見る・聞く・読む
所蔵品ギャラリーで毎日14時から行われている「MOMATガイドスタッフによる所蔵品ガイド」の様子をご紹介します。
本日ご紹介した作品は、「向き合う」をテーマとした3作品。
・藤田嗣治《自画像》
・靉光《自画像》
・アントニー・ゴームリー《反映/思索》
「特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示。」でにぎわう会場から、多くのお客様がご参加されました。
所蔵品ガイドの特徴は、解説を聞くツアーではなく対話によるガイドであること。
お客様のご感想やご意見を共有することで、新しい視点を生み出し、鑑賞を深めます。
藤田嗣治の自画像は第一印象をうかがってから、何が描かれているかじっくり観察しました。
猫や手に持っている筆、墨と硯、マッチなどが見つかります。
背景に飾られている絵は奥さんのものでしょう、という考察も。
藤田はどのような自分と向き合って、この作品を描いたのでしょうか。
自画像の周りに集められたものは、藤田の「お気に入り」といえそうです。
「自分の大切なものを絵の中に閉じ込めておきたかったのではないか」というご意見もありました。
靉光の自画像は、藤田のものと違って人物だけが描かれています。
視線の感じから「何か考えているよう」、「油絵っぽくない。随分絵の具が薄く、塗り重ねた感じがしない」など、第一印象をうかがってみると、お客様のさまざまな視点が浮かび上がります。
実際の靉光の写真と見比べて、「こんなに胸板が逞しく、自分ににないものを手に入れたい、こうなっていきたいというのを描いたのではないか」とい うご意見もありました。
けっして大きくはないサイズの自画像から、ガイドに参加した皆さんでひとりの作家の人生に思いを馳せました。
アントニー・ゴームリーの《反映/思索》は、まさにふたつの像が向かい合っている作品です。
作家が自身を型に鋳造した作品であることをガイドスタッフから聞きつつ、作品から年齢を想像してみると、「40代くらいかな、若いよね」とのご意見に笑いも起きました。
屋内と屋外を見比べてのご感想は、「これは外が自分の先の姿、老いの姿を表しているのではないか」・・・。
参加者のみなさまもそれぞれ作品と向かい合った一時間。
所蔵品ガイドは、基本的には開館日の14時~、毎日開催しています。(※記事執筆当時)
(2015年11月19日)
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