栖鳳の画風の変遷を形成しているのです。最終章では、昭和期の作品を紹介するほかに、栖鳳が生涯を通して追究した写生を、水というモティーフを手がかりに探ります。 作家紹介 元治元(1864)年京都に生まれる。 明治10(1877)年四条派の画家・土田英林に入門。 明治14(1881)年同じく四条派の大家・幸野楳嶺に入門し、「棲鳳」の号を授かる。 明治22(1889)年髙島屋意匠部に勤務、その後も顧問としてかかわる。 明治25(1892)年京都市美術工芸品展に《猫児負暄》を出品、その筆法から鵺派と評される。 明治28(1895)年京都市美術工芸学校教諭となる。 明治33(1900)年パリ万国博覧会視察のため渡欧、各地の美術館や美術学校を視察。 明治34(1901)年帰国、第7回新古美術品展に《獅子》を出品、雅号を「栖鳳」とする。 明治40(1907)年文部省美術展覧会(文展)始まり、審査員となる。 大正2(1913)年帝室技芸員となる。 大正7(1918)年弟子の土田麦僊らが結成した国画創作協会の顧問となる。 大正9(1920)年弟子で娘の夫でもある西山翠嶂、京都市立絵画専門学校教諭で若手画家に最先端の西洋美術思潮を盛んに紹介した美学者の中井宗太郎らとともに中国を旅行する。翌年も訪中。 大正13(1924)年フランス政府より、日仏間の文化交流の発展に尽くした者に贈られるシュヴァリエ・ド・ラ・レジオン・ドヌール勲章を受ける。 昭和6(1931)年肺炎の療養のため湯河原へ赴く、以降京都と頻繁に行き来する。 昭和12(1937)年文化勲章受章。 昭和17(1942)年肺炎のため湯河原にて歿する。 カタログ情報 イベント情報 講演会 高階秀爾(大原美術館長、東京大学名誉教授)「竹内栖鳳 -もうひとつの西洋体験-」 日程: 2013年9月7日(土)時間: 14:00-15:30場所: 東京国立近代美術館講堂(地下1階) *開場は開演30分前*参加無料(140名) 要申込(応募者多数の場合は抽選とさせていただきます) 申込方法郵便往復はがきの往信用裏面に郵便番号・住所・氏名(ふりがな)・電話番号を返信用表面に郵便番号・住所・氏名を明記のうえ、お申し込みください。*1枚の往復はがきで2名までの応募可。2名応募の場合は往信用裏面にそれぞれの氏名を明記してください。 申込先〒106-0032 東京都港区六本木4-8-7 六本木三河台ビル7F「竹内栖鳳展」広報事務局「講演会」係 申込締切8月9日(金) ※当日消印有効 受付を終了しました 平野重光(美術史家)「竹内栖鳳の芸術について -女性像にちなんで-」 日程: 2013年9月28日(土)時間: 14:00-15:30場所: 東京国立近代美術館講堂(地下1階) *開場は開演30分前*参加無料(先着140名)*申込不要 開催概要 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー 2013年9月3日(火)~10月14日(月) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館はそれぞれ閉館の30分前まで 月曜日(9/16、9/23、10/14は開館)、9/17、9/24 一般=1,300円(1,100円/900円)大学生=900円(800円/600円)高校生=400円(300円/200円) ( )内は前売/20名以上の団体料金。いずれも消費税込。 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方と付添者1名は無料本展の観覧料金で入館当日に限り、同時開催の「MOMATコレクション」もご覧いただけます。前売券は6月24日(月)から9月2日(月)まで販売。展覧会会期中は当日料金で販売。 早割りペアチケット(2枚)は、4月22日(月)から6月21日(金)まで1800円で販売。 前売券[9月2日(月)まで]および当日券は、東京国立近代美術館券売所、チケットぴあ[Pコード=765-631(前売/当日)、765-632(早割りペア)]、ローソンチケット[Lコード=36838(共通)]、セブン-イレブン[セブンコード=022-387(共通)]ほか、各種プレイガイドにてお求めいただけます。 東京国立近代美術館、日本経済新聞社、NHK、NHKプロモーション 旭硝子、大伸社 京都市美術館:2013年10月22日(火)―12月1日(日) 展覧会特設HPも、ぜひご覧ください。リンクはこちらから→竹内栖鳳展特設HP公開は終了しました
コレクションを中心とした小企画:泥とジェリー
岸田劉生 《The Earth》1915年頃 概要 絵具とは不思議なものです。それはべちゃべちゃしたねばっこいモノでありながら、同時に色となり形となって、キャンバス上に人物や風景といった図柄を作ります。絵具のべちゃべちゃが目につくとき、図柄は私たちの意識から引っ込み、逆に図柄が目立つとき、べちゃべちゃは退きます。そこで、あまりべちゃべちゃが目立たないよう表面をなめらかにならすのが、ふつう私たちの考える絵画のあり方です。では仮に、絵具のべちゃべちゃを極端に際立たせてみたら、一体どんな作品が生まれるでしょう。 人はそもそも、文化や時代の別を越えて、べちゃべちゃしたものをこねまわす喜びに惹かれます。この喜びを、多くの場合触覚を抑え、視覚に専念するよう求める「絵画」という枠の中で扱うとき、どんな可能性が開けるのでしょうか。この小企画展では、MOMATのコレクションより、岸田劉生の重要文化財《道路と土手と塀(切通之写生)》(1915年)をはじめ、31点をご紹介します。 ここが見どころ 岸田劉生といえば、大正時代を代表する洋画家。ちょっと取りつきにくい?いえいえ、そんなことはありません。今回初出品される、長女、麗子(有名な「麗子像」シリーズのモデルです)のために描いた、あまりにも風変わりなイラスト(?)を見れば、そんなイメージも吹き飛ぶはず。一緒にご紹介する短編小説「道悪」も、なんでこうなるの?という衝撃の展開です。どんな風に「風変わり」で「衝撃」なのかは、ぜひ会場で。 また今回は、作家の協力により、岡﨑乾二郎の絵画および彫刻作品も出品されます。劉生との密かなコラボレーションをどうぞお楽しみに。 展覧会構成 1. 24歳の時、「草土社」というグループを結成した大正期の画家、岸田劉生。重要文化財《切通之写生(道路と土手と塀)》(1915年)は、まさに「草」と「土」を描いた劉生の代表作です。前後に制作された素描や版画を見ると、劉生にとって特にやわらかな「土」が、人間が人間以前の状態にあることを示す、危うくも魅惑に満ちた、独特の意味を持つものであったことがわかります。 このコーナーでは、劉生にとって「土」が意味するものを、絵画作品のみならず、劉生が書いた短編小説「道悪」の一節や、長女、麗子のために描いたユーモラスな戯画とともに探ります。「道悪」では、若い画家の前にべちゃべちゃした忌わしいものが次々と立ち現れ、その制作を妨げます。しかし最後に画家は、これら「べちゃべちゃした忌わしいもの」を材料にして、その忌わしさを克服し、美しいものに作り替えることこそが、芸術家の使命であると気づくのです。 岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》1915年重要文化財 岸田劉生《自画像》1914年 岸田劉生《「天地創造」より 1.欲望》1914年 岸田劉生《壺の上に林檎が載って在る》1916年 2. 前衛グループ「具体」に属した画家、白髪一雄の作品を中心にご紹介します。白髪は1954年、天井から吊るした縄につかまり、床に置いたキャンバスの上を滑走しつつ足で描く、という方法を編み出しました。その経緯を白髪は次のように述べます。 「絵具を大量に使って、一ぺんに短時間に描くと非常にフレッシュなものができる…そして[キャンバスを]立てて描くと、絶対に絵具がたれてしまうさかいに、それは結局寝かして描かねばならない。寝かして描くと、大きい画面やとまん中の方に手が届かない。そうすると画面の中に入らなしょうがない」。 ふつうは垂直に壁にかけるキャンバスを水平に床置きしたことで、キャンバスは画家の闘技場に、絵具はその上で画家が全身を使って挑む格闘の相手になったのです。ここにはまた、岸田劉生がヴァン・ゴッホの厚塗りを通して知った描画スピードの問題が顔をのぞかせています。つまり、乾燥を待たず急いで絵具を塗り重ねると、絵具の質感、感情の表出ともに「フレッシュなものができる」、というわけです。 3. 岡﨑乾二郎と中西夏之の作品を中心にご紹介します。 岡﨑乾二郎の画面は、素早い筆の動きを思わせる、いろいろな方向性を持つタッチで埋められています。個々のタッチは色とりどりで、さまざまな透明度を持ち、どこかおいしそうなジェリーを思わせます。しかし、勢いのあるタッチは決して「激情」によって描かれたものではありません。岡﨑の作品の中には、長い熟慮と瞬時の動作、といった複数の時間の経過が孕まれているのです。 中西夏之は、1960年前後、練った砂を画面上に盛り上げる作品を制作しました。まるで左官仕事のようです。また、その上に茶のエナメル塗料で描かれた傷跡のような形には、濃淡の陰影が付けられ、本当に盛り上がっているわけではないのに立体感があるように見えます。つまり、本当に盛り上がっている砂と、陰影付けによって盛り上がっていないのにいるように見える描かれた形とが、二重に層をなしているのです。この問題意識は、見た目はかなり異なる約20年後の絵画作品にそのまま引き継がれています。 会場配布物 イベント情報 キュレーター・トーク ① 岡﨑乾二郎 (出品作家) 日程: 2014年2月21日(金)時間: 18:00-19:00 ② 蔵屋美香 (本展企画者・美術課長) 日程: 2014年3月8日(土)時間: 15:30-16:30 ③ 蔵屋美香 (本展企画者・美術課長) 日程: 2014年3月28日(金)時間: 18:00-19:00 ※いずれも参加無料(要観覧券)/申込不要 開催概要 本館 ギャラリー4 (2F) 2014年1月21日(火)~4月6日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)*入館は閉館30分前まで 月曜日(ただし3月24日、31日は開館) 一般 420円(210円)大学生 130円(70円) 消費税増税に伴い、2014年4月1日(火)以降、所蔵作品展観覧料が次のとおり変更となります。一般 430円(220円)大学生 130円(70円) 高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。 それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。 ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。 本展の観覧料で、当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(所蔵品ギャラリー、4-2F)もご観覧いただけます 2月2日(日)、3月2日(日)、4月6日(日) (所蔵作品展「MOMATコレクション」、「泥とジェリー」展のみ) 東京国立近代美術館
No image
カスタムブロック調査
ブロックエディタのカスタマイズについて諸々の調査確認を行う ブロックエディタによるページ編集の実際ブロックエディタの標準機能をさらってみるカスタムブロックとは何か?カスタムブロックをどのように実現するか?カスタムブロックの実装を試行する https://github.com/info-lounge-momat/momat-web/issues/11#issuecomment-1207728089 ギャラリー ギャラリーテスト用IL池 pt1 ギャラリーテスト用IL池 pt2 見出し 引用 新宿駅は巨大な駅だ。一日に延べ三百五十万人に近い数の人々がこの駅を通過していく。ギネスブックはJR新宿駅を『世界で最も乗降客の多い駅』と公式に認定している。いくつもの路線がその構内で交わっている。主要なものだけで中央線・総武線・山手線・埼京線・湘南新宿ライン・成田エクスプレス。それらのレールはおそろしく複雑に交差し、組み合わされている。乗り場は全部で十六ある。村上春樹 「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 通常の段落この下にウィジェットを挿入してみる。 カスタムブロック 通知ボックス 見出しと段落とボタンを許可。リンクは貼れる 回答その1 回答その2 回答その3 回答その3あいうえおかきくけこ テーブル1テーブル2内容1内容2 リストを追加しましたこれでどうかな? TEST
No image
森正洋:陶磁器デザインの革新
No image
夏の家
世界で注目される建築事務所スタジオ・ムンバイによる日本初の建築プロジェクト 東京国立近代美術館は2012 年に開館60 周年を迎えました。この機会に、美術館(本館)の所蔵品ギャラリー(2-4F)を大幅にリニューアルするため、7月30 日-10 月15 日の間、美術館は休館いたします。本企画「夏の家」は、休館中も多くの方々に来ていただくために、美術館の前庭に東屋を設置し、憩いの場として開放するものです。設計・施工を担当するのは、話題の建築事務所スタジオ・ムンバイ(インド)。世界で注目を集める彼らの、日本初となる建築プロジェクトです。彼らの得意とする、オーガニックな素材をつかった心地よい空間で、散歩の合間に休憩したり、夕涼みをしたり、多くの方々に気軽にお過ごしいただけます。また、多くの大工職人を抱え、自ら建設まで行うスタジオ・ムンバイの特徴を多くの方に知っていただけるよう、今回はインドから大工を招聘し、施工の様子を公開します。 What is "barakku" ? ―スタジオ・ムンバイによる「バラック」 東京国立近代美術館が開館した1952 年は戦後復興の途中であり、東京にはまだまだバラックが多く残っていました。それらは、何もかもを失い、家をつくる必要に迫られた人々が、建設の知識がないまま自分の手で工夫を重ねてつくりあげたすまいの原型であるといえます。そしてバラックには、人々が自分の過ごす場所をその都度工夫していく、未完の建物ならではの魅力があります。新築/改修、職人/素人に関わらず建物を建て、日々更新していくという建築のあり方は、スタジオ・ムンバイが建築に取り組む方法と重なります。 本来バラック(barrack)は兵舎という意味ですが、日本人がイメージするバラックは英語のshelter やhut(小屋)も含んでいます。今和次郎は、『震災バラックの回顧』(1927 年)において、この日本語の「バラック」が指すものを丁寧に調査し、示しました。そして、関東大震災後に地面から湧き出るように次々と建てられた「バラック」の数々と、田舎の農家や開墾地の家々を、同質の視点で見つめ、それら原始的な建て方の小屋に、人がすまいを自ら工作することの価値を見出したのです。この視点は、震災を経た2012 年の日本において重要な問題でもあります。 かねてよりインドの田舎の集落や移動住居を調査してきたスタジオ・ムンバイは、今のバラック調査に大きく共感しました。そこで、本プロジェクトでは、小さな建築を建てることを通して、日本語の「バラック」が持つ可能性を追求します。また、今和次郎の他、ジョン・ラスキンやバーナード・ルドルフスキー『建築家なしの建築』などにも共通する民俗的な建築の魅力を、スタジオ・ムンバイがどう思考し、実践するかが本プロジェクトのみどころのひとつです。 Process : "making" and "doing" ―考えること、つくること、使うこと スタジオ・ムンバイが設計をするときの大きな特徴は「つくりながら考える」ことです。スタジオ・ムンバイでは、大工職人が、先人から引き継いできた技術をもとにまず手を動かします。そして、つくられたモノを軸に、デザイナーと大工が一緒になってデザイン、また手を動かします。この絶え間ない往復によって、徐々に設計が進んでいくのです。「考えること」と「つくること」を同時に進めていくこの方法は、設計や施工をすることだけに対応するものではありません。終わることのない試行は、建物が竣工したのちも、その空間を使う人によって続けられるのです。 今回は、日本で施工するためにインドから大工がやってきます。また、施工風景は一般に公開されます。大工が手作業で建てる様子は、建築に馴染みがない人でも面白く見ることができるはずです。それは料理をつくったり、針仕事をしたり、家のどこかを直したり、私たちの普段の生活に身近な出来事と同じことだからです。デザインをする人と使う人が分かれてしまい、建築をつくるものだと考える人は少なくなってしまった現在、彼らの施工の様子を見ることは、「建築をつくることは日々の生活の延長線上にある」と多くの人が考えるきっかけになることでしょう。 プロフィール スタジオ・ムンバイ 1995 年、ビジョイ・ジェインがムンバイに設立した、大工職人と設計者による、設計から施工まで一括して手掛ける建築事務所。当初15 名程度だったスタッフは、現在120 名を超える。土地の材料や伝統的な技術を重んじ、手作業による施工をベースにしたオーガニックな建築作品を数多くつくる。職人や芸術家とともに独自の建材をつくり、スケッチや大きなモックアップでの検討を何度も繰り返すプロセスそのものがデザインになることが特徴。建築作品の殆どはインドに建設されているが、ヴェネチア・ビエンナーレ建築展(2010 年)への出品をはじめ、建築雑誌『El Croquis』で特集されるなど、世界で注目を集める。 カタログ情報 イベント情報 ビジョイ・ジェイン氏(スタジオ・ムンバイ代表)講演会 ビジョイ・ジェイン(スタジオ・ムンバイ代表)(講演タイトル未定、逐次通訳付) 2012年9月1日(土)14:00 - 16:00(開場13:30- )東京国立近代美術館講堂(地下1階) *要申込(応募者多数の場合は抽選)、聴講無料(130名)申込は終了いたしました。 申込方法:電子メールでお申し込みください。件名を「ビジョイ・ジェイン講演会」とし、本文に氏名、ふりがなを明記のうえ0901@momat.go.jpにお送りください。締切後受講証(抽選の場合は抽選結果および受講証)を送付します。携帯電話のメールアドレスでご応募の方は、必ず@momat.go.jpからのメールを受け取れるよう設定をお願いいたします。 締切 2012年8月20日(月) 午後12時 申込は終了いたしました。定員を上回るご応募ありがとうございました。 *応募はお一人さま1回、1通につき1名までとさせていただきます。*個人情報につきましては、講演会申込手続のみに利用させていただき、その他の目的による利用は一切行いません。 8/25更新情報:定員を上回るお申込がありましたため、Ustreamでの配信をおこないます。 9月1日(土)14:00~ (リアルタイム配信)URL:http://www.ustream.tv/channel/studiomumbai-momat *リアルタイム配信終了後も、上記URLから視聴可能。 公開は終了しました。 連続レクチャーシリーズ「青空教室」―考える、つくる、動く、また、つくる 9月1日に竣工予定の「夏の家」。完成後、夏の家を会場に、レクチャーシリーズ「青空教室」をおこないます。 「家とはなにか?」そして、「家を自分でつくること」。「夏の家」にこめられたこれらのコンセプトについて、世代を超えて、多彩な方々をお招きし、世界の事例や、歴史的な出来事、今現在の状況を取り上げながら、3回にわたり、お話しいただきます。 「考える、つくる、動く、またつくる」という流れは、スタジオ・ムンバイの建物の建て方、とりわけ今回のプロジェクトの軌跡―スタジオ・ムンバイが考え、手を動かし、つくり、それを日本に移築する―に当てはまります。そして、建てられた「夏の家」でレクチャーが開催され、さまざまなトピックについて参加するみなさんと考えることは、つくられた建築が更新されていく=また、つくる ことになるはずです。ふるってご参加ください。 いずれも会場は「夏の家」にて。聴講無料。申込不要です。 第1回|動く|牧紀男(計画家)、中谷礼仁(歴史工学家)、坂口恭平(建築家など) 9月22日(土)18:00-20:00 テーマ:「動く家、仮の家」 「夏の家」は、住まい手が自ら材料を集め、自力で建設するバラックにインスピレーションを得ています。さまざまな素材をブリコラージュすることによってつくられるバラックは、一時的な不便をしのぐ仮のすまいであるがゆえに、移動さえも可能な、軽やかな家の在り方を示しました。実際にインドから日本へ動き、期限付きの家である「夏の家」を通じて、動く家、仮の家のもつ軽やかさについて考えます。 第2回|考える| 藤森照信(建築史家)、塚本由晴(建築家) 司会:後藤治(建築史家) 9月28日(金)19:00-21:00 テーマ:「家の条件」 「家」が「家」であるのは、屋根があるから?壁で囲まれているから?インフラがあるから?これからのすまいをつくるための、家のガイドラインについて、世界の民家を参照しながら、考えていきます。 第3回|つくる|内田祥哉(建築家)、高橋てい一(「てい」は青偏に光))(建築家) 司会:戸田穣(建築史家) 9月29日(土)18:00-20:00 テーマ:「建築の造り方」 戦後以降の日本の街並みをつくったともいえる高層ビルやプレハブ住宅の草創期に着目し、工業化が進む建築の生産の背景にあった、「どのように建築を造るのか?」の試行錯誤を辿っていきます。 お月見会 小さなお月見台もある「夏の家」。秋の夜長を楽しむイベントとして、お月見会を開きます。当日は予想では弓のような月ですが、屋外投影や、BEER MOMATの特別メニューなど、お月見ならではのスペシャルコンテンツを多々ご用意しています。ぜひご参加ください。 日時:9月15日 18:00-21:00 (雨天順延) 参加無料、申込不要 スケジュール:18:00-18:30 ギャラリートーク 本プロジェクト企画者による、「夏の家」の解説をおこないます。 18:00- お月見会終了まで当館で7月まで開催していた「写真の現在4」の出品作家である中村綾緒さんによる映像を投影します。コンセプトは、「あつめたひかりをそらにかえす」です。 当日は、BEER MOMATに出店している料理家のyoyo.さんとお仲間による、お月見にちなんだスペシャルメニューも販売します。 秋の夜長にぜひご参加ください! 開催概要 東京国立近代美術館 前庭 8月26日(日)~ 2013年1月14日(月・祝) 9月1日(土)完成予定。8月26日(日)~ 31日(金)は、職人が施工している様子をご覧いただけます。リニューアル工事に伴い、敷地内に車両搬入等を行う場合があります。一時的にご迷惑をおかけする可能性がありますが、ご理解・ご協力をお願いいたします。入場無料(申込不要) 8月26日(日)~ 9月8日(土) 10:00 - 22:009月11日(火)~ 10月13日(土) 10:00 - 17:00(9月13日(木)から29日(土)までの、毎週木・金・土は21:00まで)10月16日(火)~ 2013年1月14日(月・祝) 10:00 - 17:00(金曜日は20:00まで) 8月26日(日)~ 9月8日(土):無休 9月11日(火)~ 10月13日(土):日曜日、月曜日 10月16日(火)~ 2013年1月14日(月・祝):月曜日(12月24日、2013年1月14日は開館)、年末年始(12月28日(金) ~ 2013年1月1日(火・祝)) 東京国立近代美術館 インドのスタジオ・ムンバイで、着々とプロジェクトが進む様子をブログで紹介しています 公開を終了しました。
