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何を修め(修めず)、何を復する(復さない)のか—「秘密」の語り手としての修復家たち
美術館へ足を運ぶ。作品を見る。多くの場合、傍らにはいわゆる「キャプション」が付されている。制作者、主題、技法、制作年、寸法、収蔵館、そのいずれもが私たちが対象を知り読み解く基本的なよすがとなるものだ。本展のキャプションには、興味深いプラスαがある。展覧会のタイトルをそのまま借用するならば、「修復の秘密」、つまり作品の知られざる一面とも呼びうるものが公開されているのである。秘密の語り手として登場するのは、複数の修復家たちである。 展覧会場の右手にまず目を向けてみよう。まず、ルーチョ・フォンターナ《空間概念期待》が、修復家・斎藤敦による証言とともに姿を現す。キャプションに掲載された写真資料は、切り裂かれた画布の裏に、実は丁寧に当てられた布があることを私たちに教えてくれる。二次元を三次元へと切り開くフォンターナの身振りに潜む緻密なコントロールに思いを馳せながら歩みを進めると、モーリス・ルイス《神酒》裏面に染み出した絵具の様子が、裏面にあえて描画されたフランシス・ベーコン《スフィンクス—ミュリエル・ベルチャーの肖像》が[図1]、さらに絵画の「裏」についての考察を促す。 図1 会場風景(右からモーリス・ルイス《神酒》、フランシス・ベーコン《スフィンクス—ミュリエル・ベルチャーの肖像》。左端は靉光《自画像》)|撮影:大谷一郎 明かされる秘密は「裏」に留まらない。縦横比が変更された絵画(中村彝《大島風景》)、旧修復によって変色した絵画(岸田劉生《麗子肖像(麗子五歳之像)》)、GHQに接収された後に返却された絵画(藤田嗣治《ソロモン海域に於ける米兵の末路》など、紐解かれる物語は実に多岐にわたる。 「修復の秘密」の内容を(1)制作者の意図(2)光学調査の射程(3)修復家の葛藤の3つのグループに大きく分類した上で、作品群を鑑賞することもできよう。(1)の筆頭は前述のフォンターナやルイスの作品であり、通常光下での正面からの観察では確かめることのできない要素に目を凝らしながら画家の選択と技法を解き明かす、保存修復の手法が垣間見られる。(2)を代表するのは藤田嗣治《五人の裸婦》だろう[図2]。ここでは近年実施された光学調査が、旧修復の実態を明らかにし、今日の保存修復がそれに対峙しようとした姿勢がよく理解できる。なお、本展を特徴づける最も興味深いグループがおそらく(3)である。このグループに属する作品群では、修復方針がいかに定められたか、調査に基づく根拠が語られているのだが、修復家の証言に見え隠れする葛藤が語られる秘密の緊迫性をいや増している。 図2 会場風景(中央に藤田嗣治《五人の裸婦》)|撮影:大谷一郎 靉光《自画像》を前に、私たちは、修復家・土師広が「シャツが真っ白になるような見え方の変化」を懸念してワニスを除去すべきか否かを検討した経緯を知る。藤田嗣治《ソロモン海域に於ける米兵の末路》について、修復家・山領まりが「とても悩んだ」末にワックスと樹脂を用いて裏打ちした決断を目にする。秘密を明かす声の端々に、おそらくあらゆる時代の修復家誰もが共通して抱え続けてきたであろう終わりのない疑心のようなもの—果たしてここで下した選択は正しかったのか、という自己批判が滲む。 修復家はいわばバックヤードの存在であり、名前が作品のキャプションに登場する機会はほとんどない。ところが本展では、彼らが実名を明かしながら介入根拠を示す。それぞれの固有名詞は、曖昧模糊とした「保存修復に携わる誰か」の霧中に輪郭を描き、美術作品を残す行為に伴う根源的な心細さと、正解のない迷路のなかで道を見つけ出そうとする感触を、生々しく私たちに伝えてくれる。 会場では、2015年の展覧会「No Museum, No Life? ――これからの美術館事典 国立美術館コレクションによる展覧会」(東京国立近代美術館)に「保存修復」のキーワードと紐づけられ公開された安井曽太郎《金蓉》[図3]に改めて出逢い直すことができた。青い衣服に深い亀裂が広がっていた本作品は、制作者の安井自身が「かつて保存修復を試みたがうまくいかなかった」が「ひび割れた状態を面白がって肯定した」という二つの逸話の間で揺れ動き、あるべき保存修復のかたちをめぐって長らく慎重な検討が続けられたことで知られている。青い衣服に広がる亀裂は2005年に充填・補彩され、以前の外観から大きく変化した。作品の歴史の紡ぎ手としての修復の仕事に光をあてることで、本展は改めて、作品の「読み方」「残し方」の選択肢が広く開かれていることを、その選択に伴う責務の重圧を、そこにおいて作品の内外に眠っている情報の鉱脈を探り解釈を重ねていく修復家の仕事を見晴らしている。 図3 安井曽太郎《金蓉》1934年、東京国立近代美術館蔵|左が修復前、右が修復後 「修め(繕って整え)」「復する(もとの状態に戻す)」こと—冒頭で修復の仕事をこう紹介しながら、展覧会は前述の靉光《自画像》をはじめ、あえて「(完全に)復することはしなかった」事例についても詳らかに公開する。時代を超えて正解であり続ける保存修復技法は存在しない。だからこそ、近代以降に確立した保存修復学は「可逆性」を担保する修復のあり方を目指し続けてきた。 過ぎゆく時間のなかで、何を修め(修めず)、何を復する(復さない)のか。館が修復家たちといかに協働し、どのような思考や判断の末に今のかたちを選択したのかを公開する試みは、美術作品の生や経年変化をめぐる多角的な議論の端緒として、貴重な参照点となるだろう。 『現代の眼』638号
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プリントスタディ(写真作品閲覧制度)のご案内
プリントスタディ(写真作品閲覧制度)とは、当館が所蔵する写真作品を、事前の申込みにより個別に閲覧できる制度です。 当館では、写真部門のコレクションとして、国内および海外の写真家の作品、約3700点(令和4年度末現在)を所蔵しています。このプリントスタディをご利用いただくことで、ふだんの所蔵品展示や、他の美術館で開催される展覧会への出品といった展示の機会以外にも、当館が所蔵する写真作品をご覧いただくことができます。 利用条件 教育または研究目的のために閲覧を希望される方 個人またはグループで利用できます(グループでの利用は、原則として10名まで)1回につき、1個人あるいは1グループのみ利用できます 利用時間内に閲覧できる範囲で対応可能です 以下の数を目安としてください作家数:5作家まで作品数:全体で40点まで ※ 額装された大型作品など、プリントスタディでは閲覧できない作品もあります 1回1名につき500円
ゲルハルト・リヒター展|ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》についての考察レクチャーとトーク(日独同時通訳付き)
東京国立近代美術館 / ゲーテ・インスティトゥート東京 共同企画 東京国立近代美術館とゲーテ・インスティトゥート東京は、共同で日独の専門家によるトークイベントを開催します。《ビルケナウ》の制作過程から展示の変遷を追い、記憶の想起の問題、ドイツの歴史の文脈の中で作品をとらえることで、この重要な作品が現代に問いかける問題に接近します。ゲストは長年リヒターの画業に密着して論考してきた国際的なキュレーターのディーター・シュヴァルツ氏(オンライン出演)、ならびにドイツ文学・歴史研究の立場からリヒターの作品について考察する西野路代氏、司会は本展覧会の担当者である東京国立近代美術館の桝田倫広です。 プログラムの最初には、ピアニスト、ヤーノシュ・ツェグレディ氏による自身の作品《Three Evocations》の演奏をお聴きいただきます。ツェグレディ氏はナチスの時代をワルシャワのゲットーで生き延び、両親はマウトハウゼンとリヒテンヴェルトの強制収容所から奇跡的な生還を遂げました。今年85歳で、1967年から日本で活動しています。 直接参加の受付は終了いたしましたが、オンラインでイベントの様子をご視聴いただけます。是非ご覧ください。 2022年8月20日(土)17:00~ ディーター・シュヴァルツ(現代美術キュレーター、作家)西野路代(ドイツ現代文学研究) 司会:桝田倫広(東京国立近代美術館 主任研究員) Zoomウェビナー(オンライン) 視聴無料(先着500名)事前登録不要。先着での受付としております。定員に達した場合、ご視聴いただけないのでご了承ください。
写真の現在4 そのときの光、そのさきの風
概要 1970年代以来、日本の写真界においては、写真家たち自身が運営するギャラリーがさまざまに個性的な活動を展開してきました。近年、そうした動きは再び活発になり注目も高まっています。また写真集や、ZINEとよばれるより簡便な冊子形式の出版物からも、注目すべき仕事が次々に登場していますが、それらの多くも自主制作です。今回の展覧会では、こうした発表の手段や場も自分たちの手でつくる写真家たちの活動に注目します。 ここが見どころ 注目すべき中堅、若手作家の仕事から写真表現の現在地点を考えるシリーズの4回目。今回は、有元伸也、本山周平、中村綾緒、新井卓、村越としやの5人の写真の近作、新作を紹介します。 有元と村越は、現在、都内でそれぞれ仲間たちと自主ギャラリーを運営し、活発に展覧会を重ねています。本山と中村は、かつて同じ自主ギャラリーに参加することから、発表活動を始めた写真家で、自主制作のユニークな写真集でも知られています。ダゲレオタイプという最古の写真技法にとりくむ新井の作業は、イメージを定着させる感光性のある金属板を自らの手で用意するところから始まります。 彼らはもちろん写真雑誌やギャラリーなど、既存のメディアや場を通じても、作品を発表しています。またそれぞれウェブサイトやソーシャルメディアなどを作品発表や情報発信の手段として活用しています。しかし一方でその活動は、撮影から発表まで、いつもリアルで手応えのある等身大の世界とのつながりに軸足を残しているように見えます。 もともと故郷の福島の風景を撮り続けていた村越の作品がそうであるように、今回の展覧会は、「震災以後の現実」と向かい合う写真の現在という側面も持ちます。そうした状況下、日々写真を介して等身大の世界と出会い、精力的に作品を発表し続ける、5人の写真家たちの持続的な営みに、写真の現在地点を探ります。 これまでの「写真の現在」 第1回「写真の現在―距離の不在」(1998年)会場:フィルムセンター展示室出品作家:齋藤さだむ 畠山直哉 楢橋朝子 松江泰治 金村修 第2回「写真の現在2 サイト―場所と光景」(2002年)会場:本館企画展ギャラリー (1F)出品作家:伊藤義彦 小林のりお 港千尋 鈴木理策 兼子裕代 勝又邦彦 野口里佳 横澤典 第3回「写真の現在3 臨界をめぐる6 つの試論」(2006年)会場:本館ギャラリー4 (2F)出品作家:伊奈英次 小野規 浅田暢夫 北野謙 鈴木崇 向後兼一 展覧会構成 2012年の“写真”表現の地平―展示空間には、最古の写真技法であるダゲレオタイプから、フィルムカメラで撮影されたモノクローム作品、デジタルカメラで撮影された映像作品まで、多彩な技法によるインスタレーションが展開されます。 有元伸也 都市の路上を中心に撮り続けられてきたariphoto シリーズより新作を含む「ARIMOTO TOKYO 2006-2011」を出品予定 本山周平 「SM TABLOID」シリーズから写真集『日本』、今年創刊の『GRAF』誌まで、ここ10年ほどの活動から、プリントと印刷物を組み合わせた展示を予定 中村綾緒 昨年から今年にかけて発表した「water」「pray」などを中心に、写真と映像作品によるインスタレーションを予定 新井卓 震災以前から撮影していた東北での近作に、震災後の新作を加えて構成したダゲレオタイプ(銀板写真)作品によるインスタレーションを予定 村越としや 震災以前から撮影していた近作に加え、震災後撮影された故郷福島の風景をめぐる作品を出品の予定 作家紹介 有元伸也ありもと・しんや(b.1971) 1994年ビジュアルアーツ専門学校大阪卒業。1997年第35回太陽賞受賞。2006-2008年元田敬三と「LOTUS ROOT GALLERY」を運営。2008年より「TOTEM POLE PHOTO GALLERY」を運営。写真集に『西蔵より肖像』(1999)、『ariphoto selection vol.1』(2010)、『ariphoto selection vol.2』(2011) 本山周平もとやま・しゅうへい (b.1975) 「1999年第20回「キヤノン写真新世紀」佳作。2000年東京ビジュアルアーツ写真学科研究科卒業。2001-2006年「photographers' gallery」に参加。 2007-2009年「ギャラリー街道」にて連続展。写真集『SM TABLOID』1-14(2002-2005)、『世界1 』(2005)、『ルクセンブルグ、オランダ』(2005)、『日本 2001-2010』(2010)。2011年さがみはら写真新人奨励賞受賞 中村綾緒なかむら・あやお(b.1976) 東京造形大学造形学部デザイン科Ⅱ類織専攻卒業。2001-2004年「photographers’ gallery」に参加。2006-2009年アトリエ兼ギャラリー「1号室2号室」運営。写真集に『魔法』(2011)、『Water』(2011) 新井卓あらい・たかし(b.1978) 国際基督教大学中退。東京綜合写真専門学校卒業。主な個展に2006年横浜美術館「鏡越しのランデヴー」、2011年川崎市市民ミュージアム「夜々の鏡」、2011年銀座および大阪ニコンサロン「Here and There―明日の島」など。 村越としやむらこし・としや(b.1980) 2003年日本写真芸術専門学校卒業。2009年より自主ギャラリー「TAP」を運営。2011年日本写真協会賞新人賞受賞。写真集に『あめふり』(2006)、『草をふむ音』(2008)、『浮雲』(2009)、『雪を見ていた』(2010)、『土の匂いと』(2011) カタログ情報 イベント情報 講演会出品作家によるスライドショーとトーク 日程:2012年6月16日(土)時間:14:00-15:30有元伸也+本山周平+中村綾緒 日程:2012年7月21日(土)時間:14:00-15:30新井卓+村越としや *いずれも東京国立近代美術館講堂(地下1階)にて。 申込不要、参加無料 (先着140名) 開催概要 東京国立近代美術館本館 ギャラリー4(2F) 2012年6月1日(金)~7月29日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館は閉館30分前まで 月曜日(7月16日[海の日]は開館)、7月17日(火) 一般420円(210円)/大学生130円(70円) ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「近代日本の美術」もご観覧いただけます。 東京国立近代美術館 開館60周年記念企画誕生日は無料 !!! 開館60周年を記念して、ご自身の誕生日当日にご来館いただいた方は、全館(本館・工芸館とも)無料で入館いただけます。券売窓口で、誕生日のわかる証明書(免許証等)をご提示ください。 6月3日(日)、7月1日(日) 東京国立近代美術館
吉川霊華展 近代にうまれた線の探究者
概要 吉川霊華(きっかわ れいか、1875-1929)といってもほとんどの人はご存知ないかもしれません。 物語や道釈人物(どうしゃくじんぶつ) を画題としているからといって、敬遠しないでください。霊華の作品の魅力はその線にあります。細く、速度をもってリズミカルに継がれてゆく線が、山となり雲となり、人をかたどったかと思えば、余白に散らされた仮名となる。書も画も一体となったようなその独歩の世界に息をひそめて近づくと、かすかに、たとえようもなく美しい音曲が聞こえてくるはずです。 やまと絵からはじめて広く東洋芸術を研究した霊華。1916 年に鏑木清方(かぶらき きよかた) や平福百穂(ひらふく ひゃくすい) らと結成した金鈴社(きんれいしゃ) という舞台を得て画壇にその名が知られるようになっても、帝展などの大きな展覧会からは距離を置き、孤高の芸術を拓きました。その信念は、「正しき伝統の理想は復古であると同時に未来である」という言葉に現れています。やがて時代が霊華に追いつき、昭和にかけてさまざまに線描美の探究がおこなわれるようになっても、霊華はゆうゆうと孤高を保ち続けました。 展覧会芸術から遠いところに花開いた近代のもうひとつの美の世界。代表的作品ならびに数多くの初公開作品を含む約100 点と、20 代からの38 冊に及ぶスケッチ帳、草稿、資料などを紹介する本展で、近代にうまれた線の探究者を発見してください。 途中、展示替があります。 前期:6月12日(火)~7月8日(日) 後期:7月10日(火)~7月29日(日) ここがみどころ この画家こそ、筆を「使えた」最後の世代の最高峰です。作品を好んでくれる人々に支えられ、展覧会から離れたところで古典と線描美を探究した、忘れられた巨人を復活させます。回顧展は1983 年にサントリー美術館で開催されて以来およそ30 年ぶりです。およそ400 点の作品調査を経て選ばれた約100 点、スケッチ帳38 冊、模写、草稿、資料、印章などを出品。みなさんがほとんどご覧になったことのないものばかりです。幻の代表作《離騒(りそう)》も出ます。細部をご覧いただくために、展示ケースの奥行を一部浅くしています。もっと細部を味わいたい方は、古美術を見るときのように単眼鏡をお持ちください。 展覧会構成 第1章 模索の時代 初め浮世絵、次いで狩野派の手習いを受けた霊華は、明治30 年頃(1896 ~ 97)、有職故実(ゆうそくこじつ) の研究者である松原佐久(まつばら すけひさ) に師事しました。霊華は松原の影響から幕末の復古大和絵派の冷泉為恭(れいぜい ためちか) に私淑。一方、松原を通じて交友が広がり、山名貫義(やまな つらよし)からやまと絵の教えを受け、小堀鞆音(こぼり ともと) 等の歴史風俗画会(れきしふうぞくがかい)、国風会(こくふうかい)、大坪正義(おおつぼ まさよし) 等の国風画会(こくふうがかい)、真美会(しんびかい)、鏑木清方等の烏合会(うごうかい) 等に参加しています。この時期、霊華が描いていたのは、主として歴史風俗画会等でのコスプレ写生で培った正確な人体把握をベースとする歴史風俗画や、為恭研究に発した筆墨による草画でした。画壇での評価よりもむしろ自身の研究につとめ、それ以上に学識を広げることに力を入れた霊華は、すでに30 代にして「文人」の風格をまとっていました。 第2章 金鈴社の時代 大正5年(1916) 4月、日本美術学院を主宰する田口掬汀(たぐち きくてい)の斡旋により金鈴社が結成され、霊華は、結城素明(ゆうき そめい)、平福百穂、鏑木清方、松岡映丘(まつおか えいきゅう)とともにそのメンバーとなりました。このとき霊華はすでに41歳となっていました。金鈴社は各メンバーが自由に研究することを旨とし、その研究発表の場として展覧会を開きました。この時期から霊華は、日本や中国の古典文学や伝説にロマン的な題材を探り、確信をもって線描美の探究に取り組みました。霊華の独歩の研究がめざましく進展し、自由に大作にとりくめたのも、審査や一般の好みにわずらわされない金鈴社という場があってこそでした。そして、わずか7 年弱の金鈴社の時代は、霊華を画壇の雄へとおしあげ、支援者を広げ、その画家としての人生を大きく変えていきました。晩年の霊華に特徴的な、速度をもってリズミカルに継がれてゆく涼やかな細い線は、この時期に完成の域に達してゆきます。 第3章 円熟の時代 金鈴社が解散したとき、霊華は作品を出品しないままにすでに帝展の推薦を受け、審査員にも挙げられました。金鈴社での活躍のほか、その博識と論評が高く評価されてのことであったでしょう。霊華は、一方では大正15 年(1926) の帝展に満を持して白描淡彩画(はくびょうたんさいが) の大作《離騒(りそう)》を発表し、他方では画中に仮名書を添えた、草々とした味わいのある作品を次々と生み出していきました。「正しき伝統の理想は復古であると同時に未来である」と語り、伝統復古と現代の理想を結び付けることを追求した霊華は、ここに至り清冽にして典雅な画境へと入っていったのです。 Ⅰ. 中国の詩と説話 幼少より漢籍に親しんでいた霊華は、金鈴社の時代に引き続き、中国の詩や説話に題材をとった作品を描き続けています。これらの作品は犯しがたい気品と高踏な雰囲気が醸成されています。 Ⅱ. 和歌と古典物語 画中に歌の散らし書きを添えるスタイルを、晩年の霊華は一つの特徴的なレパートリーとしていきました。画中に散らされる仮名は、絵をなす白描の線とまさに同質。ここに至って書と画が文字通り一致する独特の画境が開かれました。 Ⅲ. 仏と祈り 本節で紹介する作品は5 点にとどまりますが、霊華の描いた仏画は生涯を通じて実はかなりの数に及びます。支援者からの依頼が多かったという事情もあるでしょうが、霊華自身が仏教や図像を興味をもって研究し、進んで制作したことにもよります。逡巡のない清冽な線で描かれた仏はいかにも清浄な雰囲気を帯びています。 作家紹介 吉川霊華 略歴 1875年(明治8年) 5月4日 東京湯島に儒学者吉川澹齋(たんさい) の三男として生まれる。名は準。1883年頃(明治16年頃) 浮世絵系の画家・橋本周延に手習いを受け、延景の号を受ける。1889年(明治22年) 書家・中根半嶺に書を習い、半谷の号を受ける。1896-97年頃(明治29-30 年頃) 知人を介して有職故実家の松原佐久に師事し、教えを受ける。松原の影響で幕末の復古大和絵派の冷泉為恭に私淑する。1897年(明治30年) 第2回日本絵画協会展に《秋郊》を出品する。1901年(明治34年) 日本美術協会展に《吉野遷幸》を出品する。1904年(明治37年) 第9回烏合会展に《逍遥》《美人弾琴》を出品する。日本美術協会展に《聖徳太子図》を出品し、3 等賞銅牌を受ける。この間、国風画会、歴史風俗画会、国風会、真美会等の研究会に参加する。1911年(明治44年) 京都・方廣寺の天井画《神龍》を揮毫する。第5 回文展に《菩提達磨》を出品する。1915年(大正4年) 美術雑誌『中央美術』の編集同人となる。1916年(大正5年) 金鈴社を鏑木清方、平福百穂、結城素明、松岡映丘とともに結成する。この間、金鈴社の全7 回の展覧会に出品し、次第に画壇に知られるようになり、依頼画が増える。1919年(大正8年) 帝展の推薦を受け、この年より毎秋欠かさず正倉院の拝観にでかける。1921年(大正10年) 比叡山延暦寺に《伝教大師》を揮毫する。1926年(大正15年) 第7回帝展に《離騒》を出品する。官展出品は15年ぶり。京都俵屋旅館に逗留し、翌年京都に別宅を借りる。1929年(昭和4年) 3月25日 腸チフスにて死去。54歳。 カタログ情報 イベント情報 講演会笠嶋忠幸(出光美術館学芸課長代理) 日程:2012年7月7日(土)時間:14:00-15:30場所:当館講堂(地下1階) 聴講無料、申込不要、先着150名 *歌仙絵や琳派、仮名書など、霊華が学んだ古典芸術を具体例を挙げて解き明かしていただきます。 ギャラリー・トーク鶴見香織(当館主任研究員・本展企画者) 日程:2012年6月23日(土)時間:14:00-15:00 日程:2012年6月30日(土)時間:14:00-15:00 日程:2012年7月6日(金)時間:18:00-19:00 いずれも展覧会会場にて、申込不要、参加無料(要観覧券) 吉川霊華展コラボランチ 本展覧会とタイアップしたオリジナルランチメニューが、ホテルグランドパレスに登場。詳しくは下記HPをご覧ください。吉川霊華展コラボランチメニュー(外部サイトへリンク)*終了しました 開催概要 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー 2012年6月12日(火)~7月29日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館はそれぞれ閉館の30分前まで 月曜日(7月16日は開館)、7月17日(火) 一般850(600)円大学生450(250)円 ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。 高校生以下および18歳未満、障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。 入館当日に限り、「写真の現在4 : そのときの光、そのさきの風」(ギャラリー4)、所蔵作品展「近代日本の美術」もご観覧いただけます。 東京国立近代美術館 公益財団法人アサヒビール芸術文化財団公益財団法人花王芸術・科学財団公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団
東京国立近代美術館60周年記念特別展「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」
概要 美術にふるえたことがありますか?美術を体感すること。深く感動すること。知的に考えること。それらすべての出発点である衝撃を「ぶるっ!」という言葉で表しました。あらためて大切にしたいと思う美術鑑賞の原点です。 1952年12月1日、京橋の地に開館した東京国立近代美術館は、今年創立60周年を迎えます。人間でいえば「還暦」にあたるこの重要な年を記念して、本館の1階~4階の全フロアを使い、日本近代美術の100年を回顧する大展覧会を開催します。 展覧会は2部構成となっています。60年間の収集活動の成果を問う第1部が縦糸とすれば、60年前の日本における近代美術館誕生の時代を考察する第2部は横糸であり、両者が緊密に連動して、みなさまにさまざまな感動を投げかけることでしょう。 途中、展示替があります。 前期:10月16日(火)~11月25日(日) 後期:11月27日(火)~2013年1月14日(月・祝) ここが見どころ 所蔵品ギャラリーが10年ぶりにリニューアル 4階から2階の所蔵品ギャラリーが、建築家西澤徹夫氏との協働でリニューアルされます。ゆったりと寛げる休憩スペースを拡充するほか、所蔵作品のハイライトをご覧いただけるゾーンや日本画を堪能できるゾーンなどを設ける予定です。また動線の整理やサイン計画の見直しなど、徹底的にユーザー目線で鑑賞に適した空間づくりを目指します。生まれ変わった展示室で、作品の新たな魅力を発見してみてください。 コレクション人気投票の結果が展示に 10,000点以上のコレクションから、特に人気のある作品による「みんなの東近美 作品人気投票」を4月13日~7月31日に60周年記念サイトで実施しました。投票の結果、洋画・日本画は上位2位、彫刻・写真は上位1位にランクインした作品を、お寄せいただいたコメントとともに「美術にぶるっ!」展で展示します。 展覧会構成 第1部 MOMATコレクション スペシャル 国指定の重要文化財は、現在、美術工芸品では1万件以上ありますが、その多くは古い時代のもので、明治以降の絵画・彫刻に限ると、51件しかありません。そのうちの13点(寄託作品も含む)が、東京国立近代美術館に所蔵されています。 最近では、2011年に上村松園《母子》(1934年)と、安田靫彦《黄瀬川陣》(1940‐41年)が新たに指定されたばかりです。これらの貴重な作品は通常、保存の観点から1年のうちに会期を分けて少しずつ展示されますが、今回は60周年を記念して、まとめて一度に公開します。 第2部 実験場1950s 東京国立近代美術館が開館した1952年は、サンフランシスコ講和条約の発効によって、日本が主権を回復した年にあたります。まさに戦後の復興期であったこの時代には、戦争体験や現実のさまざまな矛盾から眼を背けることなく、来るべき社会の理想を追い求める意欲が息づいていました。 50年代の美術もまた、社会的な出来事に深い関心を寄せながら、現実への積極的な働きかけを図ります。その過程で、文学、写真、映画、建築、デザイン、漫画といった他分野との垣根を越えた交流が盛んに繰り広げられたことは特筆すべきです。このジャンル横断的な想像力が、既存の形式に縛られない新しい表現を生み出す力になったのです。複雑さを増す現実に対応した新しいリアリズムの確立や、制作者と鑑賞者との共同性の場の創出など、いくつかの課題が複数の表現領域で共有されました。 第2部では、こうした50年代美術の精神と活力を、同時期誕生した近代美術館への含意も込めて「実験場」というキーワードで捉えることにしました。絵画、彫刻、版画、素描、写真、映像を含む約300点の作品と資料によって、その実験精神が提起した多様な可能性を歴史的に検証し、そこから現在の美術と社会の関係を、さらには美術館の未来を考えるヒントを引き出すことを試みます。 カタログ情報 「美術にぶるっ!ベストセレクション 日本近代美術の100年」展 図録 約540点にもおよぶ出品作品の中から、主要作品約180点を選りすぐり、フルカラーで紹介 重要文化財全13点は、迫力ある部分図つきで細かな筆遣いまでご覧いただけます。詳しい解説によって、日本近代美術の流れを一望できる充実の内容となっております。2300円(税込)/251ページ 論文集『実験場1950s』 展覧会の第2部に関連して、さまざまな分野の研究者のご協力をいただき論文集をつくりました。 社会と対峙し、新しい表現を試みていった復興期のエネルギーを多角的に解き明かす、今までにない試みです。2200円(税込)/220ページ 鈴木勝雄「総論:集団の夢―50年代を貫く歴史的パトス」鈴木勝雄・桝田倫広・遠藤みゆき「創造のコミューン―異分野をつなぐグループと媒体の変遷」鳥羽耕史「『記録』が準備した公共圏」林道郎「『グラフィック』な50年代―試論」西村智弘「実験映画の形成と前衛芸術―アヴァンギャルドからエクスペリメントへ」友常勉「民衆版画運動の50年代」甲斐義明「土門拳とリアリズム写真―『絶対スナップ』のジレンマ」土屋誠一「1950年代の写真表現における『地方』―木村伊兵衛と濱谷浩を中心に」川村健一郎「僻地への視線/僻地化する視線―『忘れられた土地』についてのノート」大谷省吾「静物としての身体、もしくはアンチ・ヒューマニズムについて」竹内万里子「見える傷、見えない傷―土門拳『ヒロシマ』と他者の痛苦をめぐって」成相肇「俗悪の栄え一漫画と美術の微妙な関係」桝田倫広「政治の絵画から絵画の政治へ―中村宏の場合」 第2部会場内では1950年代を知るための解説シートを無料配布 第2部「実験場1950s」を読み解くための、解説シート4種(B4/両面)を配布しています。 論文集のデザインも手がけた小沼宏之さんのデザインにもご注目。 イベント情報 記念国際シンポジウム 戦後日本美術の新たな語り口を探る─ニューヨークと東京、二つの近代美術館の展覧会を通して見えてくるもの 日程: 2012年12月23日(日)時間: 13:00-17:30場所: 東京国立近代美術館講堂 (地下1階)主催:東京国立近代美術館、国際交流基金特別助成:公益財団法人 石橋財団 参加無料、申込不要(先着140名)同時通訳つき 開催趣旨 東京国立近代美術館は開館60周年記念特別展の第二部において、草創期にあたる1950年代の日本の美術を再考する「実験場1950s」を開催しています。本展は、美術、文学、写真、映画、デザイン、漫画といったジャンルの垣根を越えた交流に注目して、政治的な問題にも目を背けることなく、戦後の社会の変革に積極的に関与しようとした50年代の美術の熱気を捉え直すものです。 また国際交流基金は設立40周年記念事業として、ニューヨーク近代美術館との共催で、1955年から1970年という期間の日本の前衛芸術を、大都市「東京」に注目して考察する展覧会「TOKYO 1955-1970:新しい前衛」を開催しています。経済、政治の中心として戦後目覚ましい復興を遂げた東京が、いかにジャンルを超えた革新的な芸術を生み出す刺激的な場であったかを多角的に考証するものです。 東京とニューヨークの二つの近代美術館が、戦後の日本美術に関する大規模な展覧会を同時に開催するというこの絶好の機会をとらえ、国際シンポジウムを開催いたします。両展覧会の企画意図やその背景について双方のキュレーターが意見を交わし、さらに過去の展覧会との歴史観の違いや、二つの展覧会の共通点と差異などを、日米の研究者を交えて幅広く議論します。日米の近現代美術研究における交流をより一層深め、戦後日本美術の新たな語りの可能性につなげることを目指します。 プログラム 12:30‐ 開場13:00‐ 開会のごあいさつ13:20‐14:00 基調講演1:MOMA展のコンセプト Doryun Chong(ニューヨーク近代美術館) 基調講演2:東京国立近代美術館展のコンセプト 鈴木勝雄(東京国立近代美術館) 14:20‐15:20 パネリスト全員登壇 パネリスト:Doryun Chong、Gabriel Ritter(ダラス美術館)、 林道郎(上智大学)、 前山裕司(埼玉県立近代美術館) 司会:鈴木勝雄 *Ritter氏、前山氏、林氏の三名から各20分程度のトピック提示 15:20‐ 討議 17:30 閉会18:00 閉館 パネリスト ドリュン・チョン(Doryun Chong、ニューヨーク近代美術館アソシエイト・キュレーター)ガブリエル・リッター(Gabriel Ritter、ダラス美術館アシスタント・キュレーター)林道郎(上智大学国際教養学部教授)前山裕司(埼玉県立近代美術館主席学芸主幹)鈴木勝雄(東京国立近代美術館主任研究員) MOMATガイドスタッフによる所蔵品ガイド 休館日を除く毎日 日程: 2012年10月16日(火)~2013年1月11日(金)(*12月1日(土)を除く。)時間: 14:00-15:00場所: 所蔵品ギャラリー(5分前に集合場所をアナウンスします) *参加無料(要観覧券)、申込不要*12月1日(土)は、開館60周年記念プログラム だれでもMOMAT(PDF) を開催します。ぜひご参加ください。*1月12日(土)、13日(日)、14日(月・祝)は混雑が予想されるため、所蔵品ガイドは中止します。 キュレーター・トーク 東京国立近代美術館の研究員が、それぞれの研究分野に基づいて展示作品の中から数点を取り上げ、テーマをしぼって詳しく解説します。 大谷省吾(企画課主任研究員)「戦時期の美術」 日程: 2012年10月19日(金)時間: 18:00-19:00 中林和雄(企画課長)「海外作品とMOMAT」 日程: 2012年10月26日(金)時間: 18:00-19:00 松本 透(副館長)「1970年代の美術」 日程: 2012年11月2日(金)時間: 18:00-19:00 増田 玲(美術課主任研究員)「MOMATの写真コレクション」 日程: 2012年11月9日(金)時間: 18:00-19:00 鶴見香織(美術課主任研究員)「MOMATの日本画より」 日程: 2012年11月16日(金)時間: 18:00-19:00 桝田倫広(美術課研究員)「静物としての身体、ほか」 日程: 2012年12月7日(金)時間: 18:00-19:00 保坂健二朗(美術課主任研究員)「新しくなった『MOMATコレクション』について、建築の観点から」 日程: 2012年12月14日(金)時間: 18:00-19:00 蔵屋美香(美術課長)「100年のからだ」 日程: 2013年1月4日(金)時間: 18:00-19:00 *いずれも展示室にて。 参加無料、申込不要、ただし観覧券が必要です。 「実験場1950s」クロージングイベント 上映会「記録と実験」 日程: 2013年1月13日(日)~1月14日(月)場所: 東京国立近代美術館(B1F講堂)定員140名(先着順)、入場料無料、入替なし。途中入退場可。 東京国立近代美術館60周年記念特別展「美術にぶるっ! ベストセレクション日本近代美術の100年」も、残すところあとわずかの会期となりました。おかげさまで、コレクションの名品を一堂に紹介する第一部はもとより、第二部「実験場1950s」も、当時の美術の可能性を多面的に紹介するものとして、多くの方々に好評をいただいております。とりわけ、この時代の美術と映画とを横断的に見ることのできる展示は多くの反響をいただく半面、劇場でのフィルム上映を望む声も寄せられています。そこで、展覧会の最後の2日間にクロージングイベントとして、会場の制約から展覧会ではご紹介しきれなかった映画作品を、できるかぎりフィルムで上映することにいたしました。当上映会では本展覧会の展示構成に関連して、50年代に興隆していた記録映画及び企業PR映画、異分野の作家たちの協働によって制作された映画作品、更には実験映画に焦点を当て、2日間4つのプログラムによってご紹介します。直前のお知らせになりますが、ぜひお運びください。 2013年1月13日(日) 【プログラムA】 岩波映画と産業 10:15-12:00伊勢長之助「新しい鉄」(1956年、16mm、31分、カラー)、提供:記録映画保存センター黒木和雄「ルポルタージュ・炎」(1960年、35mm、37分、カラー)土本典昭「〈日本発見シリーズ〉東京都1」(1961年、35mm(DVDに変換)、29分、モノクロ)、提供:記録映画保存センター 【プログラムB】 特集:羽仁進 13:00-15:30「教室の子供たち」(1954年、35mm、29分、白黒)「法隆寺」(1958年、16mm、23分、カラー)「不良少年」(1961年、35mm、89分、白黒) ※上映後、羽仁進氏のトーク 2013年1月14日(月・祝) 【プログラムC】 実験映画の胎動 10:00-11:30ノーマン・マクラレン「色彩幻想─過去のつまらぬ気がかり」(1949年、8分)、提供:株式会社ダゲレオ出版ノーマン・マクラレン「色と線の即興詩」(1955年、16mm(DVDに変換)、6分)、提供:株式会社ダゲレオ出版グラフィック集団(石元泰博、大辻清司、辻彩子)「キネカリグラフィ」(1955/1986年、16mm(DVDに変換)、4分26秒、カラー)、提供:Taka Ishii Gallery松本俊夫「銀輪」(1956年、35mm、12分、カラー)ドナルド・リチー「し」(1958年、8mm(DVDに変換)、14分、白黒)、提供:株式会社ダゲレオ出版ドナルド・リチー「秋絵」(1958年、8mm(DVDに変換)、18分、白黒)、提供:株式会社ダゲレオ出版 【プログラムD】 勅使河原宏と安部公房 13:00-15:30勅使河原宏「砂の女」(1964年、35mm、147分、白黒) *所蔵表記のない作品は、全て東京国立近代美術館フィルムセンター蔵。 開催概要 東京国立近代美術館 2012年10月16日(火)~2013年1月14日(月) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館はそれぞれ閉館の30分前まで 毎週月曜日(ただし12月24日と1月14日は開館)と、年末年始(12月28日~1月1日) 一般=1,300円(1,100円/900円)大学生=900円(800円/600円)高校生=400円(300円/200円) ( )内は前売/20名以上の団体料金。いずれも消費税込。中学生以下、障害者手帳をお持ちの方と付添者1名は無料 前売券(10月15日[月]まで)および当日券は展覧会特設サイトのほか、ローソンチケット〔Lコード:34731〕、チケットぴあ〔Pコード:765-203〕、セブンイレブン〔セブンコード:017-469〕(いずれも前売券・当日券共通)ほか各種プレイガイドにてお求めいただけます。 東京国立近代美術館 開館60周年記念企画 誕生日は無料 !!!開館60周年を記念して、ご自身の誕生日当日にご来館いただいた方は、全館(本館・工芸館とも)無料で入館いただけます。券売窓口で、誕生日のわかる証明書(免許証等)をご提示ください。 「美術にぶるっ」展(2012年10月16日~2013年1月14日)は4階から1階まで美術館の展示室すべてを使った企画展(共催展)になります。そのためその会期中は、「所蔵作品展」を開催しておらず、65歳以上の方、高校生、キャンパスメンバーズの方も有料となります。またMOMATパスポート、ぐるっとパスもお使いいただけません。ご了承ください。 12月1日(土)の開館記念日は無料!どなたさまも無料でご入館いただけます。 東京国立近代美術館、NHK、NHK プロモーション 文化庁 公益財団法人 石橋財団 損保ジャパン、日本写真印刷
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2013-4 所蔵作品展 MOMATコレクション
※4F所蔵品ギャラリー photo: 木奥恵三(以下、*印)(この会場風景は以前のものであり、現在の展示とは異なります。) 東京国立近代美術館本館所蔵品ギャラリー(4F~2F) 2014年1月21日(火)~4月6日(日)前期:1月21日(火)~3月2日(日)後期:3月4日(火)~4月6日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)※入館は閉館30分前まで 休館日:月曜日[ただし、3月24日(月)、3月31日(月)は開館] 一般 420円(210円) 大学生130円(70円)*消費税増税に伴い、2014年4月1日以降、観覧料金が次のように変更となります。一般 430円(220円) 大学生130円(70円)*高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。*それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。*( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。*お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。*キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。*本展の観覧料で、当日に限り、「泥とジェリ-」展(2F、ギャラリー4)もご観覧いただけます。 2月2日(日)、3月2日(日)、4月6日(日) 東京国立近代美術館 概要 所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)のご案内 9室「写真・映像」* 10室 「日本画」* 「眺めのよい部屋」* 「MOMATコレクション」展は、日本画、洋画、版画、水彩・素描、写真など美術の各分野にわたる12,000点(うち重要文化財13点、寄託作品1点を含む)を越える充実した所蔵作品から、会期ごとに約200点をセレクトし、20世紀初頭から今日に至る約100年間の日本の近代美術のながれを海外作品も交えてご紹介する、国内最大規模のコレクション展示です。 ギャラリー内は、2012年のリニューアルによって、12の部屋が集合したスペースに生まれ変わりました。その1から12室までを番号順にすすむと1900年頃から現在に至る美術のながれをたどることができます。そして、そのいくつかは「ハイライト」、「日本画」という特別な部屋、あるいは特集展示のための部屋となって、視点を変えた展示を行っています。 「好きな部屋から見る」、「気になる特集だけ見る」あるいは「じっくり時間の流れを追って見る」など、それぞれの鑑賞プランに合わせてお楽しみください。 展示替:年間4~5回程度大きく作品を入れ替えています(会期によっては、さらに日本画を中心とした一部展示替があります)。 ※このページ内の会場風景はすべて撮影時のものであり、現在の展示と同じとは限りません。*印:いずれもphoto: 木奥恵三 ここが見どころ 特集「何かがおこってる:1907-1945の軌跡」(2-10室) 前会期に引き続き、日露戦争後から太平洋戦争終結までの時代を考える特集です。日本では日露戦争後、「大正デモクラシー」の名のもとで個人の自由が叫ばれると同時に、自国の勢力を他国に及ぼそうとする傾向が強まりました。つまり、個人の自由な自我の拡張と、国土の拡張とは、同時に進行したのです。関東大震災をはさみ、文化は成熟し、人々は豊かな暮らしを享受します。一方遠い中国では日中戦争が始まり、やがて太平洋戦争へと帰結します。特に時代を語るたくさんの雑誌や、関東大震災からの復興ぶりを示す貴重な映画「復興帝都シンフォニー」の上映はぜひお見逃しなく。また2階ギャラリー4ではコレクションを用いた小企画「泥とジェリー」も開催中です。 今期の展示は3つのパートに分かれています。4階(1室) 「ハイライト」コーナー:代表的な所蔵作品をまとめてご覧いただけます。4–3階(2–10室) 特集「何かがおこってる:1907–1945の軌跡」2階(11–12室)「あなたの肖像―工藤哲巳回顧展」にちなみ、60–70年代の作品をご紹介。加えて奈良美智新収蔵作品初公開も! 今会期に展示される重要文化財指定作品 原田直次郎《騎龍観音》1890年(寄託作品) 萬鉄五郎《裸体美人》1912年 中村彝《エロシェンコ氏の像》1920年 初公開のドローイングや高松自身による文章を駆使して、一見謎めいたその作品をわかりやすく ていねいに読み解きます。 *今会期に展示される重要文化財指定作品は以下の通りです。 ●原田直次郎《騎龍観音》1890年(寄託作品)●萬鉄五郎《裸体美人》1912年●岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》1915年 [小企画「泥とジェリー」展(2F、ギャラリー4に展示します)]●中村彝《エロシェンコ氏の像》1920年 当館ホームページ(美術館)内の重要文化財コーナーでは、所蔵する13点の重要文化財(1点は寄託作品)について、画像と簡単な解説をいつでもご覧いただけます。どうぞ重要文化財コーナーもご参照ください。 ※予告なしに展示内容が変更になる場合もありますので、詳細は出品リストでご確認ください。 前期・後期の作品の入れ替えについて 一部会期中、作品の入れ替えがあります。 □前期【1月21日(火)~3月2日(日)】のみに展示される作品 上村松篁《双鳩(そうきゅう)》1942年 □後期【3月4日(火)~4月6日(日)】のみに展示される作品 小林古径《双鳩(そうきゅう)》1937年 展覧会構成 「MOMATコレクション」では12(不定期で13)の展示室と2つの休憩スペースが3つのフロアに展開し、2Fテラス付近や前庭にも屋外彫刻展示を行っています。下記マップの水色のゾーンが「MOMATコレクション」です。4Fには休憩スペース「眺めのよい部屋」を併設しています。 所蔵作品展「MOMATコレクション」の会場入口は4Fです。1Fエントランスホールからエレベーターもしくは階段をご利用のうえ、4Fまでお上がりください。 4F 1室 ハイライト2-5室 1900s-1940s 明治の終わりから昭和のはじめまで「眺めのよい部屋」美術館の最上階に位置する休憩スペースには、椅子デザインの名品にかぞえられるベルトイア・チェアを設置しています。明るい窓辺で、ぜひゆったりとおくつろぎください。大きな窓からは、皇居の緑や丸の内のビル群のパノラマ・ビューをお楽しみいただけます。「情報コーナー」MOMATの刊行物や所蔵作品検索システムをご利用いただけます。 1. ハイライト * アンリ・ルソー《第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神 》1905-06年 関根正二《三星(さんせい)》 1919年 3,000㎡に200点以上が並ぶ――この贅沢さがMOMATコレクションの自慢です。しかし近年、お客さまから、「たくさんあり過ぎてどれを見ればいいのかわからない!」「短時間で有名な作品だけさっと見たい!」という声をいただくことが増えました。そこで、2012年夏のリニューアルを機に、重要文化財を中心にコレクションの精華を凝縮してお楽しみいただける、「ハイライト」のコーナーを設けました。壁は作品を美しく際立たせる濃紺、床はガラスケースの映り込みをなくし、作品だけに集中していただけるよう、艶消しの黒を選んでいます。 今回は、新たに寄託を受けた加山又造の《群鶴図》(ルビ:ぐんかくず)を初めて紹介します。加山が琳派の酒井抱一の描いた作品に触発され、長年にわたって構想を練り上げて制作した作品です。油彩では、原田直次郎、萬鉄五郎、中村彝の重要文化財が勢ぞろい。海外作家も「ハイライト」の名前にふさわしいラインナップです。 2. 坂の上の雲 日清戦争(1894–95年)、日露戦争(1904–05年)の勝利によって、日本は列国との不平等条約を改正し、真の独立国としての地位を獲得します。東アジアの新秩序の担い手を自任し、「世界の中の日本」という意識が芽生え始めるのもこの頃のことです。司馬遼太郎が『坂の上の雲』で描きだしたように、明治維新以来追い求めてきた近代日本の国家像がひとつの完成を見たのです。それはまた、当時の国際関係の中で日本が「帝国」としての一歩を踏み出したことを意味します。日露戦争の結果、日本は1910(明治43)年に韓国を併合し、大陸進出への足がかりを得たのです。 文部省主催の美術展覧会(文展)が始まったのは、日露戦争直後の1907(明治40)年のこと。第1回文展出品作の中には和田三造の《南風》のように、英雄的な男性像によって時代の気運を捉えたものも含まれていました。しかし、その一方で戦争遂行の負担を強いられてきた民衆の政府に対する不満が爆発。世間の関心の比重は次第に「国家」から「個人」に移りつつありました。 3. わたしと太陽 萬鉄五郎《太陽の麦畑》1913年頃 川上涼花《鉄路》1912年 「僕は芸術界の絶対の自由(フライハイト)を求めている。従って、芸術家の PERSOENLICHKEIT(人格)に無限の権威を認めようとするのである。[…]人が『緑色の太陽』を画いても僕はこれを非なりと言わないつもりである」。1910(明治43)年に高村光太郎が発表したエッセイ、「緑色の太陽」の中の一文です。外界の自然の姿すら変えることが可能な、芸術家のものの見方、感じ方の絶対の自由をうたう、大正デモクラシーの幕開けを告げる文章です。さて、赤いはずの太陽が補色の緑で描かれる―このたとえの背後には、オレンジと青の二つの補色で太陽を描くヴァン・ゴッホの作品のイメージがあったはずです。同じ1910年に発刊された雑誌『白樺』には、ゴッホの複製図版が多数紹介されました。輝くような色彩(図版の多くはモノクロでしたが)、息せき切った作画のスピード感を示す絵具の厚塗り、そして周囲に理解されない悲劇の生涯―ゴッホはたちまちのうちに、若い芸術家たちの拡張を求めて止まない「わたし=自我」を照らし出す、心の「太陽」となったのです。 4. ふるさと創生 1927(昭和2)年、「昭和の新時代を代表すべき新しい日本の勝景」を選定するという号令のもと、大阪毎日新聞、東京日日新聞、及び鉄道省が共同で、日本新八景を選出するためのはがき投票のキャンペーンを新聞紙上で行いました。これは人々の熱狂的な郷土愛を煽り、投票総数は、当時の人口の1.5倍を超える約9,342万通にも上りました。日本新八景の審査基準には、「規模の大なること」「四季各々特色の在ること」などのほかに、交通が便利であることや施設の有無といった、観光資源としての潜在力が挙げられていました。こうした条件設定の背景には、鉄道網の整備や、生活にゆとりのある中間層が余暇に旅行するようになっていたことがあります。民俗学のフィールドワークとして、全国各地を巡っていた柳田國男の言葉を借りれば、近代という「新文化」の発展によって、「旅」は「其日暮らし」のつらいものから、「楽しみの為」の「旅行」へと変化していったのです。このなかで、自然は風景として整備され、人々の経済活動に徐々に組み込まれていきました。日本の原風景は、もとよりそこにあったのではなく、近代化によって創造されたのです。 5. 地震のあとで 1923年9月1日、マグニチュード7.9の巨大地震が関東地方を襲います。揺れによる建物の倒壊よりも火災の被害の方がはるかに大きく、地震直後に発生した火災はまたたくまに東京の中心部を焼き尽くしました。首都を壊滅させた震災は、ヨーロッパを荒廃させた第一次世界大戦に比較しうる衝撃を日本にもたらします。すなわち近代文明を問い直し、既存の社会を変革する動きが、「改造」という時代の掛け声とともに広く浸透するきっかけとなったのです。1920年代に登場した村山知義や柳瀬正夢といった急進的な前衛芸術家は、まもなく社会主義思想に共鳴してプロレタリア芸術運動を主導しました。震災によって江戸の名残が一掃された東京は、復興の過程でさらなる近代化を推し進め、華やかな消費文化の舞台となっていきます。機械の力とスピード、文化の新たな担い手となった躍動する女性像、都市の下層から聞こえる労働者の唄。これらが混然一体となって「大衆」を主体とする生活文化が伸長を始めるのです。 長谷川利行《カフェ・パウリスタ》1928年 古賀春江《海》1929年 3F 6-8室 1940年代-1960年代 昭和のはじめから中ごろまで9室 写真・映像10室 日本画建物を思う部屋 6. 白日夢 光と影が交錯する1930年代をひとつの像で描き出すことは困難です。たしかに1920年代との比較において、軍国主義の台頭を強調することは可能でしょう。1931年に満州事変が勃発し、五・一五事件(1932年)、二・二六事件(1936年)など軍部のクーデターが続き、1937年の盧溝橋事件によって日中戦争に突入したわけですから。社会主義者の徹底的な弾圧も行われました。しかしながら、人々の日常すべてが戦時体制に染まったわけではありません。先端的なファッションに身を包んだ「モボ・モガ」が見慣れたものとなり、ジャズやレビューや映画が流行し、湘南や須磨の海岸は海水浴客で賑わい、雑誌メディアの隆盛とともに大衆文化が開花したのも30年代のことなのです。世界恐慌が日本に波及して深刻な不況に見舞われても、20年代に端を発する大衆社会の欲望は衰える気配をみせません。このような日常生活への埋没が、大陸で繰り広げられている戦争を想像する力を鈍化させ、いつしか国土・国力の拡張政策を支えていたのかもしれません。 7. 遠くで銃声 安井曽太郎《金蓉》1934年 北脇昇《空港》1937年 三崎亜紀の『となり町戦争』(2005年)という小説があります。自分の町ととなり町が戦争状態に入ったと報じられる。しかし日常は平穏そのもの。ただ広報誌掲載の戦死者数だけがどんどん増えて行く―という筋書きです。 1937(昭和12)年7月、日中戦争が始まりました。一方でこの夏には、「別れのブルース」「アマポーラ」(淡谷のり子)、「アロハオエ」(灰田勝彦)といったヒット曲がリリースされています。3年後の1940(昭和15)年には、東京オリンピックの開催も予定されていました(1938年、日中戦争のため中止が決定され、幻のオリンピックとなりました)。見えないところで統制が進み、近所の誰かれが出征する。しかし日々の暮らしは穏やかに続き、遠くの戦争の実感はなかなか得られない。当時を生きた多くの人々が、もしかしたらこんな風に感じていたかも知れません。 この部屋では、北脇昇、安井仲治、椎原治、小磯良平など、それぞれのやり方で、身近な日常と遠くの戦争とが絡み合うさまを示した作品をご紹介します。 8. 頭上の火の粉 1941(昭和16)年12月8日、日本軍の真珠湾攻撃をもって太平洋戦争が始まりました。「白日夢」の中でまどろみながら、「遠くの銃声」を予兆のように聞いていた人々は、いよいよ戦争の現実に直面することになったのです。美術家もまた陸海軍の委嘱を受け、「戦争画」(当時「作戦記録画」の名で呼ばれました)を描くという課題に取り組みます。勝利が続く戦争初期には、、鶴田吾郎《神兵パレンバンに降下す》(1942年)のように、どこか静かに戦闘を眺めるような作品も目につきます。やがて戦況が悪化すると、藤田嗣治《アッツ島玉砕》(1943年)や《サイパン島同胞臣節を全うす》(1945年)のように、本来画家が見るはずのない至近距離から人々の悲劇に肉薄する構図が生まれます。戦争末期には本土空襲が激化し、遠くの戦争は人々の頭上に直接火の粉が降りかかるところまで迫りました。鈴木誠《皇土防衛の軍民防衛陣》(1945年)は、空襲下の女性と子どもを描く、比較的めずらしい作品です。女性雑誌の中の女性や子どもたちの姿と見比べてみて下さい。 9.復興帝都シンフォニー 関東大震災から6年が経過した1929(昭和4)年に、この記録映画は撮影されました。製作は東京市政調査会。東京市政調査会は、東京市長であった後藤新平の肝いりで1922(大正10)年に創立された都市行政のための調査研究機関です。関東大震災の前年のことでした。そして震災からの復興計画の策定と復興事業の推進に指導的役割を果たしたのが、当時内務大臣を務めていた後藤だったのです。後藤はこの大災害を「理想的帝都建設の為真に絶好の機会」だと捉え、帝都復興院の総裁として辣腕をふるいました。フィルムには、道幅を拡充して舗装された道路や、隅田川に新設された耐震耐火の橋が映り、復興計画によって改善された都市機能が強調されています。その一方で、建設中の震災記念堂や、仮納骨堂で手を合わせる人の姿が挿入され、災害の傷が完全に癒えたわけではないことも示唆されます。人気のない早朝のシーンから、テンポの良いモンタージュで都市の生動感を表現していく手法には、「伯林:大都会交響楽」(1927年)からの影響が指摘されています。 10. 「同じ梢に咲いて会ふ」 菊池芳文《小雨ふる吉野》1914年 桜で有名な日本画家に菊池芳文や跡見玉枝がいます。どちらも江戸末生まれで、芳文は京都四条派、玉枝は桜画の三熊花顚(かてん)の系譜に連なります。芳文らが情感豊かに描きだしたのは、古来和歌にうたわれた桜の世界でした。一方、明治末になると、散りぎわの潔さから、桜は軍歌にうたわれるようになります。1911(明治44)年に発表された陸軍唱歌の「歩兵の本領」は、「万朶(ばんだ)の桜か襟の色、花は墨田に嵐吹く、大和男子と生まれなば、散兵戔(さんぺいせん)の花と散れ」のフレーズが印象的です。さらに、太平洋戦争開戦前夜になると、有名な「同期の桜」がつくられ、「別れ別れに散ろうとも、花の都の靖国神社、同じ梢に咲いて会ふ」と、死をおおいに美化しました。おそらく、軍歌に類したこの時代独特の文化が人々の日常に浸透し、桜の意味するものを微妙に変えてゆきました。戦時下に日本画家たちはよく桜を描いて売り上げを献納しました。そのときにはすでに、富士や菊といったモチーフと同様に、桜が「皇国」や「国体」のシンボルであることを、描く側はもちろん見る側も了解済みで歓迎したのです。 2F 11–12室 1970s-2010s 昭和の終わりから今日まで2F、ギャラリー4 :所蔵作品を中心とした小企画「泥とジェリー」詳細はこちら→「泥とジェリ-」展 11. 観察と幻視 「あなたの肖像―工藤哲巳回顧展」(2月4日—3月30日)にあわせ、「観察と幻視」というテーマで、日本の写真家たちの作品を紹介します。 挑発的なパフォーマンスで知られる工藤がそうであったように、彼が活動した時代の美術表現は、従来の作品概念にとらわれない、多様な展開を見せます。写真家大辻清司は、雑誌などのためにそうした新たな表現の現場を数多く撮影しました。自身もジャンル横断的な活動を展開した実験工房のメンバーで、思索家としても知られる大辻は、写真が果たしうる役割にすぐれて自覚的な観察者でした。大辻の写真は、かたちの残らない美術表現の貴重な記録であると同時に、それ自体が批評や解釈であると見ることもできるでしょう。また、特異なオブジェなどによって文明社会に対する問いを発した工藤にちなみ、現実に対して幻視的なまなざしを投げかけ、文明批評的な奥行きを獲得している同時代の写真作品をあわせて展示します。 12. コスモス/イノセンス 今回この部屋は、2つのテーマに分かれています。ひとつは、右手側のエリア。1階で開催される「あなたの肖像―工藤哲巳回顧展」に合わせて次のような作品を中心に展示しています。量子や宇宙や無限など、科学的、宇宙論的とも言える世界観を見せる作品。変わった素材を使った作品。そしておぞましきものを取り入れた作品などです。もうひとつは、左手側のエリア。こちらは、昨年末に奈良美智の代表作を購入したことを祝い、「イノセンス(無垢)」をテーマに作品を集めてみました。19世紀末から現代にいたるまでの絵画と写真を通してみると、子供の無垢さが、時に愛らしきものとして、時に畏怖すべきものとして、捉えられてきたことがわかります。 イベント情報 MOMATガイドスタッフによる所蔵品ガイド 2014年1月21日(火)~4月6日(日)(2月8日(土)、2月22日(土)、3月1日(土)、3月15日(土)は13:00から行います。) 14:00-15:00 所蔵品ギャラリー(1Fエントランス集合) 所蔵品ギャラリーでは毎日、作品解説が行われています。当館のボランティア「MOMATガイドスタッフ」が、参加者のみなさまと会場をまわり、数点の作品を一緒に鑑賞しながら、作品についての理解を深められるようにお手伝いします。作品とテーマは、ガイド前に1階エントランスに掲示されます。約40名のガイドスタッフそれぞれ、作品とテーマが異なりますので、何度参加されてもお楽しみいただけます。 「MOMATガイドスタッフ」のページもあわせてご覧ください。「ある日の所蔵品ガイド」の様子を写真付きで詳しく紹介しています。 会期最初の土曜日は研究員による所蔵品ガイド 2014年1月25日(土) 14:00-15:00 MOMATガイドスタッフによるハイライト・ツアー 毎月第1日曜日(無料観覧日) 2014年2月2日(日)2014年3月2日(日)2014年4月6日(日) 11:00-12:00 4階エレベーター前集合 近代日本の美術の流れをたどりつつ、所蔵作品展「MOMATコレクション」の見どころを押さえたい方に。MOMATガイドスタッフが、参加者の皆様とともに4階から2階までをまわり、代表的な所蔵作品を、やさしく解説します。 トーク・イベント 鈴木勝雄(当館美術課主任研究員)+大木優子(当館美術課補佐員) 2014年2月28日(金) 18:00-19:00 蔵屋美香(当館美術課長)+大木優子(当館美術課補佐員) 2014年3月7日(金) 18:00-19:00 *いずれも参加無料、申込不要、要観覧券
映画をめぐる美術──マルセル・ブロータースから始める
概要 美術館で映画を「読む」、刺激的な体験 映画をめぐる美術。「映画」そのものではなく、映画をめぐる「美術」。このタイトルが指し示す展覧会とは、いったいどんなものか。まずは英語のタイトル「Reading Cinema, Finding Words (映画を読む、言葉を探す)」が、ひとつのヒントになるかもしれません。映画とは視る(そして聴く) ものだ、というのが普通だとして、この展覧会では、映画を「読む」ことが問題になります。 では、ここで言う「映画を読む」とはどのような行為か。次にヒントになるのが、サブタイトルの「マルセル・ブロータースから始める」です。マルセル・ブロータースとはベルギー出身の芸術家の名です。オブジェや写真・短編映画の制作、著述活動など幅広い創作を展開したブロータースは、1960年代半ばから70年代半ば、戦後美術の転換期に唯一無二の存在感を示しました。 この展覧会がブロータースから始まるのは、彼が、自身の映画を言語の拡張として捉えていたことによります。もともと詩人として出発したブロータースが最終的に映画に行き着いたのは、映画の「動く像(moving image)」という特質を、言語にないものとして重視したからではないようです。ブロータースの映画の特徴は、普段は当たり前すぎて気にも留めない言葉やイメージが、不透明で見慣れぬ、ノンセンスなものとして立ち現れてくることにあります。そのような事態を前に私たちは、言葉とイメージの間、言葉と言葉の間、そしてイメージとイメージの間を跳躍し、自らそこに接続線を引くような行為、すなわち映画を「読む」ことへと誘われていきます。 本展覧会は、ユーモラスかつエレガントな振る舞いで、言葉とイメージの関係を浮かび上がらせるブロータースの実践を手がかりに、現在、国際的に活躍する美術家13名のフィルム、写真、ヴィデオ、インスタレーション等の作品を読み解いてみようという試みです。 美術館で映画を読む、それはきっと刺激的な体験になることでしょう。 ここが見どころ 国際的に活躍する13作家が登場 マルセル・ブロータース(1924-1976)、ピエール・ユイグ(1962- )、アンリ・サラ(1974- )、田中功起(1975- )、やなぎみわ(1967- )、ミン・ウォン(1971- )など国際的に活躍する13作家が出品。 連続ギャラリートークや特集上映などイベントが目白押し 展覧会企画者、出品作家のダヤニータ・シンのトークをはじめ、国内外の数々の賞を受賞した映画「ほとりの朔子」が話題の深田晃司監督や当館フィルムセンターの研究員によるトークを行います。また、出品作家のうちドミニク・ゴンザレス=フォルステルとミン・ウォンの特集上映も開催。それぞれの作家の映像作品を一度にまとめて見られる貴重な機会です。 シネマ・コンプレックス」がテーマの、これまでにない会場構成 展覧会は、まずブロータースの部屋から始まります。この部屋にあるいくつかの穴は、カーテンに囲まれた長い廊下の入り口になっていて、それぞれフィルムやヴィデオ、写真の分野で活躍する美術家の部屋へ通じています。そしてこの廊下を戻って、またブロータースの部屋から始まります。参照軸となるブロータースの部屋とそれぞれの美術家の部屋を「めぐる」経験は、いったん切り離され引き伸ばされて、作品世界へ深く入り込んでいけるような配置になっています。([会場デザイン] 西澤徹夫(西澤徹夫建築事務所)) 作家紹介 マルセル・ブロータース(1924−1976) ベルギー出身。1940 年代からシュルレアリスムの詩人グループに参加。1964 年頃から美術の領域に身を置き、言語とイメージの関係を扱ったオブジェや写真・短編映画の制作、公開書簡や出版などの著述活動、美術を取り巻く制度を批判的に検証するプロジェクトなど幅広い創作を展開し、1960 年代から70 年代の戦後美術の転換期に重要な足跡を残した。 シンディ・シャーマン(1954−) アメリカ出身。1970 年代後半から、映画に登場する女優に扮したセルフ・ポートレイト写真のシリーズ〈アンタイトルド・フィルムスティル〉を発表して注目を集め、現在もなお、後進世代の作家に多大な影響を与え続けている。近年では2012 年から13 年にかけて、ニューヨーク近代美術館ほか全米各地の美術館を巡回した個展が開催された。 アイザック・ジュリアン(1960−) イギリス出身。1990 年頃からポストコロニアル理論や映画論の研究を通して、人種やグローバリゼーションなどの問題を批判的に考察したマルチスクリーンの大型ヴィデオ・インスタレーション、フィルム、写真作品などを発表。2001 年のターナー賞にノミネートされたほか、世界各国の美術館における数多くの個展やグループ展、国際展にも出品。 ダヤニータ・シン(1961−) インド出身。1980 年代からフォト・ジャーナリストとして活動を開始。近年は、撮りためた膨大な量の写真アーカイヴのなかから、いくつかの写真を組み合わせて新たな物語を紡ぐという手法をとり、『Go Away Closer』、『Blue Book』ほか数多くの写真集をドイツの出版社シュタイデルと共同で制作している。 ピエール・ユイグ(1962−) フランス出身。1990 年代から、映画の構造を利用してフィクションと現実の関係を探るヴィデオ作品や、美術館、展覧会、近代建築、あるいは著作権や祭事などに潜む制度に注目したプロジェクトを発表。近年では、ポンピドゥー・センター(2013)での個展で、犬や蜂といった生き物を含むインスタレーションを発表し、話題となった。 アナ・トーフ(1963−) ベルギー出身。映画や文学、手記、記録文書など既存のテクストから出発し、テクストとイメージの関係をテーマに置き、それらの視覚化や翻訳、音声化のプロセスをフィルムや写真作品として提示する。主な個展に、デュッセルドルフ州立美術館K21(2010)、ディア美術財団(2004、ニューヨーク) など。 ドミニク・ゴンザレス= フォルステル(1965−) フランス出身。1990 年代から、文学や映画、近代建築などを着想源に、現実と虚構のあわいへと観客を誘うインスタレーションやフィルム、ヴィデオ作品を発表。主な個展にテート・モダン(2008)、パリ市立近代美術館(2007)のほか、ヴェネツィア・ビエンナーレ(2003、2009)、ドクメンタ11 (2002) などの国際展にも数多く参加。 アクラム・ザタリ(1966−) レバノン出身。イメージとその背景にある歴史や記憶との結びつきを解明するプロセスを捉えた写真やフィルム、ヴィデオ、インスタレーション、パフォーマンスを手がける。主な個展に、ニューヨーク近代美術館Project 100 (2013)、シカゴ現代美術館(2012-13)、リバプール・ビエンナーレ(2012) など。 やなぎみわ(1967−) 兵庫県出身。1993 年発表の写真シリーズ〈エレベーター・ガール〉で注目を集める。以後、ジェンダー、老い、生と死、自己と他者との関係性をテーマとしながら現代社会に生きる様々な女性のありようを作品化してきた。主な個展に、東京都写真美術館・国立国際美術館(2009)、ドイツ・グッゲンハイム美術館(2004) など。 ミン・ウォン(1971−) シンガポール出身。2000 年代から、パゾリーニ、ウォン・カーウァイなどのワールドシネマの登場人物に自ら扮して再解釈したヴィデオ・インスタレーションを制作し、人種的・文化的アイデンティティ、ジェンダーや言語といった問題を扱ってきた。ヴェネツィア・ビエンナーレ(2011) のシンガポール館で個展を開催、審査員特別表彰を受賞。 エリック・ボードレール(1973−) アメリカ出身。パリを拠点に、実際の出来事とイメージの関係や、記録とナラティヴの関係をテーマに、写真やフィルム、版画、インスタレーションを制作。主な展覧会にハマー美術館(2010、ロサンゼルス) やシャルロワの写真美術館(2007、ベルギー) での個展や、第8 回台北ビエンナーレ(2012) など。 アンリ・サラ(1974−) アルバニア出身。1990 年代末頃から、旧社会主義国家出身という出自を背景にした政治色の強い映像作品を発表。近年では、音と空間、建築との関係性に焦点を当てた映像や立体、写真作品などを制作している。ポンピドゥー・センター(2012)、国立国際美術館(2011) など世界各国で多数の個展開催。ヴェネツィア・ビエンナーレ(2013) のフランス館代表。 田中功起(1975−) 栃木県出身。日常のシンプルな行為に潜む複数のコンテクストを視覚化/分節化するような、映像や写真、パフォーマンスなどを発表。 近作では、特殊な状況に直面する人びとが見せる無意識の振る舞いや反応を記録し、日頃見過ごしている物事のオルタナティブな側面を示そうとしている。ヴェネツィア・ビエンナーレ(2013)日本館代表(特別表彰受賞)。 カタログ情報 イベント情報 連続ギャラリー・トーク 「映画をめぐる美術」という展覧会タイトルからは、映画についての美術、映画と美術、映画ではなく美術、映画vs美術など、二つのジャンルをめぐってさまざまなテーマが引き出されてきます。この「連続ギャラリー・トーク」では、美術の側から2名、映画の側から2名をお招きし、作品を前に語っていただきます。また、5月17日にはともに建築家の西澤徹夫さんと日埜直彦さん、5月24日には小説家の温又柔さんと音楽家の小島ケイタニーラブさんと、さまざまな分野からゲストをお招きしてイベントを開催します。 深田 晃司(映画監督) 日程:2014年4月26日(土) 牧口 千夏(京都国立近代美術館研究員・本展企画者) 日程:2014年5月3日(土) ダヤニータ・シン(出品作家) 日程:2014年5月10日(土) 「緊急企画|建築家が語る、会場構成のこれから」 日程:2014年5月17日(土) 本展をはじめ、当館の所蔵品ギャラリーリニューアルや数々の展覧会で会場構成を手掛けられている建築家の西澤徹夫さんと、現代美術ギャラリーや横浜トリエンナーレの会場など、美術に関る空間を多く設計されている建築家の日埜直彦さんに、建築家からみる展覧会の会場デザインについてお話いただきます。 出演:西澤徹夫(建築家・本展会場デザイン担当)、 日埜直彦(建築家)司会:三輪健仁(当館主任研究員) 朗読イベント 日程:2014年5月24日(土) 本展のチラシにもある「映画を“読む”、言葉はどこかしら?」というフレーズ。言葉を「聞く」朗読を通して、言葉を探す旅に出ましょう。出演は、気鋭の作家温又柔さんと音楽家の小島ケイタニーラブさん。台湾語、中国語、日本語そしてエスペラントと、複数の言語をまたぐ小説を書かれている温さんの朗読と、朗読劇「銀河鉄道の夜」でも音楽を担当している小島さんのコラボレーションによる今回のための特別プログラム。お楽しみに。 出演:温又柔(小説家)、小島ケイタニ―ラブ(音楽家) 岡田 秀則(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員) 日程:2014年5月31日(土) いずれも14:00-15:00、企画展ギャラリー(1 階)にて参加無料、申込不要、要観覧券 金曜の夕べの特集上映 13名の出品作家のうち、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル、ミン・ウォンの特集上映を催します。いずれも、この企画のために作家本人がプログラムを組んでくれた特別版。お見逃しなく。 特集|ドミニク・ゴンザレス=フォルステル 日程:2014年4月25日(金) 2014年5月9日(金) 2014年5月23日(金) 上映作品|「最初から[De Novo]」(2009 年)/ 「ノーリターン[No Return]」(2009 年) / 「ロミリー[Romilly]」(2012 年) / 「Belle comme le jour」[トリスタン・ベラとの共作](2012年)/ 「アトミック・パーク [Atomic Park]」(2004 年) いずれも18:30-19:30、企画展ギャラリー(1 階)にて無料、申込不要、要観覧券 特集|ミン・ウォン 日程:2014年5月2日(金) 2014年5月16日(金) 2014年5月30日(金) 上映作品|「不安を食いつくす[Angst Essen / Eat Fear ]」(2008年) /「ペトラ・フォン・カントとドイツ語を学ぼう[ Learn German with Petra Von Kant]」(2007年)/ 「明日、発ちます[Devo partire. Domani / I must go. Tomorrow.]」より「母」(2010年)/ 「コンタクトホープ[Kontakthope]」(2010年)/「メイキング・チャイナタウン[Making Chinatown]」より抜粋(2012年) いずれも18:30-19:30、企画展ギャラリー(1 階)にて無料、申込不要、要観覧券 「読む」ではなく「聞く」「映画をめぐる美術――マルセル・ブロータースから始める」オーディオ・コメンタリー配信中! 本展「映画をめぐる美術――マルセル・ブロータースから始める」は、「視る」ではなく、「読む」がキーワード。そんな本展を「聞く」サービスとして、オーディオ・コメンタリーを配信します。最近の映画のDVDには必ずと言ってよいほどついてくるオーディオ・コメンタリー。監督や関係者が本編を見ながら撮影秘話などのよもやま話をしてる、あれです。そこで、映像作品が多数出品されている本展をより多くのみなさんに身近に感じていただくべく、いくつかの出品作にコメンタリーをつけてみました。いずれも、映画のDVDに習って本編とリアルタイムでお話しています。再生可能な端末機器をお持ちの方は、会場で映像が始まると同時に再生ボタンを押せば、同時進行でお楽しみいただけます(音が他の方の鑑賞の妨げにならないよう、イヤフォン/ヘッドフォンでお聞きくださいね)。お持ちでない方はごめんなさい、でも、ぜひ展覧会を観る前/観た後に、ご自宅でラジオを聞く感覚で音声をお楽しみください。展覧会の内容をより深く知ることのできる音声ガイドではありません。そして、作品を解説するギャラリートークよりもユルいです。でも、そんな雰囲気だから出てきたちょっとしたエピソードや作品への気づき(つっこみ?)がいろいろ収録されています。ぜひ聞いてみてください。 話している人:岡田秀則|東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員西澤徹夫|建築家/本展会場デザイン設計者牧口千夏|京都国立近代美術館研究員/本展企画者三輪健仁|東京国立近代美術館主任研究員/本展担当者柴原聡子|東京国立近代美術館広報番外編《コーヒーと旅》:小島ケイタニ―ラブ|音楽家/本オーディオ・コメンタリー サウンドテクニカル担当 聞く方法:1) 作品ごとに、当館のYoutubeチャンネルにアップしております。下記からも視聴(音声のみのファイルとなります)いただけます。会場でも各Youtubeファイル先にリンクしたQRコードがプリントされた配布物をご用意しております。Youtubeの再生が可能な端末機器をお持ちの方は、こちらを読み取ってリンク先にアクセスし、視聴することが可能です。 2) 下記のリンク先から音声ファイル(ファイル形式:mp3)を試聴/ダウンロードいただけます。展覧会場では部分的に携帯の電波が入りづらい場所もございますので、会場で確実にお楽しみいただきたい方は、事前にご自身のスマートフォンやタブレット等の端末機器にダウンロードの上、再生されることをおすすめします。リンクをクリックすると試聴、右クリックで保存が選択できます。 当館からの端末のお貸出しはできません。ご自身がお持ちの端末機器をお使いください。会場でお聞きになる場合は、他のお客様の鑑賞の妨げにならないよう、イヤフォンやヘッドフォンなど外に音が出ない方法でお聞きください。リンク、ダウンロードともにフリーです。各端末機器/PCにおいて再生可能かどうかについては、Youtubeおよび各機器の規定および環境によります。当館ではお問い合わせに回答できかねますのでご了承ください。 【お願い】本展は撮影禁止です。会場でのカメラ/カメラ機能のついた携帯端末による撮影はご遠慮ください。 オーディオ・コメンタリーを配信している出品作 マルセル・ブロータースの部屋 マルセル・ブロータース《シャルル・ボードレールによる映画》 16ミリフィルム 7分Courtesy of Estate Marcel Broodthaers, Brussels and Marian Goodman Gallery, New York © Estate Marcel Broodthaers https://www.youtube.com/watch?v=1Py6CobI4PM mp3ファイルリンク→《雨 (テクストのためのプロジェクト)》mp3ファイル theatre 1 アナ・トーフ《偽った嘘について》 スライド・プロジェクション 20分 Courtesy Museum of Contemporary Art, Antwerp (M HKA) © photo: Ana Torfs https://www.youtube.com/watch?v=SFCshtLWq2Y mp3ファイルリンク→《偽った嘘について》mp3ファイル theatre 2(奥の映像がプロジェクションされている部屋) ピエール・ユイグ《第三の記憶》 2面プロジェクション 9分32秒 © Pierre Huyghe, courtesy Marian Goodman Gallery, Paris/New York https://youtu.be/HseSquERdgw mp3ファイルリンク→《第三の記憶》mp3ファイル theatre 5 アクラム・ザタリ《明日にはすべてうまくいく》 1面プロジェクション 12分 Courtesy of Thomas Dane Gallery, London © Akram Zaatari https://youtu.be/q6D6ocHZmkk mp3ファイルリンク→《明日にはすべてうまくいく》mp3ファイル 番外編|会場入口 マルセル・ブロータース《ケルンでの犯罪》 16ミリフィルム 1分30秒 Courtesy of Estate Marcel Broodthaers, Brussels © Estate Marcel Broodthaers西澤徹夫さんが、本展会場のデザインコンセプトを約1分にまとめてお話しします https://youtu.be/WxGseq427vo mp3ファイルリンク→《ケルンでの犯罪》mp3ファイル theatre 3 田中功起《コーヒーと旅》 モニター 2分5秒 © Koki Tanaka小島ケイタニ―ラブさんが、ギターをつまびきながらコーヒーをめぐる旅についてお話します。 https://youtu.be/HjS-K-rBTNk mp3ファイルリンク→《コーヒーと旅》mp3ファイル 全Youtube音声の再生リスト https://youtu.be/UOjm6fCavQw?list=PLB9Kbit3hipeAP5XmB5TdKlLThUJ5kS4H 開催概要 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー 2014年4月22日(火)~6月1日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館は閉館30分前まで 月曜日(5 月5 日は開館)、5 月7 日(水) 一般850(600)円 大学生450(250)円 高校生以下および18歳未満、障害者手帳などをご提示の方とその付添者(1名)は無料。( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。上記料金で入館当日に限り、同時開催の「MOMATコレクション」、「特集 地震のあとで:東北を思うⅢ」および、工芸館で開催の所蔵作品展「花」もご覧いただけます。 リピーター割引 2 回目はお得!本展使用済入場券をお持ちいただくと、2 回目は特別料金(一般430 円、大学生130 円)でご覧いただけます。 東京国立近代美術館、京都国立近代美術館 京都国立近代美術館:2013年9月7日(土)~ 10月27日(日)
現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより
概要 この展覧会では約40作家、約75点の作品が展示されます。アーティストは、常玉(サンユウ)、フランシス・ベーコン、ザオ・ウーキー、アンディ・ウォーホル、サイ・トゥオンブリー、ゲルハルト・リヒター、杉本博司、蔡國強、ロン・ミュエク、ピーター・ドイグ、マーク・クイン(以上、生年順)など、現代美術の挑戦者であり中核( ハードコア!)と言える人ばかり。作品もトップクラスのものがやってきます。 ともすれば、「難しい」とか「自分にもつくれそう」と言われがちな現代美術の作品ですが、タイトルが示すように、じつは、少なくともふたつの意味で「世界の宝」ではないかということを、今回の展覧会は言おうとしています。 ひとつは、市場価格的あるいは保険評価額的に、それは「世界の宝」です。ときおり報道されるように、現在、オークションでは、生きているアーティストの作品でも数十億円単位の金額をつけることがあります。本展にもそうした作品がいくつも入っています。 もうひとつは、美術史的な意味でもそれは「世界の宝」なのです。優れたアーティストとは、いま伝えるべきことを、これまでのアートの歴史を踏まえつつ、未来においても色あせることのない形で表そうとする人のことです。彼らの作品は、たとえちょっと滑稽に見えたとしても、今を生きる私たちと無縁ではありません。そして、様々な表現が世の中にあふれかえっている中で、時代の試練に耐えて訴えかけ続けようとするものなのです。ですから、やはりそれらは、「世界」にとってかけがえのない存在だと言えるでしょう。 本展では、そうした「世界の宝」である「現代美術のハードコア」を、「ミューズ」「崇高」「記憶」「新しい美」といったキーワードを使いながら10章に分けて展示いたします。 ところで、「コレクションによる展覧会」というと、「テーマのない名作展なんて…」と考える人もきっといるでしょう。でも、ふたつの点で、本展はひと味違います。まず、美術史における連続性を表現することに挑んでいる点です。こうした、ある意味、当たり前の展覧会がこれまで日本では見られなかったのは、コレクターとのコネクションがなかったり採算性が疑わしかったりしてできなかったためです。今回は、ヤゲオ財団の全面的な協力を得られたことで実現しました。そしてもう一点は、「コレクションによる展覧会」だからこそのインタラクティブな仕掛けをご用意している点です。コレクターの感覚を追体験することができる、ちょっとした「ゲーム」を提供します。この展覧会は、単純に名作を見るのではなくて、作品の「価値」とはなにかを考える場にもなっているのです。この、国内では(多分)空前絶後とも言える展覧会をどうぞお見逃しなく! ここが見どころ 展示作品の保険評価額の総額は、信じられないくらい高額です(残念ながら詳細は言えません)。 コレクター気分を体験できる「ゲーム」を用意し、作品の「価値」を考える場ともします。 ヤゲオ財団とは? 台湾資本の大手パッシブ(電子部品)メーカー、ヤゲオ・コーポレーションのCEOを務めるピエール・チェン氏(Mr. Pierre Tie Min Chen)、その家族、およびヤゲオ・コーポレーションからの寄付金によって創立された非営利の組織。台湾では「國巨基金會」の表記が用いられています。 ヤゲオ財団コレクションとは? 外国の有名な美術専門誌でここ二年間、世界トップ10にランクインしているコレクション。ふたつの軸があり、ひとつは西洋の近現代美術、もうひとつは中国の近現代美術です。この、洋の東西をあわせて持っているという特徴が、ヤゲオ財団コレクションをユニークなものとしています。そしてそれゆえに、今回、同じような特徴を持つ日本の国公立の美術館での展覧会が決まったわけです。そのコレクションの選定に関わっているのが、ピエール・チェン氏。彼は、学生時代から、プログラミングのアルバイトをして貯めたお金で作品を買うほどのアートファン。その情熱の結果、わずか一代で壮大なコレクションを築きあげました。今では「living with art」「art is accessible」というコンセプトの下、自宅やゲストハウスはもとより、オフィスの中にも作品を展示しています(別荘では、バスルームにマン・レイがあったり、リビングにウォーホルがあったり!)。チェン氏は最近では、自らが所蔵する名画の模写もしていたりと、文字通り、アートとともに生きています。そんなチェン氏が率いるヤゲオ財団は、近年、プライヴェートでは珍しく、ヘンリー・ムーアやアリスティド・マイヨールやルイーズ・ブルジョワなどの彫刻作品も収集しはじめています。今回、一部が来日するそれらは、いずれもミュージアム・ピース・クラスです。なお、ヤゲオ財団が所有する作品の一部は、テートなど、世界的な美術館に寄託されてもいます。 カタログ情報 イベント情報 講演会 保坂健二朗 (本展企画者、当館主任研究員) 日程: 2014年7月12日(土)時間: 14:00-15:30場所: 東京国立近代美術館講堂(地下1階) *開場は開演30分前*無料(140名)、申込不要 ギャラリー・トーク 保坂健二朗 (本展企画者、当館主任研究員) 日程: 2014年8月1日(金)時間: 18:30-19:30場所: 企画展ギャラリー(1階) *無料、申込不要、要観覧券 映画上映「ハーブ&ドロシー」 「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」 日程: 2014年6月21日(土)2014年6月28日(土)時間: 13:00-16:30場所: 東京国立近代美術館講堂(地下1階) *開場は開演30分前*無料(140名)、申込不要*「アートの森の小さな巨人」(87分)終了後、休憩をはさんで「ふたりからの贈りもの」(87分)を上映します フォロー&リツイートキャンペーン 本展覧会を貸切でご鑑賞いただけるプレゼント企画をtwitterで行いました。 【キャンペーン応募期間】2014年6月11日(水)-2014年6月30日(月)23:59※応募期間は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。 2014年8月14日実施いたしました 展覧会企画者の解説付きです ★☆夏休みスペシャル 緊急企画☆★☆無料スピードくじ 日程: 2014年8月5日(火)~8月7日(木)2014年8月12日(火)~8月14日(木)時間: 10:00-17:00場所: 企画展ギャラリー(1階)出口 当日「現代美術のハードコア」展をご覧になった方対象に、無料スピードくじ(はずれなし、毎日先着500名)を実施いたします! 1等 「現代美術のハードコア」展カタログ2等 MOMAT特製鉛筆 または 「現代美術のハードコア」展ポスター3等 次回展覧会(菱田春草展)割引引換券 ぜひ、ご参加ください! ☆緊急ギャラリー・トーク 日程: 2014年8月5日(火)時間: 15:30-16:30日程: 2014年8月8日(金)時間: 18:30-19:30日程: 2014年8月13日(水)時間: 15:30-16:30場所: 企画展ギャラリー(1階) 保坂健二朗 (本展企画者、当館主任研究員) *無料、申込不要、要観覧券 ウェブCM https://youtu.be/ikJeBBmsClw 開催概要 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー + 前庭 2014年6月20日(金)~8月24日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館は閉館30分前まで 月曜日(7月21日は開館)、7月22日(火) 一般1,200円(900円)大学生500円(250円) 高校生以下および18歳未満、障害者手帳等をご提示の方とその介添者(1名)は無料。( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。上記料金で入館当日に限り、同時開催の美術と印刷物、所蔵作品展「MOMATコレクション」および、工芸館で開催のこども+おとな工芸館 もようわくわくもご覧いただけます。 東京国立近代美術館、ヤゲオ財団 全日本空輸株式会社、ヤマトロジスティクス株式会社 特別コンテンツもあります。ぜひご覧ください。公開は終了しました 名古屋市美術館:2014年9月6日(土)―10月26日(日)広島市現代美術館:2014年12月20日(土)―2015年3月8日(日)京都国立近代美術館:2015年3月31日(火)―5月31日(日) 本展は、政府による美術品補償制度の適用を受けています。
高松次郎ミステリーズ
概要 高松次郎(1936-1998)とは何者か!? こんがらがったヒモ、光と影のたわむれ、おかしな遠近法の椅子やテーブル、たわんだ布、写真を撮った写真、そして単純さと複雑さをあわせもつ絵画…。1960年代から90年代まで、現代美術の世界をクールに駆け抜けた男のミステリーを、この冬MOMATが解明します。 高松の作品は、時期によって見かけも素材もばらばらです。そして、そのことが「高松次郎」というアーティストを少しわかりにくくしてきました。しかし、ばらばらな作品をくわしく見ていくと、いくつかの形や考え方が繰り返し現われることに気づきます。背後に一貫したつながりがひそんでいるのです。 この展覧会は、約50点のオブジェや彫刻、絵画、および約150点の関連するドローイングによって、近年、世界的な評価をますます高める高松の制作をご紹介するものです。アーティストの広大な思考世界を追体験しながら、作品に込められた謎を解くわくわく感を、どうぞ会場で味わってみてください。 会場構成:トラフ建築設計事務所グラフィック・デザイン:菊地敦己 展覧会ポスター(デザイン:菊地敦己) ここが見どころ 世界的に注目されるアーティスト、高松次郎(1936-1998)の回顧展です。 初期・中期・後期の3章を、3人のキュレーター(桝田倫広・蔵屋美香・保坂健二朗)がそれぞれ担当します。 初公開のドローイングや高松自身による文章を駆使して、一見謎めいたその作品をわかりやすく ていねいに読み解きます。 会場構成はトラフ建築設計事務所(鈴野浩一・禿(かむろ)真哉)。 高松を代表する〈影〉シリーズのふしぎなしくみを体験できる「影ラボ」(ここだけは写真撮影もできる!)や、高松の脳内世界を一望する「ステージ」など、見どころ満載です。 グラフィック・デザインは菊地敦己(きくち・あつき)。 高松の作品世界をみごとに表したオリジナル・タイトルロゴにもご注目! 展覧会構成 1. 「点」、たとえば、一つの迷宮事件 1960-1963 伝説のアーティスト・グループ、ハイレッド・センター(高松次郎+赤瀬川原平+中西夏之)の活動と並行して制作された初期のシリーズ、60年代初頭の〈点〉と〈紐〉をご紹介します。 2. 標的は決してその姿をあらわさない 1964-1970s 高松を代表するシリーズ〈影〉から、木や鉄による立体のシリーズ〈単体〉〈複合体〉まで、60年代半ばから70年代後半の作品をご紹介。ヴェネチア・ビエンナーレ日本館への出品(1968年)など、高松の制作が大きく加速する時期です。 3.それは「絵画」ではなかった 1970s-1998 70年代後半、高松は「絵画」に回帰します。しかしそれはふつうに言う「絵画」とはかなり異なる考え方に基づくものでした。最晩年の知られざるシリーズ〈異食材〉も一挙公開! 会場のようす 会場デザイン:トラフ建築設計事務所グラフィック・デザイン:菊地敦己 撮影:阿野太一 撮影:阿野太一 撮影:阿野太一 撮影:阿野太一 撮影:阿野太一 【影ラボ】 高松次郎の制作原理を体験できる「影ラボ」コーナー。写真撮影もできます。 作家紹介 1936(昭和11)年 2月20日、東京に生まれる。1958(昭和33)年 東京藝術大学卒業。「第10回読売アンデパンダン」展(東京都美術館)に出品(以後、59, 61, 62, 63年に参加)。1963(昭和38)年 赤瀬川原平、中西夏之とハイレッド・センターを結成。1964(昭和39)年 〈影〉の作品の制作を開始。1967(昭和42)年 新宿のサパークラブ・カッサドール(インテリアデザイン:倉俣史朗)に〈影〉の壁画を制作。1968(昭和43)年 第34回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館出品。1970(昭和45)年 日本万国博覧会日曜広場に《遠近法の日曜広場》を設置。第10回日本国際美術展「人間と物質」(コミッショナー:中原佑介/東京都美術館他)に出品。「1970年8月:現代美術の一断面」展(東京国立近代美術館)に出品。1972(昭和47)年 第8回東京国際版画ビエンナーレ(東京国立近代美術館他)に《THE STORY》を出品し国際大賞を受賞。1977(昭和52)年 第6回ドクメンタ(カッセル、ドイツ)に出品。国立国際美術館(大阪)に〈影〉の壁画を制作。1980(昭和55)年 「現代の作家2 高松次郎・元永定正」展(国立国際美術館)開催。1989(平成1)年 名古屋駅地下に壁画《イメージスペース・名古屋駅の人々》を制作。1996(平成8)年 個展「高松次郎の現在」(新潟市美術館、三鷹市美術ギャラリー)開催。1998(平成10)年 6月25日に死去(享年62)。 カタログ情報 「高松次郎ミステリーズ」展覧会カタログ 3種のジャケットで好評発売中! 展覧会グラフィックデザインの菊地敦己氏が手掛けるカタログは、表紙が3種類(A5判、320ページ、2000円)。高松次郎のドローイング作品から3点を選んで展開しています。高松次郎の謎めいた作品世界を読み解くアイテムとして大人気。ミュージアムショップにて好評発売中です。 お電話でのご注文も承ります。(カタログ郵送案内はこちら) イベント情報 講演会 「高松次郎を知る人々」高島直之(美術評論家、武蔵野美術大学教授)、堀浩哉(美術家、多摩美術大学教授) 日程: 2014年12月6日(土)時間: 14:00-15:30場所: 地下1階 講堂 *聴講無料、申込不要、先着140名*開場は開演30分前 担当キュレーターによるリレートーク 桝田倫広・蔵屋美香・保坂健二朗 日程: 2014年12月7日(日)時間: 14:00-15:30場所: 1階 企画展ギャラリー日程: 2015年1月23日(金)時間: 18:00-19:30場所: 1階 企画展ギャラリー日程: 2015年2月14日(土)時間: 14:00-15:30場所: 1階 企画展ギャラリー *申込不要、要観覧券 スピンオフ企画 座談会 「展覧会をつくる」鈴野浩一・禿真哉(トラフ建築設計事務所)、菊地敦己聞き手:保坂健二朗 日程: 2014年12月20日(土)時間: 14:00-15:30場所: 地下1階 講堂 *聴講無料、申込不要、先着140名*開場は開演30分前 高松次郎バースデー記念ミステリーイベント 公演『台本』 日程: 2015年2月20日(金)時間: 18:00-19:30場所: 1Fエントランスホールにて上演 事前申し込み:不要観覧料:無料*「高松次郎ミステリーズ」展観覧には別途料金が必要です。 原作:高松次郎『台本』(1970-74年、本展出品作はエディション版、1980年)演出:神里雄大(作家、舞台演出家/岡崎藝術座主宰)出演:上蓑佳代、遠藤麻衣(二十二会)、酒井和哉、吉岡亜美 寺山修司率いる天井桟敷が初の海外公演を行なった際、当初、演目予定の候補のひとつに挙げられていた高松次郎の作品『台本』。この『台本』に断章のように書かれた動きの指示を、気鋭の演出家神里雄大が読み解き、高松次郎の誕生日である2月20日に上演致します。 公演案内PDF 『台本』追加公演のお知らせ金曜日はどうしても都合が…という方に朗報です。 追加公演が決定しました! 日程: 2015年2月21日(土)時間: 15:00-16:30場所: 1Fエントランスホールにて上演 事前申し込み:不要観覧料:無料*「高松次郎ミステリーズ」展観覧には別途料金が必要です。 神里雄大作家、舞台演出家/岡崎藝術座主宰。岡崎藝術座は、東京都・神奈川県を拠点に活動する日本の演劇団体。作家でもある神里雄大が、自身の演出作品を上演する目的で2003年に結成。団体名の由来は、結成時に神里が友人の岡崎誠二に借金をしていたため。そのまま岡崎誠二が座長となった。ペルー生まれ川崎育ちの神里の演出による作品は、色彩・言語感覚ともに、南米の<上から押さえつけられるような>太陽のイメージとともに、ニュータウンの無機質さ、神経質さも同時に兼ね揃えている。昨今は、政治や社会情勢への態度を積極的に作品に反映させながら、わかりあえない他者との共時性をテーマとした作品を発表している。2010年から2012年にかけ、3年連続でフェスティバル/トーキョーに参加。2011年より、セゾン文化財団ジュニア・フェロー。2012年には、Taipei Arts Festival2012 に正式招待され、初の海外公演を成功させた。2013年に発表した『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』は、岸田國士戯曲賞の最終候補に選ばれた。現在、新作『+51 アビアシオン, サンボルハ』による国内5都市のツアー公演を目前に控えている。⇒ 岡崎藝術座公式サイト バースデーイベント、さらにうれしいお知らせ! 映像作家、出光真子が制作した下記の作品を、2日間のみ上映します。38歳の高松次郎が、インタビューに応え、当時出光の夫だったアメリカの画家、サム・フランシスについて語るという内容です。2012年に取り壊されたアトリエの内部もよく映っています。 出光真子《Sam, Are You Listening?》(部分) 1974年上映日時:2月20日(金)10:00-20:00 / 2月21日(土)10:00-17:00上映時間:32分(ループ上映)上映場所:本館2階休憩コーナー *「高松次郎ミステリーズ」「奈良原一高 王国」「MOMATコレクション」のいずれかのチケットが必要です。 開催概要 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー 2014年12月2日(火)~2015年3月1日(日) 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) 入館は閉館30分前まで 月曜日(ただし1月12日は開館)、12月28日(日)―1月1日(木)、1月13日(火) 一般900(600)円 大学生500(250)円 高校生以下および18歳未満、障害者手帳などをご提示の方とその付添者(1名)は無料。 ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。本展の観覧料金で入館当日に限り、同時開催の 「奈良原一高 王国」と 「MOMATコレクション」もご覧いただけます。 東京国立近代美術館 公益財団法人花王芸術・科学財団 株式会社 遠藤照明 The Estate of Jiro Takamatsu 「高松次郎 制作の軌跡(仮称)」展 国立国際美術館 2015年4月7日(火)―7月5日(日)
